第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

おすすめの書籍を・・とのことですが。

2020-08-13 13:21:44 | 総合診療

皆様こんにちわ。

いつもお世話になっている羊土社の敏腕編集者から「コロナ時代に医学生に向けたおすすめの書籍」というテーマでボランティアでの寄稿をお願いされましたので、下記のように記載しました。せっかくなので、医学生以外にも読まれればと思いこちらに転載しておきます。

 

コロナのせいでVISAがおりず日本にいます。完全にオンラインの魔力にとりつかれて良い意味で、多忙は加速しているように感じます。

皆様もコロナ・コロナの中で、色々と思うところがあると思いますが僕が皆様にお伝えしたいことは、ただ一つです。

 

それは

 

「自粛を武器に変えろ!」

なんのことか言いますと。

これをみてください。

自分の人生を振り返ると、緊急度と重要度の軸を考えた時に、圧倒的に緊急なことばかり(例えば日々の臨床や、人から頼まれた仕事(これメチャ多い)、期末テストとかの勉強ですかね〜)に時間を費やしてきました。これはこれで大事なことでしたが、ついつい緊急的な仕事や案件をその日暮らしにこなしていると満足してしまい本当に自分が目指す志をついつい忘れてしまっていたことをアラフォーになって色々と思い当たることがあるわけですね。

 

しかし今になって大きく後悔していることは、重要だけど緊急でないことに対して、もっともっと貴重な時間を割けばよかったということです。

 

緊急でないけど重要な学びに、どれだけ時間を割くことができるか?そこが人生を停滞させないポイントであることに今頃気づきました。多分、それは自分が目標とする自分に近づけるかどうかということにつながります。

 

今、ここで目をつぶって30秒考えてください。そして、本当の自分がなりたい自分像とは何ですか?どんなことでも良いですよ。

 

お金、海外、医師免許、投資、政治、何でもどんな分野でもOKです。

 

そして、それを10個くらい書き出してみましょう。

 

そう。

 

それが、皆様が本来この自粛の期間、比較的自分の孤独を自由に使える貴重な時間に取り組むべき課題です。

 

僕ら指導医が勧める本や教科書は基本的に僕らが生きてきた人生で体得したオススメでしかないのです。

 

僕はみなさんがどんな医師になってもいいと思いますし、海外で医者として働いても本来良いハズですし!!

本当は重要だけど緊急でないことは何なのか?それが比較的時間に余裕のある自粛の時間に孤独を感じながら取り組むべきことだと僕は考えています。

この辛い期間をポジティブな夢への挑戦の形に結びつけることで、この期間が皆様の将来の武器になると思っています。

なので、僕は書籍の推薦はしません。だって答えは、みなさんの中にあるはずです。金融、株式、経営、教育、恋愛、海外、公衆衛生、医学、フィジカル・・(マクギーは名著です:笑)なんでも、好きな物を、その書籍を貪るように読めば良いんですよ。

 

決して、先人の僕らの真似をする必要は全くありません。気持ちはとてもわかります、だって情報が多すぎて何を読んだら学んだらいいかわからないからですね。なので、この緊急でないけど重要なことが選択をする上で、意味をなしてきます。

 

ぜひ、普段忙しくてできない時間のかかる重要な学びを今徹底的にしてください。応援しています!!頑張れ若者たち。

 

 


しまね 指導医講習会をFull web で楽しめかつ指導医のアウトカムに繋げることができるように勉強会。

2020-08-05 20:37:12 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

最近は、力を入れて島根地域医療支援センターの県職員のみなさまとどうやったら指導医講習会をFull webで牽引するか。

これを一生懸命考えております。そこで、職員共々考えたのが、まずはどうやったら我々が参加者さんに熱量を持って、わかりやすく、眠くならず、かつ怠みが出ないで楽しんでもらえるかオンラインレクチャーのノウハウを学ぼう!!

 

ということで慶応の井庭崇先生に島根の指導医講習会タスクのために勉強会を開いていただきました。

井庭先生の情報はこちらです。とても素晴らしい学びになりました!! (全て吸収すべくアウトプットするために聞いているので、僕が一番楽しんだと思います)

http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/

 

さて、僕のメモです。指導医講習会を完全オンラインでどうやったら楽しんで実施できるか?

下記は本日学んだオンラインレクチャーのエッセンスになります。

 

#ブレイクアウトルームナンバーをまず控えてもらっておく

#自己紹介ルールをゆるく最初に決めておく (自己紹介の種類を複数、誕生日、アイウエオ順などなど)
 
#早い段階でブレイクアウトルーム機能をかます
 
#デフォルトはZoom ミーティング>>>Zoom ウェビナーは対談時のみ(参加者の顔を映さない)
 
#オンラインではOn site以上に熱量と語りを!目の前にいる一人語りかけるつもりで、実際に聴き手にいてもらうと良い。
 
#今までの授業をそのままやるのではダメ、新しいレクチャーとして再開発する意識がとても大事。
 
#受講者の反応がどうなっているか分からない:教員は怖い。→考え方を変える方針:ラジオパーソナリティーになりましょう。
 
#ラジオのお便りを中心に進めると公言する。100人だとMuteを解いて話してくれないので、チャットにどんどん書き込ませる。
 
#拾ってくれるTA(ラジオ番組スタッフを一人用意しておくとチャットも拾いやすい)
 
#感想 おしゃべりタイムを作成する。(健全な精神的ゴミすてばを作成しておく)
 
#ブレイクアウトルームの最初の違和感(参加者がShyな感じを居心地良くするために、自己紹介やトークのためのルールを提供しておく良い。基本的には同じグループで終日統一することが大事:指導医講習会であればこれは統一したグループになっているのでOK)
 
#行ってらっしゃーい!おかえりなさーい!を使いましょう!
 
#Zoomは同時に話すと、ぶつかるので心理的に牽制し合うので、ゆるい順番ルールは役に立つ。
 
#なるべく全員が一回話すようにする。
 
#REMO、SpatialChatも検討
 
#焚き火ZOOM!! (Youtube流す) :会話や振り返りになど集中したい時に、試すことができるか。
 
#特別ゲスト遠隔から参加してもらう。(可能であれば海外からも!入れる:これはいずれ僕がやろうかな)
 
#オンライン運営チーム専属を作成する:講師に途中伝える、オペレーション、チャット対応などをメインに。
 
#授業内連絡手段:共同担当者と別スレッドで連絡手段を確保する(LINE、Slack、Messgener)。
 
#講師側のネットトラブル:
1不具合時の連絡先を双方に用意
2予備スライドを別PCで権限を与えておく
 
#画面の見せ方はスライドショーよりも、通常時の全画面モードもOKです。
 
#おしゃべり解散を試みる(コメントや提出物をしながら行う、次第にFade outを試みる)
 
#出席確認提出物/ふりかえりの卵:最も面白かったこと/発見的であったこと 7割くらい。他に面白かった事1-2割、他に面白かった事を紙に書いてUPしてもらう。
 
#オンラインレクチャー中やWS中の書類はPDF ファイルのURLを作成してワンクリックで手に入れることができるようにしておく。
 
#オンデマンドの作成時の注意ポイント:録画での作成はラジオパーソナリティーで聞いている人がいるという意識を持つ。(慣れていない場合は、聞いてくれている人を用意すると良い)
 
#伝えたいということをレクチャーするように作成する(ブレンド)経験や体験、その人なりの特徴が出るとわかりやすいなようになる。今日の話の中で、重要なポイントを混ぜる。その人がしゃべっている場に立ち会えたという感覚を出せたらいい。
 
#読めるものは読んでもらえば良い:授業で眠くなってしまいそうな部分は反転学習的に、授業前に読む内容にしてしまうのもポイント。
 
以上です。引き続き頑張ります。

長尾先生大歓迎会

2020-06-18 14:12:29 | 総合診療
【前代未聞のオンライン大歓迎会 神降臨初詣】
 
あの神が出雲に来てくださいました。
学生幹事長のナガイさん、マンデル君、そうし君らが色々と自主的に準備くださりました。
 
我らが医学部長も来てくださりますので(勝手に予定をKeep)、学生の皆様、教員の皆様、
そして【しまね】大学医学部に所縁があって長尾先生を歓迎したい方はどなたでも参加可能です
(島根で働きたい人や教員やりたい人もどんどん参加ください)。
 
皆様 長尾先生の出雲の地へのご降臨を祝い、初詣をいたしましょう!!
 
*学生主体で、こういう教員の着任の歓迎の仕方があってもイイと思います!
島根の東京人口密度換算 3175名までOKです(63.5倍)
 
申し込みはコチラ
参加登録
(下記URLまたはQRコードから申し込みをお願いいたします)
お問い合わせ:shimanekangeikai@gmail.com
 

オンラインでの診断学講義をどうすれば楽しくなるか?

2020-05-29 12:43:29 | 総合診療
みなさまこんにちわ。
 
授業は全てオンラインへ移行し、良い面も悪い面も見えてきました。
対面で行う授業の意味と、その価値を自覚した印象です。
 
あれも大事、これも大事と、足し算はあるが引き算はないやり方で膨大に膨れ上がった業務や授業など必ずしも必要
とは言えないものを大学として削ぎ落とすタイミングでもあります。
 
診学の講義はオンライン!いやぁ、翼の折れたエンジェル的に自分の強みをへし折られますね。
どうしたら一工夫できるか考えましたのでシェアします。
 
まず学生の負担にならないが、学習効率を上げるための事前課題がとても重要です。
 
「講義での課題です。36歳女性が39.6℃の発熱で受診しました。感染症や非感染症を問わずあなたが想定する鑑別診断を一つ(だけ)あげて、それをTwitterの140文字以内に収まるようにわかりやすい説明を加えてオンライン授業に参加して下さい。それが珍しかったり、他者と違えば違う鑑別診断ほど素晴らしいこととします。診断で僕と勝負しましょう。」
 
事前課題の意図は、色々な意味を持たせています。
1)オンラインでも苦痛なく参加できようにすること、
2) 能動的に自分で調べた医学的知識をツイッター情報レベルに集約するスキルと練習、
3) チャットボックスに全員が貼れば同級生がみて知識をシェアすることができる。
4) 臨床推論の実際の思考方法を追体験する時の材料に使える、
5) 教員や学生の負担も比較的少ない。
 
本医学部は医学生さんたちの協力なサポートと情熱ある先生達のおかげで早々に全ての講義をオンライン化していたので、コロナで教育の負担は寧ろ減って、来年もビデオオンデマンドは使えるのではないかと思います。

やってみせ、言って聞かせて、 させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。

2020-05-28 22:51:55 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

自分の大学だけでもちょっとした簡単な研究や、症例報告やレターや、時にはオリジナルなどの英語論文などのメンタリング。

まだ医学部4年生ですがIRBに通すために指導したりと、多動力をフルスロットで色々取り組んでいます。

実はこのメンタリングって予想以上に時間がかかるのですね〜 今日はその話。

 

僕個人の話ですが、もうすぐここで今後数年間の未来をお話ししようと思います。

 

振り返ると、一番得意であった臨床の現場に出るトレードオフの代わりに、苦手だったことを仕事として行うことになりました。教育と研究です。この数年は大学改革をどうしたらうまくできるかを取り組んできました(実施はあんまり進んでない?)。いや、かなり進んでいる方とも言えるかもしれませんね。。ある意味当時に想像できたことは全部かなっているかもしれないので。。

この所の仕事は、モチベーションがない医学生を励ましたり、逆にモチベーションがありすぎる(あいつらはほって置いても伸びるからと)放置されている医学生をいかに可能性を見出して、自分を超えるレベルにマインドセットするか。ただ「学校の成績が優秀という範囲でとどまる」ところを突き抜けれるかを結構真剣に考えてきたように思います。

それだけではなく、他大学の学生さんや研修医さん、後期研修医さんなども直接連絡をもらて現在進行形で指導していることが多いので、それに一つ一つ返答していると結構な時間を捻出してしまっているようです。

ようやくあのTogglを用いることで時間が見える化しました。なるほど、こうやって僕は忙しくなっていたのだなぁと。なんで自分でも暇に見えるのに毎日夜遅くまで大学にいても忙しいのだろうと。

しかしまぁそれはそれで楽しいので、頑張るしかありません。時間は有限なので、切り詰めて節約するしかないのです。

極力、生産性の低い仕事には手を出さない。他者が頑張ってやるべきことまでは手を出さないなどの工夫をしています。

 

内部も外部もメンタリングを一人一人にやっていて大事なことは、本当にやりたいことを一緒に探して、サポートすると爆発的に進む時の瞬間と感覚です。爆発的に進んで、ちょっと高校ラクビーの選手権出場のように頑張った感をえらえる時もあれば、ない時もあるわけですが(この時の絶望感はハンパないです、がそうも言ってられません!)。

メンタリングを個人個人にしていると時間がなくなりますが、やっぱりこういうところを大事だなぁと思っていることが、

極力信じて任せること(自分がやった方が圧倒的に早い!!)少し、痛い思いをするかもしれませんが信じて任せること。

どこかで聞いた話だなぁと、そうだ山本五十六さんの格言ですね。

 

時々、読み返そうと思います。載せておきます。

 

やってみせ、言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。

話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず

 

あとは、これですね。最近の研修医を見ていて、自分と違うと嘆かずに

 

実年者は、今どきの若い者
などということを絶対に言うな。

なぜなら、われわれ実年者が若かった時に
同じことを言われたはずだ。

今どきの若者は全くしょうがない、
年長者に対して礼儀を知らぬ、
道で会っても挨拶もしない、
いったい日本はどうなるのだ、
などと言われたものだ。

その若者が、こうして年を取ったまでだ。
だから、実年者は
若者が何をしたか、などと言うな。

何ができるか、
とその可能性を発見してやってくれ。

 

 

 

 

 


つなフェス終わりました。

2020-05-25 10:24:46 | 総合診療

みなさま こんにちわ。

今から6日間の31日までに必ずや!朝から夜まで時間を無駄にせず原著論文を一本書き終える!!と決めてSNSシャットダウンを予定しています。こちらに方に、昨日の出来事を書き加えておきましょう。僕はこの内容を日記的に時々見返しては、どこかの記事やアイデアにとりとめておりますので、いつかくるその日のために。

今日は新しい時代がきたことを秒速で理解するのに十分なイベントでした。珍しく緊張しました。

*僕の意見は、大学の総意ではなく、あくまで個人の勝手な妄想性障害級の意見であります。

医学教育で気鋭のShikino先生がこの数ヶ月で医学教育は10-20年を取り戻したとおっしゃてましたが(人のせいにします)、まさに医学教育改革は今この時がチャンスです。

コロナの襲撃は我々大学にとって今までの授業や講義スタイルが本当に学生の学びになって、合理的であったのか?について深く再考する機会になりました。

今後日本の大学側が授業や講義の方法を試行錯誤しながら進化させた後に行きつく先はなんでしょうか?

僕は優れた教え手ないしコンテンツがDistatant Learningで全国一斉受講可能になってしまうことだと思います。全国の医学部の教養や基礎医学の授業も一部の基礎的知識を習得するための内容は理論上一斉で可能に・・。

これで明治時代から150年変わっていないシステムが代わり、足し算の原理で増えるだけ増えた学生の負担や教員の負担がガクッと減ります。

そして今後は、独自性と差別化を各大学がどのようにポリシーを持って進めることができるか?ということになるかと思います。大学で教えるべきことの価値感や大学の評価基準も変わるかもしれません。

僕ら教員は普段、●●でなければならないという常識にひどく縛られまくっています。僕のようなトンチンカンな人間はそれにひどく疲弊します。

学生さんは別に大学に来なくても・・イイ(ぺこば風に)のです。強制的に毎日朝から夜まで座っているのは確かにお互いにとって効率が悪い。

優良の動画、ビデオ、スライド、教科書などのコンテンツはすでに世界中に存在しております。アウトソーシングで補えることは補うべき時代で、それができないとスマホが出てきた時にガラケーで粘っていた僕の両親と同じように色々なことで勿体ない思いをするかもしれません。

毎回授業の出席をいまだに紙で取らなくても(事務の負担は計り知れません・・、申し訳なくて・・)、目的と評価とゴールをしっかりと教員側が考えて新しい手法を用いて挑戦をすれば結果は実はあまり変わらない、いやむしろ良い可能性が高いです。無念ですが、我々が【教えない方】が良いかもしれないのです。

そして今後は、わざわざ対面で教育を行うという価値が相対的に高まります。例えば医師30人を集めて行うカンファレンスや会議が時間給×人数の合計に見合わない内容も同様です。確実に今後改善されます。

一方、わざわざ集まるという行為の価値が高くなったからこそ【直接会える時間】の重要性や大切な何かを意識するようになったと思います。大切な時間をどのように過ごすかという自己決定権は我々個人にあります。

この際、大学という組織で思考が固まってしまっていた部分は一旦崩壊させて、大学スタッフと学生全員がWin-WinでHappyに感じる方向へ転換することが、今回のつながりの力なのではないかと感じています♫

事務作業におわれ、「ジカンガナイナイ」念仏を毎日唱えなければならない大学教員がそんなに数多くいらない時代になれば、一生懸命頑張っている教員が臨床と研究に集中しやくなるかと思います。その時には真っ先に病院にとって収益をあげていない僕がクビになりますでしょう (多分、我が医学部長が守ってくれるハズ)。

学生も研修医も教員も、偉い大学の先生も関係なく、みんなで新しい未来を作ることができればイイなぁと思った今日のイベントでした。

参考文献

1. Schwartzstein RM, Roberts DH. Saying Goodbye to Lectures in Medical School - Paradigm Shift or Passing Fad? N Engl J Med. 2017;377(7):605-7.

2. Emanuel EJ. The Inevitable Reimagining of Medical Education. JAMA. 2020.

3. Nadarajah VD, Er HM, Lilley P. Turning Around a Medical Education Conference: Ottawa2020 in the time of Covid-19. Med Educ. 2020.

4. Prober CG, Heath C. Lecture halls without lectures--a proposal for medical education. N Engl J Med. 2012;366(18):1657-9.

 

Post-COVID-19: 総合診療におけるNew normal

2020-05-23 11:26:18 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

明日は、繋がるフェスですね。どうなるかわかりませんが、楽しく行います。

僕がEditorをさせていただいてるジェネラリストコンソーシアムで、6月に掲載するOpinionのプロトタイプをこちらにも

のせて宣伝させていただきます。

(なんと今回はいつもの寄稿の4倍近くご論文を頂き査読させて頂きました、みなさまの医学や教育に関する論文いつでもお待ちしております)

 

Post-COVID-19: 総合診療におけるNew normal

 

COVID-19パンデミックが我々に与えた影響は数えきれない(1)。感染対策の最も重要な戦略として人と人との接触を極限まで減らすことを多くの国が目標に掲げた。これらに伴う負担は甚大であった、一方で望むと望まないとに関わらず我々総合医の働き方や考え方を再考する機会を与えた。我が国の総合医は文字通り”Thinking Globally, Acting Locally”の考え方と親和性が高く、このCOVID-19の影響のもとに臨床の現場、院内の感染対策、または政策レベルでも貢献する機会が多かったのではないかと思う(2)。この次に我々総合診療医が遭遇するであろうPost-COVID-19での大きな変化と新しい常識 (New Normal)とはどのようなものになるのか?筆者はこのパンデミックの影響で変化する必要があったことに絞り、Post-COVID-19時代に予測される下記の3つの変化に関して考察を行なった。

 

1.総合診療のオンライン化

今回のパンデミックはオンラインで代替可能な業務と医療現場で必然性の高い真の業務を識別する淘汰的な役割を担ったと言える。Post-COVID-19ではオンラインで実行可能な総合診療医の業務がオンサイト業務から移行することはもう避けられない(3)。総合診療をまず臨床、教育、研究の3つの側面で考えてみれば、特に総合診療の教育と研究面は急激にオンラインに代替されるだろう(4, 5)。特に教育活動は各大学や病院間の垣根を超えて、優れた教育の機会が自由に開放されると同時に優れた教育者が選別される。オンライン勉強会などの場を提供するプラットホームもグループレベルで多発するも最終的には優れたものだけに集約されていくだろう。総合診療の研究は、大学を中心とした実験基礎医学からプライマリーケア現場で実施可能な臨床研究や家庭医学、公衆衛生、医学教育、医療の質と安全、医療情報、社会医学など医療に関わる幅広い研究分野へ広がり複雑に交絡し組み込まれていく(6, 7)。このように特に教育や研究面ではオンライン化の潮流の中で、総合診療医としてオンラインを利用しアウトカムを出すことができる人と、できない人との格差がさらに生まれる可能性がある(8)。

 

2 総合診療医の学び

学習機会の格差は解消される一方で自己学習力の有無が医師としての二極化を生む要因になる(9)。優れた総合診療医の教育コンテンツは大学や有名研修病院、企業を通して無料でオンライン開放される機会が増える。地球上の一流大学が卓越した講義を競争して無料開放していることからもこの流れは明らかである(10)。これにより都市部や一部の人気研修病院に研修医が集まる理由であった卒後教育格差が減少する。すでに利用されているテクノロジーとの融合、例えばAI問診等での臨床推論の効率化、バーチャルリアリティーを用いた症例トレーニング(11)、遠隔診療に特化した診察技法のトレーニングとテクノロジーの応用も教育と研究の対象とされ飛躍的に向上するだろう(12)。一方で、総合診療医の自己学習においてオンラインを通して自らを向上させることができる医師とそうでない医師との格差は自ずと開大することになる。

 

3総合診療医の生活様式と職場の多様化

情報や教育の機会に関しては都市部と地域の差別化は減少する。物理的距離の縛りからの解放により、総合診療医が職場を選ぶ際の判断基準は変わる可能が高い。医師として何処に住居を置き、どのような仲間と、何の仕事を行うか等の自己決定権が大きくなる。また、仕事に対する報酬や収入の評価基準はこれまでの時間的・物理的な要素が減少するために、何をもって総合診療医としての仕事をなしたか評価尺度を変更する必要が出てくるだろう。物理的距離が開放された総合診療医にとってオンライン等で副業や兼業を行うことは普通の形になる可能性が高い。以上は、総合診療におけるNew normal像を文献的な案を元に、総論的に分類した予測にすぎない。

 

もともと我が国の総合診療医は新しい専門医像として2018年に構築された。つまり新しいNew normalの医療者集団であった。であるのならば、願わくば避けられない変化を嘆くのではなく、変化に対して柔軟に対応できる医療者の集団でありたいと私は考える。

 

引用文献

  1. Yamin M. Counting the cost of COVID-19. Int J Inf Technol. 2020:1-7.
  2. Haffajee RL, Mello MM. Thinking Globally, Acting Locally - The U.S. Response to Covid-19. N Engl J Med. 2020.
  3. Hong Z, Li N, Li D, Li J, Li B, Xiong W, et al. Telemedicine During the COVID-19 Pandemic: Experiences From Western China. J Med Internet Res. 2020;22(5):e19577.
  4. Sandhu P, de Wolf M. The impact of COVID-19 on the undergraduate medical curriculum. Med Educ Online. 2020;25(1):1764740.
  5. Watson A, McKinnon T, Prior SD, Richards L, Green CA. COVID-19: time for a bold new strategy for medical education. Med Educ Online. 2020;25(1):1764741.
  6. Watari T. The new era of academic hospitalist in Japan. J Gen Fam Med. 2020;21(2):29-30.
  7. Yanow SK, Good MF. Nonessential Research in the New Normal: The Impact of Novel Coronavirus Disease (COVID-19). Am J Trop Med Hyg. 2020.
  8. Chen RC, Tan TT, Chan LP. Adapting to a new normal? 5 key operational principles for a radiology service facing the COVID-19 pandemic. Eur Radiol. 2020.
  9. Ferrel MN, Ryan JJ. The Impact of COVID-19 on Medical Education. Cureus. 2020;12(3):e7492.
  10. Miller J. Gateway to Global Learning, HMS Global Academy’s new web portal opens doors to medical education. Harvard Medical School 2017.
  11. Marques da Silva B. Will Virtual Teaching Continue After the COVID-19 Pandemic? Acta Med Port. 2020.
  12. Hofmann H, Harding C, Youm J, Wiechmann W. Virtual Bedside Teaching Rounds on Patients With COVID-19. Med Educ. 2020.

 

 


with コロナにおける、時間管理についてToggl

2020-05-18 10:50:08 | 総合診療

皆様こんにちわ。

緊急事態宣言が発令して、学生さん達も大学にこれなくなり申し訳ない状況が続いておりました。

出雲は今日から幼稚園、小中学校が始まりました。

 

さて、今日は後ほど説明するPCワークの期間集中するためのTogglのお話。

 

With コロナで変わった働き方といえば、

僕の場合は最初からフレックスタイム制度での勤務形態であることと(言い換えれば24時間臨戦体制になりやすい・・)、

もともとZOOMで会議をしまくり、WebEXで海外の授業に参加し続け、SNSでリアルタイムで出版や翻訳などの仕事をオンライン化していたので働き方改革もいい意味でもともと関係なく、With コロナと言う理由で本質はあまり変わっていません。

もちろん、毎週のように行なっていた講演やレクチャーや、医学生への授業や面談はほぼなくなりました。

いい意味で、本質的に自分が社会や大学にとってあまり貢献できていなかった申し訳ない仕事(不要)が減ったように感じます。

例えばUptodateやDynamedを調べれば済む話であったり(英語が苦手な人は翻訳すれば良いでしょう)、Procedure consultを見たり、今日の診療サポートを見たりすれば人的資源を割かなくても済むようなことや、

僕ら教員が情報をキュレータとしてわざわざまとめたりする作業からの開放を意味します。

 

このCOVID-19の期間、自分は心を平静に、感情が動かされないようにメタ認知を毎日のように行って、ただ淡々と飄々と生活しておりました。

そこで自宅や自分のオフイスで何らかの集中すべき作業でいつも困るのが、

1時間配分 

2本当に集中して達成できているか

どうかだとおもいます。

 

家にいると揉みくちゃのボロボロにされるのでどうしても静かになった夜にコッソリと開始しなければなりません。

時間を有効活用するために、自分の配分や、ペースや速度を客観視するためにとても有用な [toggl] と言うソフトがあります。

https://toggl.com/features/

無料です。

 

基本的に自分の大切な時間を使用したある仕事に対して、どれほど集中して自分の目指したゴールは達成できているか?

客観視して確認することができます。勉強にももちろん使えますね。。同様の勉強学習アプリなどは山ほどありますので、なんでも

OKと思います。

 

日々、自分の時間の使い方の省察はとても大事ですね。僕は机に座った瞬間に、短時間マインドフルネス的に目を閉じて呼吸を整えてから開始します。

 

元来一つのことだけに集中するのがとっても苦手で、キャリアモデルとしてはSpiral &  Transitoryであるのは間違いないと思います。

(この話は究極に自分と関係するので、いつかまた別の時に)

https://www.untapped-talent.co.uk/insights/2020/3/26/an-intelligent-career-model-for-the-21st-century

アラフォー、ミドル?とも後輩や学生さんに揶揄されつつ、悲しいかな日々落ちていく集中力をどう鍛えるか?

これが重要なのですが、以前のブログで書いていました。

 

【集中力】=【環境】×【肉体】×【技術】×【感情】 

(集中力は意識して鍛えないとどんどんと衰える!!特にSNSは一瞬Offします)

環境:最低限の自分の集中環境はどこにあるか知る。(自分の場合は、大学のオフィス)

肉体:健康を保つ、勉強中に適度な運動とストレッチを(自分の場合はFreeleticsと言うアプリ)

技術:必ず期限を授けて集中する努力。  (自分の場合はtogglとスマホ、SSN管理、音声認識)

感情:感情の乱れは集中力を極端に低下させる。 (自分の場合は、マインドフルネス)

 

もしくは、集中力とは、「深さ・長さ・早さの掛け算である」とも言われますね。

 

これらを、なるべく不安定にならないように、維持しながら毎日0.1%でも良いので向上できればいいですね。

特に感情の揺さぶりは認知バイアスの宝庫ですね。。

 

特にOutput型の仕事は掛け算の原理で停滞方向のベクトルに向かいますので、本当に冷静にならなければならないなぁと日々、猛省です。

 

(この記事は一部学生さんから「集中できない、忙しくて」などの理由で相談されて僕なりに回答したことをせっかくなので編集してブログに載せています、同じような相談がきたら次はこれをコピペで貼るので1石2鳥です。)

 

*リモートワーク、テレワークと言うことは有名ですが、僕にはその違いがわかりません。。

https://teleworkers.style/knowhow/55/

こちらの記事も同様のことを書かれていました。

 

 

 


つながるちからフェスと文部省のプレゼンを聞いて

2020-05-13 08:16:17 | 総合診療

つながるちからフェス、これは新しい試みですね。。

お呼ばれしたので、安易に「いいですよ〜」と答えたら少しビビりました。

 

しかし、しゅんしゅんクリニックPさんや山中伸弥先生まで・・

どこからそのようなコネクションを・・。

 

僕は新しい時代が来るのを少し不安を持ちながら、実はとても期待しています。

昨日実はすごく感銘を受けました。あの文部科学省発表のビデオにです。

これまで、前例がない、そういう規則になっている、公平性にかくからetc、、

公務員の範疇に属する自分には提案してきたことがサクッと受け入れられることはほとんどなく、

Extra effortをすることで自分たちの首を締めてしまう勤務システムでは、

努力と根性だけでは改革派非常に難しいことも知り遅まきながら少し大人になれました。

 

このブログの過去をたどるとお分かりですが、すでに前からやっていたハンコは持ちあるかない作戦や、

ZOOMでもWebEx会議でも、Distant learningでも、実践的医学生闘魂外来でも、医学部教育の大学外へのアウトソーシングも、

JrSrなどの海外医学教育と格安での提携も、臨床研究をオンラインで常時学生にメンタリングすることも、

数年前はエイリアンで変人の発言的に見られていたのですが、この事態でなんとなくこれが今後、

「えっ普通のことじゃん」的に一気に加速するように感じています。

 

大学教員のNew Normalはすぐそこにあるのです。

 

教育はアクセスフリーでOpenになります。良い教育に瞬時に無料で格安でアクセスできるので、学生は良い教育とイケてない教育と比較可能です。学年の壁に縛られない、自己学習も可能になるでしょう。国家試験も、一度に集めて行うのではなく、オンライン上で複数回受験することができるようになるかもしれません。

我が国の財源縮小と少子化の中で費用対効果性と独自性などに頑張れない大学は淘汰されます。

そもそも、すでに地球上の発展途上国の逸材が英語でオンラインの無料Certification Schoolで自由に学び、ガスガスと超一流大学に引き抜かれて行ってます。大量の最先端情報とコンテンツを無料で学べる時代に突入しているからです。

頻繁に学生に、「コロナで勉強できない、どうしたらいいですか?」と質問されます。答えは「Google it!!」です。

英語で見れば、もう山ほどあるので・・知の深淵は見えず、学生さんも恐怖を感じるはずです。Edex, Coursera, Youtube云々もあります。全部無料です。

 

良い教育だけが選ばれて残るでしょうが、選んでもらえるように僕らの大学も情報を発信しなければなりません。

 

簡単に言うと、そのように文部科学省が情熱を持ってプレゼンしていました。

大変、大変感銘を受けて、何かYoutube見ながら熱くなってしまいました。

 

この危機を乗り越えるために

使えるものはなんでも使って、

できることを、できる人から

既存のルールにとらわれずに臨機応変に!!(ここ!!です!! ここ!!)

なんでも取り組んでみる (そうです!!そうです!!)

と言われているのです。

 

教員の実務に専念できる時間を拡充するために、これまでの常識を疑いアイデアとツールを用いて、

ある程度がんじがらめのルールは外れても合理性と効率性を追求するバランス感覚を持ちながら

我々は研究・臨床・教育に専念できるように整えなければなりません。

一気に強烈な新しい追い風がきているように感じ、とても嬉しくなって動悸がしています。

ぜひ、大学教員の皆様も

https://www.youtube.com/watch?v=xm8SRsWr-u4

の21分20秒のところからだけでも見ていただければ、とても今まででは考えられなかった情熱的なプレゼンの中に何かを感じることができると思います。

 

ということで、長くなりましたが、医学部教員としてつながるちからフェスでお話します。よければオンライン上で遊びにきてください。

 

医療のちからで、いのちをつなげるために

SARS CoV-2は、世界を大きく変えた。
人と接する機会は減り、分断され、
それでも私たちは、日々変わらずそれぞれのフィールドで
医療に向き合い続けている。
ときに孤独を感じてしまい、投げ出したくなる事もあるだろう。
でも、私たちはひとりではない。
いつでも、どこにだって、つながる仲間がいる。
物理的につながれない今だからこそ、
”つながる”ことで今よりもっと明るい社会に変わっていくはずだ。
境界のない、なめらかな世界に向かって。
5月24日「つながるちからFEST.」を楽しもう。

https://conference.antaa.jp/?fbclid=IwAR3IXiuhDoGrfQtwJhbmn2K-tc1oSDjRvrWZj6jzkFI6Xl6gpaWUU0wEVvU#overview


しまねの現状と医学生さんへ

2020-04-23 09:57:03 | 総合診療

皆さま、お久しぶりです。

色々とありまして、すっかりと更新が遅れています。

 

新型コロナの影響を受けて、ケアネット史上初らしいですが、

孤食ならぬ遠隔での孤撮(孤独な撮影)を行ってみました。また我が大学でも医学部4-6年生に向けてケアネットのDVDは解放で学び放題の予定です。

 

最近良く聞かれるので、しまね県の現状を報告しておきます。
4月8日まで189件PCR検査して陽性者0でした。
 
4月9日の松江ガールズバーでの発生と追跡調査で16件陽性が出ました。19日以降は、45件の検査で陽性0です。
 
確かにただでさえもともと出歩く人がいない島根はさらに閑散としています。いわゆる地理的、空間的なSocial Distanceがギリギリ保てている状況になっているかもしれません。
 
今後も厳重に注意して、予防していかなければなりませんが、東京の現状を見るとそれも時間の問題で厳しいでしょう。
(昨日の慶應大学のPCR陽性率の報告がコンタミなどなく真実であれば少なくとも東京には少なくとも数十万人レベルで無症候の感染者がいることは容易に想定出来ます)。
 
医学生の皆さん、僕ら臨床医は当然現場にいる必要があるのですが、みなさまは対応が異なります。諸国では現場への青田刈りや、コロナの電話対応に駆り出されていることもあるようです。
 
発想をポジティブに切り替えて、「家にいろ」といことは、今こそいっぱい孤独を感じろ(日常に感謝)ということかもしれません。
自分を成長させる貴重な時期にするために毎日の時間を大切に利用しろということだと僕は解釈しています。
 
この数ヶ月を利用して、本来やっておけばよかったネット英会話での語学や、米国の医師免許の挑戦も良いでしょう。
オンラインで指導を受けて研究をするのも良いですし、メンターを見つけて論文を書いても良いでしょう。
数ヶ月から1年という時間でできることは意外と限られています。
 
自分がやりたい、やらなければならないTo Do List的な物をできるだけいっぱい付箋に作ってみて、緊急性と重要性の横軸、縦軸を作り振り分けて、
 
そこから【重要だけど緊急でないもの】から選んで行くと良いかもしれません。(上の図のように)
 
これまで自分の好きな芸術や、歴史や、自分がやっておきたかった学びが、きっとあったと思います。
ちょっと前に、【学校の授業や課題が多すぎるせいで時間がなくてできない!!】と発言していた、
その本当はやりたかった自分の学びを集中する時期です。
 
通常のカリキュラムを与えられて、与えられたカリキュラムをこなせ無くなることを嘆くのではなく、
この限りある貴重な時間をどのように有効活用できるか、
ピンチをチャンスに変換することができる自立したマインドセットが個人レベルで必要な状況になってきていると思います。
 
国家試験や、実習の規定も必要に応じて政府や大学から配慮が加わり必ず調整されます。
だからきっと大丈夫です。必要以上に見えるはずもない未来は恐れずに、前を向いて今与えられた時間を有効活用しましょう。
 
5年後、10年後に振り返って、この時期に頑張ったおかげだと言える日が必ずくると僕は思います。
 
友達も作る間も無く家でオンラインに移行しなければならなかった新一年生には申し訳ないという思いもある一方で、
友達作りの方法すら、人類は新しいパラダイムシフトに入ったのは間違いないと感じています。
 
謙虚に、感謝して日常を過ごせるか。僕も挑戦してみたいと思います。