和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

古本目録本。

2010-09-06 | 他生の縁
山本善行著「古本のことしか頭になかった」(大散歩通信社)をめくっていると、古本を買いたくなってくるのでした(笑)。
ということで、とりあえず買えそうな本。
   岡崎武志著「気まぐれ古書店紀行」(工作舎)
   そして、「ジェイン・オースティンの読書会」

ついでにと、パラパラひらいてみた山本善行著「古本泣き笑い日記」(青弓社)に、そういえば、こんな箇所がありました。
「実際、本を読む楽しみというのは、たとえば和田芳恵の『筑摩書房の三十年』(筑摩書房、1970年)を読むこと・・・」(p107~108)
とあります。そういえば、以前読んだ時に興味をもって、ネット検索して見あたらなかった。今回もう一度検索すると、ありました。「筑摩書房の三十年」を3150円で古本注文。

最近届いた古本に、加藤秀俊著「わが師わが友」という新書サイズの本があります。これは、加藤秀俊著作集の月報(自身が書いた交際自伝のようなもの)をまとめたものです。これは、加藤秀俊氏のブログをひらけば全文よめるようになっております。ですが、持っていたくて1000円。

それにしても、山本善行氏の本、
 「古本のことしか頭になかった」では、均一台の安い本を全面にして紹介しているのでしたが、「古本泣き笑い日記」では、けっこうネット注文で、高額な古本を買ている箇所に出くわし、素人には面食らいってしまうのでした。一方の「古本のことしか頭になかった」は、けっこう初心者向けになっているのだなあと、安心して楽しめます。

ちなみに、「古本泣き笑い日記」には最後に、岡崎武志氏との対談「古本で探そう絶版文庫」が載っており、そこに、こんな箇所。

「山本:たしかに一般の読者は、書店で並んでいるのがすべてと思ってる人が多いやろな。ひじょうに狭い範囲で読書をしてる。古本屋へ足を運ぶ人はごく一部やしな。」


こうして、ネットで古本を買える時代にはいったことは、一地方にいる「一般の読者」としては、うれしいことだと、ただただ感謝しております。


蛇足になりますが、
最近、地元の本屋さんで季刊秋号「文藝春秋SPECIAL」を、
買いました。1000円。
パラパラ読んでガッカリ。買わなきゃよかった(笑)。

ということで、せっかくですから、すこし思いついたこと。
加藤秀俊著「わが師わが友」の最初に

「当時の商大は一学年たしか100人ほど、・・・・
とにかく入学式というものがあり、ひきつづき新入生歓迎の懇親会というものが催された。懇親会といっても、いたって少人数の、しかし、ガヤガヤとしたものであったのだが、突如、新入生を代表して、とみずから演壇にとび上がった人物がいる。かれは開口一番、『かつてバイロンはいった!』と絶叫し、そのことばで一堂はシュンとしずまりかえった。バイロンのどのことばをかれがどう引用したものやら、わたしは記憶していないが、突如、バイロンなどという人名が出てきたので、さすが勉強家がいるものだ、とわたしは感心し、尊敬した。この人物がいま『朝日新聞』の『天声人語』を書いている辰濃和男である。」(p12~13)

加藤秀俊氏は1930年(昭和5年)生まれ。ちなみに、この新書は1982年に出ております。

最近買った2010年季刊秋号「文藝春秋spesial」の目次に、辰濃和男氏の名前が、ありました。さっそくその「ぼんやりしようか」と題された文を見ると、こうはじまっておりました。

「『人生とはいえないような人生を生きたくはない』19世紀のアメリカの哲人、H・D・ソローの言葉です。ちょっぴりアオクサイけれども、悪くはないですね。」

う~ん。「ちょっぴりアオクサイ」というのでした。
ここで、私が思い浮かべるのは『社内名文家』という言葉でした。
坪内祐三著「考える人」の深代惇郎をとりあげた箇所に、
深代惇郎とそれ以後とを比較していたのでした。


「・・・その結果、『天声人語』イコール深代惇郎レベルの文章という印象が体に深くしみついてしまったのは不幸なことでした。それ以後の『天声人語』はろくなものじゃない。元『天声人語』子というキャリアをバックに、それらの人たちは、カルチュアースクールの文章教室の講師をしたり、『上手な文章の書き方』といったたぐいの本を出版したりしますが、皆、しょせん『社内名文家』にすぎません。」

う~ん。「ろくなものじゃない」という一刀両断。
こういう指摘は、ありがたく拝聴させてもらいます。


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