「京都ことわざ散歩」(京都新聞社・2000年)。
うん。たのしい一冊でして、
つい、引用したくなります。
「あとがき」からも引用。
「京都は千年の都だ。
『源氏物語』『枕草子』『徒然草』や軍記物の
『平家物語』などをひもとくと名言、警句、
有名な故事の宝庫で庶民の落書、童歌にも
立派に『ことわざ』になっているものが多い。」
「京都のことわざには『京ぼめ』や他国との比較が多い。
一方で他国者の京都批評、京都の悪口にも傑作が多く、
京都を語る場合、今も尾を引いているものが少なくない。
とくに狂歌作者大田南畝(蜀山人)の京都人をこっぴどく
こきおろした『今ぞ知る花の都の人心 ろくなるものは更になし』
で始まる『京風いろは歌』は逆読みにしていくと、
新しい京都像の可能性さえはらんでいる。」(p165)
はい。その太田南畝の「いろは歌」もp23~25に
載せております(笑)。
思いもかけない視点がゴロゴロしてる
ので、チラリとでも引用を重ねましょ(笑)。
「江戸は男社会。木村卯雲(二鐘亭半山)は
天明元年(1781)の『見た京物語』で
『京に多きもの、寺、女、雪駄(せった)直し』
と書き『六分女、四分男たるべし』と観察している。
江戸者の京見物に共通の見方のようで
女が男と平気で町中を歩く姿に驚いている。
江戸の武家の女は町人とは隔離された
武家屋敷に生活し町中をぶらりと歩くことは
少なかった。」(p36)
「『風すくなし、雨まっすぐに降る』」
(p53)
こんな箇所もありました。
「京都の町民の気位が高いのをたとえて
『五位(ごい)の位(くらい)』と呼ばれた。
・・・・・・
江戸時代、大名が通ると町人や百姓は
土下座して通過するのを待ったが
京の町人はその必要がなかったという。
京を『輦轂(れんこく)のもと』と呼んだ。
天皇の乗り物のおひざ元の意味だ。」
(p61~62)
うん。京都の辞典なんて、めくらなくても、
こちらの本なら、ついパラパラとひらきたくなる。
京わらべ歌と地続きの身近さが、うれしい一冊。
いろいろ引用は重ねたいのはやまやまながら、
最後は『京の夢 大阪の夢』から。
そのはじまりは
「いろはがるたの最後が『京』で『京の夢大阪の夢』--。
江戸後期の『俚言集覧』には
『夢物語をする前にかく言いて後に語るものなりと言えり』
とだけ解説している。
奇想天外な夢物語を始める前に唱える言葉で
『むかし、あるところに・・・』とさして変わらない。
時間、場所、時代を飛び越えて
自由に語られる物語も夢なればこそ。
『今日(京)の夢 合(逢)坂の夢』
とかければ、めでたい。」(p69)
この短文の最後はというと、
「『京の夢大阪の夢』は江戸型で
京都では『京に田舎あり』---。
大阪には『京』のかるたはない。」(p70)
はい。老若男女どなたにでも、
私は、お薦めしたい一冊(笑)。
ここからなら、京のお喋りが
楽しくなる、末広がり本。
もう、20年前の本なので、
新刊書店で、さがせない。
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