和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ギャグとオノマトペと『おそ松くん』

2023-07-19 | 幸田文
藤子不二雄著「二人で少年漫画ばかり描いてきた」(毎日新聞社・1977年)
に『シェー』が登場する箇所がありました。

「・・『シェー』というのである。ただいうだけではない。
 左手を頭の上に小手をかざすようにし、
 右手を胸のへんに、手のひらを上にかまえる。そして
 左足を内側に曲げれば満点。・・   」 ( p226~227 )

はい。本ではもうすこし詳しく書かれておりました。

「昭和37年から『週刊少年サンデー』に連載をはじめた
 『おそ松くん』で、赤塚不二夫はギャグ漫画家の地位を不動にした。

 『おそ松くん』にでてくるおフランス帰りの紳士イヤミの発する
 『 シェーッ! 』という奇声は流行語にまでなった

 ピキー、ショエー、トヒヨー、ホエホエ、ビローン、
 ダヨーン、ガバチョ、コキコキカパチョ、ウヒヨー、
 ムヒッ、ハヒッ、ワショー、ゴニヤー、ピヤポ、プンスカ・・・。

 『おそ松くん』に氾濫した奇妙な言葉(?)の軍団は、
 読者の脳髄をかきまわし、不思議な生理的快感をあたえた。 」(p226)


うん。あらためて、
山口仲美編「暮らしのことば擬音・擬態語辞典」(講談社・2003年)
をひらいてみる。数頁をめくるたびに、ページ下に漫画のワンカット
が引用されております。そこに引用されている漫画のカットの中でも
とくに『おそ松くん』のカットが無駄がなくって、あらためて見ると、
まるで擬音・擬態語を効果的に引きだす背景にマンガのカットがある、
というように思えてくるから不思議です。

さて、この本は、編著者・山口仲美さん。それに13名の執筆者で
できあがった辞典なのでした。
「はしがき」は山口仲美さん。その小見出しはというと、
はじめが、「国語辞典にに載らない言葉」
そのつぎ、「日本語を学ぶ外国人と翻訳者を悩ませる」・・・なのでした。

辞書のページにところどころ、はさまるように
「山口仲美の擬音語・擬態語コラム」が⑳もあります。
はい。私はまずはそこしか読まないのでした(笑)。

そして最後には特集として、
『 擬音・擬態語で詠む 俳句傑作選 』
『 擬音・擬態語で詠む 短歌傑作選 』
まで付録のように載っております。
もちろん最後には、索引もありました。

「 オノマトペ(=擬音語・擬態語)を多用する詩人は、
  北原白秋・宮沢賢治・草野心平・萩原朔太郎など。・・・ 」 
        ( p399 山口仲美の擬音語・擬態語コラム⑮ )

私に興味深かったのは山口仲美さんのコラム⑰でした、
題は「 幸田文さんの文章 小説と擬音語・擬態語 」( p457 )


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