緊急事態宣言が出てしまい、不要不急の外出をしないようにお願いされると、旅行写真でブログを書いている身には辛いものがある。
話題がないのだから。
そこで、今回は少し古い話を書いてみた。
自分には中国人の友人がいる。
彼女の出身は吉林省延吉市、そう、北朝鮮に近く、脱北者の多い地区、それで分かると思うが、漢民族ではなく、朝鮮民族なのだ。
だから言葉は韓国語、もちろん中国語も話す。
その彼女と一緒に中国国内のさまざまな場所を旅した。
その中でも少し変わった体験のことを書いてみようと思う。
ちょうど20年前のこと、彼女と一緒に長白山に登った。
「長白山」とは中国語表記で、韓国語では「白頭山」と書く。
この山の頂上は中国と北朝鮮の国境になっていて、北朝鮮の「金正日」の生まれた山としても有名になっている。
登ったのはもちろんその山の中国側の方だった。
中国国内ではある程度有名な観光地になっている場所だった。
北京乗り換えで延吉に入り、前泊した。
この時、言われたのは「ホテルでは絶対に日本語を話さないこと」だった。
というのは、日本人だと宿泊料が高くなるらしい。
だからホテルではすべて彼女にまかせ、後ろに付いていっただけだった。
朝の暗い内に延吉のホテルを出発して長白山に向かった。
途中の朝鮮民族の村で朝食を食べた。
この辺りにはレストランなどは無く、普通の民家だった。
詳しくは覚えていないが、犬のスープなどがあったような
旅行者に食事を提供して生計を立てている、といったことも普通らしかった。
長白山までは4~5時間、ずっと田舎道と山道だった。
途中には「長白瀑布」と温泉があった。
長白瀑布は高さ68mもあり、絶壁を一気に流れ落ちる素晴らしい滝、温泉は誰もいない小屋があり、コンクリートの湯船があっただけだった。
長白山に近づくにつれてレストランや宿泊施設も多くなり、長白山の山門に着いた。
入場料を払った先には客引きがたくさん待っていた。
ここから山に登るのには徒歩は禁止、四駆車を利用しなけらばならなかったので、その客引きだった。
車はパジェロが多かったと記憶している。
値引の交渉をするのが当たり前らしかった。
ガードレールは無く、石がゴロゴロとした道、下は断崖絶壁だったので、20分くらい怖い思いをしながら車に乗せられ、着いたのが山頂下の駐車場。
そこから天文峰展望台までは楽な山登りだった。
長白山頂上の展望台の500mほど下にはカルデラ湖「天池」があった。
「これを見ずして長白山に来たと言ってはならない」という言葉があるほどなので、やっぱり素晴らしかった。
[天文峰から見た天池]
天池を見て満足して、その後は「図們」に寄ってみた。
ここも北朝鮮との国境の街。
[図們国境大橋]
橋の向こうは北朝鮮になっている。
橋の中央に国境の線と監視所があり、そこまでは行くことができた。
お互いの住民たちが大きな荷物を背負ったりして、自由に行き来している様子が意外だった。
もちろん通行手形のような物があるのだとは思うが・・・
手前の図們側は賑わっていて、向かい側の北朝鮮の方はひっそりとしていた感があった。
そして図們側には公園のような場所があって、観光地にあるような望遠鏡があり、北朝鮮側をのぞけるようにもなっていた。
望遠鏡をのぞいている観光客もたくさんいて、何となく中国側から北朝鮮側を見下しているような雰囲気が感じられた。
珍しい体験だったので、思い出しながら書いてみた。
残念なのが写真が少ないこと。
まさか数年後にブログに載せるなどとは思わず、昔の写真はデジタルではなかったので、ほとんど処分してしまったから。