German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

Telefunken W690st-D - Pegelsteller Stereo (Aktiv)

2011-03-09 14:21:55 | vintage gear
パーフェクト・ヒッツ1971~2001 パーフェクト・ヒッツ1971~2001
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2001-08-22




W690std'70~80年代西独アクティブステレオフェーダーの代表格のひとつTelefunken W690st-Dです。

IN/OUT共にHaufe製のトランスバランス、+24V動作で、基本はSG2182 / BC214 / SG2183使用のディスクリート回路ですが、一部オペアンプ (SN72709L)を使用していますので厳密にはフルディスクリートではありません。

西独フェーダーの原器的な存在の『太く滑らかな』Neumann W444staと比較すると、音質は攻撃的な中高域と、締まった低域とのコンビネーションで往年のTelefunkenサウンドを彷彿とさせます。ただ、中域のプレゼンスは好印象なのですが、ディスクリート→IC過渡期のためか高域は若干『Harsh』な感じもあり、同時期に生産されたW695 (EQ) にも同じような印象を受けます。

この時期に生産されたメジャーな西独アクティブフェーダーは、Siemens W291VSTD、Neumann W444sta、TAB W390、Telefunken W690st-D等がありますが、記述順に『繊細』~『パンチが効いた』タイプの印象となります。

W690std_inner内部構造は、Danner系のスライド部を採用していたW444sta、W291VSTDとは違い、Telefunken 独自の設計らしく、スライド部とアンプ部は一体構造で設計されており分離出来ず、ステレオ版は基板が向かい合って納められていますので保守の際には少々手間が掛かります。

ノブは樹脂製でステレオリンクもセパレートもどちらでも使用出来ますが、ピンを押して簡単に連結 / 解除出来るW444staとは違い、操作には精密ドライバー等が必要となります。

単体での評価は総合的にはW444staに若干の軍配が上がりますが、V672とのマッチングは秀逸でプレゼンスの効いた中域は正に黄金期のTelefunkenサウンドを奏で、単体では『Harsh』に感じた高域もシステムとしてタンデム使用すれば不思議と気にならず、コンソールとしての総合的な設計思想を感じ取る事が出来ます。Telefunken好きの方には上記の手間を考慮してもお薦めのフェーダーです。


W690std_rearコネクターはTuchel T-2701 23 pin、ピンアウトはO/Pトランスのセカンダリー側が2巻あるためCTをコネクターで結線する必要がある事と、PIN 7-19とPIN 5-11にゲイン抵抗を外付けする以外は音声、電源ともにW444staとコンパチです。