これで最終回です。今まで、ご迷惑をおかけ致しました。
東京で1番食べたかったラーメンは「ラーメン二郎」です。
ここ3年位食べてみたいなぁ・・・と思い焦がれていました。本当です。
「多分、美味しくないんだろうな」とか「変な客でいっぱいなんだろうな」とか1日1回は二郎の事を考えたり、
明石さんPCの壁紙を勝手に二郎のラーメンにしたりしていました。
(俺のせいで、明石さんは多くの人から変な人だと思われたことでしょう・・・)
本当です。
会社にも二郎体験者が数人いて、彼らから話を聞くと、
「あれは人間の食べ物ではない」とか「3回目からようやく美味しいと感じ出した」等、
ネガティブな意見が多かったです。
天邪鬼な俺はそんな意見をガソリンに、二郎への想いを馳せらたのでした。
俺と二郎との出会いは雑誌「一個人」のラーメン特集です。
そこで二郎の事が載っており、それからずっと気になっていたのです。
一昨年東京へ出張に行った時に二郎目黒店に行こうと考えていましたが、
うっかり予想外の接待を受ける羽目になり、夢を叶える事ができませんでした。
なので今回は「二郎を食べるまで、家には帰らない」と堅く決心しておりました。
まだまだ書けるけど、前置きが長くなるのでこの辺にしておきます。。。。。
今回、標的は荻窪店にしました。理由は春木屋から歩いていける距離に立地しているからです。
F町と俺は春木屋で胃腸の準備体操をしてから、本日のメーンイベントを迎えようかという魂胆です。
しかし、不幸が俺達を襲います。
これはショックだったなぁ・・・・・。
何が起きたのか?店主は自分が作ったラーメンの毒にやられたのか?
俺達は途方に暮れつつも、立ち直しを図るべく作戦会議を行いました。
あのステディーな家族は、まさか二郎でラーメンを食べるつもりだったのか?
青梅街道はもう冬なのさ。
目黒店や三田本店は遠いから却下。
吉祥寺店は学生の悪戯で「二郎」から「生郎」になってしまったから却下。
大久保店は大久保にあるので却下。
歌舞伎町店は店員さんが外人さんらしいので却下。
結果、東西線に乗って高田馬場まで向かいました。
僕は今、阿佐ヶ谷の駅に立ち、電車を待っているところ。
高田馬場でおりて暫く歩くと、不穏な行列を発見しました。それが二郎高田馬場店です。
行列の内訳は地味な格好した男が殆どです。しかも、童貞率がかなり高そうな行列です。
15人位いたでしょうか?中にはあまりにも場違いな、管理職風のサラリーマンが2名混じっていました。
不気味な雰囲気は伝わるでしょうか?
それにしても回転が悪い。待てど暮らせど行列が進まない。
食べた後に納得したのですが、あの量と麺の太さ故、1人あたりの喫食時間が長いのでありましょう。
お店に入口には発券機があり、そこで食券を購入します。
俺は小ラーメンを購入したのですが、樹脂製の赤い食券はヌルヌルしていました。。。。
発券機と重々しい店の空気。
発券機には以下の無料トッピングがありますので、注文時に大声で追加してくれと書いてある。
・ヤサイ。
・トウガラシ。
・ニンニク。
・カラメ。
・アブラ。
店内を覗くと殆どの人が野菜のみで標高120mmはありそうなラーメンを食べている。
「あんなん食ったら、死ぬ。でも、何かトッピングしないと勿体無い!」と貧乏性の俺は思い、
「アブラをトッピングしよう!」と、血迷った決心を致しました。
行列が少し進んで店内に入れたと思いきや、店内奥の階段で待つように指示されました。
店内は私語も無く、厳粛な雰囲気です。長渕のライブみたいです。
ラーメンでこんなに緊張したのは初めてです。
ラーメンと真剣勝負しないとならない雰囲気が、そこにはありました。
店長の奥さんらしき人が、完食するとそのまま病院への片道切符を頂けそうなラーメンを運んでいます。
ドブロックの髪の毛が薄い人に似たお客さんは、それがテーブルに置かれると、
美味しそうな顔をして喰らっていました。
今思えば、F町以外のお客さんは、全員人間に見えませんでした。
1人で来るお客さんが多いのでしょうか?俺とF町は別々の椅子に座る事になりました。
とても不安でした。ラーメンを食い来ただけなのに、なんでこんな恐怖を味わわんとならんのか!?
厨房を覗きます。麺は非常に太いので、事前にまとめて茹でているようです。
多分、茹で上がるのに10分以上かかるのではないのでしょうか?
その茹で上がった麺を平たい湯切り網で掬い上げ、まともに湯切りをせぬまま「ベチャっ」と丼に投入する。
それに野菜を鷲掴みで丼に乗せ、体に悪そうな背脂をお玉一杯丼にかける。
よく云えば、ジャンクな感じです。
俺はトッピングは?と聞かれ、怯えながら「アブラ」と答えました。
F町は何を思ったのか?「ヤサイ」と云っていました。
もうF町に会えなくなると思うと、とても寂しかったです。
それからそんなに待つ事なく、東京の若者を熱狂させるラーメンがやってきました。
店内はラーメンを撮る雰囲気では鉄板無かったので、写真はブレています。
アブラの量が尋常じゃありません。見た瞬間、玉袋が「キュっ」と縮み上がりました。
こりゃないなぁ・・・とスープを飲もうとすると、油の層が20mm位あります。こんなの初めてでした。
スープというか油をレンゲに掬って飲みました。甘くて美味しいです。
ていうか、俺のように油に耐性がある人なら、間違いなく旨い!と思える味です。
岩国の寿栄広食堂の中華そばの上に乗っている油と同じ味です。
麺を箸で持ち上げました。重たいです。太さはうどん並みです。
その麺を良く見てみると、切り口がギザギザしています。どんな製麺しているのでしょうか?
麺はとてもモチモチしています。その太さ故、すぐに飲み込む事ができません。
一部生茹で粉っぽいところがありました。特に気にはしませんでしたが。
肉はチャーシューの様に薄切りされた物ではなく、塊でした。
これの味付けは絶品で、とても美味しかったです。遠くでニンニクの味がしました。
これらを掻き混ぜて食べようにも、量が多すぎて掻き混ぜれません。
仕方ないので、ばっかし食いでもやしだけを片付けて、ラーメンを食べました。
凄まじい食い応えですね。こんなの、ラーメンじゃないです。
スープを味わいたかったのですが、油の層が深すぎて途中棄権しました。
なので、この店の味を思い出そうにも、あの油の味しか思い出せない・・・。
俺は嫁とまだ小さな息子がいるので、スープを全部飲むは止めました。
「ごちそうさま!」と丼を台の上に上げると、一目散に店を後にして、自販機で烏龍茶を買いました。
それから暫くして、かなり草臥れた顔をしたF町と再会しました。
高田馬場から阿佐ヶ谷までの電車、俺とF町には特に会話はありませんでした。
「もう何も食べたくない」、「あれはラーメンじゃない」みたいな会話をしたような記憶があります。
内臓に大打撃を受けた俺達は、この後に予定していた「ホープ軒」と「大勝軒」を断念しました。
ラーメンツアー、終劇。
今思えば、二郎のラーメンは量が多し、その割安いし、若者の見方な気がします。
あの店に行く事を恥ずかしいと思わなければ、あの店は彼らの聖地になりうるでしょう。
味は悪く無かったです。油の味しかなかったけど、むしろ美味しかったです。
あの太い麺の食べ応えは抜群で、あの1杯は心の隙間全てを埋めてくれる可能性を秘めています。
だけど、俺のようなオッサンにはもうキツイ。
多分、これからの人生、能動的に二郎に行く事は無いと思います。
でも、誰かに誘われたら、ヒョコヒョコついて行くと思いますが。。。
その時のトッピングは「全乗せ」にする予定です。
最後にF町情報ですが、一緒に行列に並んでいた管理職風の2人は奥さんに絡みまくっていたそうです。
「アブラってなに?」と質問をして奥さんを困らせたと思いきや、
「それって美味しいのか?」とトドメの質問をして、奥さんをかなり困惑させていたとの事。
重たい体を引き摺り、羽田から大嫌いな飛行機に乗る。
宇部空港に帰ってくると、凄まじい勢いで息子がやってきた。
完。