皆様お久しぶりです。
最近思うのですが、色々な臨床教育スタイルがあります。実践型卒然臨床教育もそうですが、土壌があって初めて実施できるものかと思います。現在一時帰国して当直中ですので、今日は雑文です。
日本に住民票が無い自分としては一時帰国時にはこの病院(湘◯厚◯)で断らない当直をしたり、研修医の先生と戯れるのが自分の日本人医師としてのアイデンティティーとモチベーションをかろうじて維持する命綱的な役割を果たしていたような気がします。
一昨年まで自分が研修医1年目の時の指導医だった松下達彦先生がココで総合内科の部長をしていて、現在も週に1回土曜日に研修医に指導していたりしてます。なので感染症診療のGram染色や抗菌薬の使い方の基盤があり、内科疾患は全て診るという土壌があってコメディカルの雰囲気が良いのが特徴だったりします。
良く色々な病院から相談をされるのですが、時々医学生をつれてワイワイやるのも、そういうBack boneが大事でそれは短期間では決して作ることはできません。お師匠様と話していて、思います。臨床教育の本質は自分の科の後輩を増やす事では無く、自分達の病院の研修医を増やしたり、取り合ってマンパワーを確保することでもありません。患者さんの利益に繋がるように日本全体の底上げを行っていく。ちょっと欲を出せば、ゆくゆくは日本のGIM診療が世界を牽引するそういうレベルまでに引き上げたい。まぁそんな遠い夢の感じです。
なので一番大事な患者さんの事などは考えずに、例えば救急患者を入院をさせて、翌日にウチの科ではない論争(Exclusionの精神)科どうしで揉めるような病院には自信をもってpureな医学生を連れて行くことはできません。
コメディカルも医学生を快く暖かい目で見てくれて、未熟な彼等が現場で活躍することを当たり前のように見守ってくれる。
そういう病院って実は少ないのです。これだけ多くの病院で働いてそう思います。
今日は、朝気づいたのですが、、、なんとここの15年目の外科医の寺島先生は、朝6時から毎日若い先生達に対して心電図やCT・MRIの読み方やエコーの行い方や、電解質、集中治療などなど月曜日から土曜日まで毎日1時間以上レクチャーをしています。何の見返りも求めずに、週2回の当直明けでも朝早くからずっとやってます。毎夜遅くまで勉強していて、医療の鬼とも言えるこの人は、自分の尊敬する先輩の1人です。
本来教育とは「無償の愛」的な要素があって、見返りを求めたり、自分の利益に関連する時のみというのでは限界があります。どうしても大勢の前でのレクチャーや雑誌や、出版など教育の目立つ部分にのみスポットライトが当たるのですが、本当に実力ある臨床医はやっぱり現場にいるもので、根を生やし現場で教えているような気がします。
一昔前の【背中を見て学べ】とか【技を盗め】的なスタイルは成人教育のスタイルが普及している昨今では通用しません。当たりまえですが、教育にも受け手の需要と与え手の供給バランスがあり、また時間をかけた分の教育効果を考慮するからです。教育に携わる医師はそのことを自覚する必要性が出てきます。時代は変わりつつあるような気がします。
青臭いとか、カッコ悪いとか言われるかもしれませんが。そういう青臭い地道な教育が一番大事なのかなぁと思っていたりします。
誰に言われることもなく、若い先生たちの為に、自分の身や時間を削ってでも教えつづける、そして謙虚にそこから自分が学びつづける。自分が研修医1年目の頃に外科チーフレジデントであった先輩の姿は今も昔も全く変わらず朝日に輝いてました。