朝早くから夜遅くまで行動して、なるべく多くの場所を見たり、体験したりするのがツアーの特徴なのに、このツアーはゆったりしていて、朝もゆっくりだった。
五島列島だけの観光で他には行かないからかもしれない。
この日の日程はまず「蛤浜(はまぐりはま)」へ。
ここも夏は海水浴場となるが、そのほかの季節はひっそりとしていて、白い砂浜と遠浅でエメラルドグリーンの海が広がる光景だった。
[蛤浜]
朝から浜辺の散歩し、次は昨日と同じ教会巡り。
最初に行った教会が「青砂ヶ浦天主堂(あおさがうらてんしゅどう)」
ここは小高い丘の上にそびえ立っていて、レンガ造りの教会。
世界遺産には入っていないらしいが、ファサードが赤煉瓦、瓦葺きの屋根に日本らしさを感じた教会だった。
窓から入ってくる光に、あまり派手さがなく、シンプルなステンドグラスがきれいだった。
この後は中通島から橋を渡って五島列島最東端の「頭ヶ島(かしらがしま)」にある「頭ヶ島教会」の見学。
珍しい石造りの教会だった。
目を引いたのが教会の脇にあった、キリシタン弾圧時の拷問の跡、膝の上に石を載せて拷問したらしく、ドラマなどでは見たことがあるが、実際にあったと思うと・・・
こんな時代も本当にあったのだ。
教会の近くにはキリシタンの墓地もあった。
この教会は随所にツバキをモチーフにした花柄文様があしらわれ、「花の御堂」の愛称もあり、華やいだ内部が特徴的な教会なのだが、何となく暗いイメージになってしまった。
キリシタンというのはポルトガル語で、禁教期よりも前にキリスト教に改宗した人々のことで、キリスト教が禁教とされた時代に信仰していた人を「潜伏キリシタン」と呼ぶらしい。
そしてキリスト教が解禁(黙認)となった19世紀後半以降も、引き続き潜伏キリシタンの信仰を続けた人々のことを「かくれキリシタン」と呼ぶと書いてあった。
世界遺産の名称が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」というのがこれで分かった様な気がした。
[頭ヶ島教会]
[頭ヶ島教会内部]
[頭ヶ島教会拷問跡]
再び中通島に戻り江ノ浜郷にある坂本龍馬の像を見に行った。
この像は「五島祈りの龍馬像」となっていた。
坂本龍馬が亀山社中としてグラバーから購入した木造帆船ワイル・ウエフ号が、潮合崎で大暴風雨で遭難してしまって、12名の同志が亡くなってしまった。
そこで龍馬は慰霊碑建立を依頼したと言われている。
この龍馬像は遭難した仲間の冥福を祈り合掌していらしいが、実際に本人がここに来たかどうかは分からない。
最後が坂本龍馬像で、五島列島ツアーは終わり、中通島の有川港から高速船で佐世保に戻った。
ただの観光名所を回るだけじゃなく、潜伏キリシタンの歴史を学ぶツアーでもあった。
過去にはいろいろとあっただろうけど、今は風光明媚なとてもきれいな場所になっていた。