第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

ジャンプエデュケ-ションは蜜の味

2014-10-09 01:46:45 | 総合診療
皆様、おひさしぶりです。

9月から10月にかけて開始まもない当院を見学に来てくださる
先生方の対応で毎日が大忙しです(といっても月・水・金のみですが)。

この数ヶ月、大きな動きが身辺で起きております。

給料が良いわけでも無く(普通という意味です)
都心にあるわけでも無く(私からすれば東大島は都心です)
立地が良いわけでも無く(スカイツリーも病棟より大きく見えますよ!)
ブランド病院とは決して言えず(個人個人の情熱が今後ブランドになります)

そのような当院に見学に来てくださる先生に申し訳なく思う反面、
さらに良い研修を、教育現場を、将来のリーダーを育てる為の環境を
全力で作っていく努力をしております。

見学に来られた先生方とじっくりとお話をすると、
殆どの先生が地に足をついた研修をされて来ているという事がよくわかります。
医師としての基礎体力があると感じるのです。

私の経験では研修病院にはライバル同期がいるもので、
早い年次に内視鏡を学ぶ事ができたらやれ凄い、
カテーテル検査を初期研修医の時にさせてもらえたので凄い、
云々、手技的な事での見えない競争というものがあったりします。

たしかに早い段階で内視鏡などを行えば、直ぐに上手くなると思います。
一歩、同学年医師達より秀でた気にもなりますし、なにより目に見えて成長を自覚でき
【自分の成長が甘い蜜】となります。
成長の過程を確認しやすいために若い時ほど焦って飛びつきやすくなるのも納得です。
(私もそういう時期がありました)
この教育スタイルはJump Educationと呼ばれたりします。

一方で、今だからこそ思う本当に学ばなければならないもの。
例えばの話ですが、消化管出血を疑う際のバイタルの変動や緊急内視鏡の適応の判断。
簡易Tilt テストだったり、直腸診で便潜血を確認したりする等の

・問診の基本
・身体所見の基本
・病態理解
・それ以外の鑑別診断の挙げ方と否定の仕方
・対患者関係と社会的背景の考慮

などなど、医師の評価や成長として見えにくい領域に関しては置き去りになってしまう
可能性が高くなってしまいます。
他者からも評価されにくく、自己評価もしにくい領域だからです。

最初の初期研修時代にJump educationにハマってしまうと守備範囲が極端に狭い医師
になってしまいますので、初期研修の間はあまりお勧めはできません。

そういった一見みえづらい医師の優れた技量を大切にし、
上の医師から下の医師へ自然に踏襲される。

この文化を構築できるように、10月は奔走してまいります。