角川文庫の桑田忠親著「定本千利休」をひらいていたら、
信長の死が6行で語られておりました。
「 武将信長の死は、あまりにも唐突であった。それは、
彼がその前後に僅か70余人の小姓、女中衆をついて
洛中の本能寺に宿泊したことに起因するのであるが、
彼のそうした行動も、世伝のごとき武弁としての
不覚さからきたものでなく、一介の数寄者(すきしゃ)として、
博多の富豪島井宗叱(そうしつ)との契約を履行せんとし、
永年収集した自慢の名物道具のお開きにうつつを抜かしたためであった。
火焔に包まれた本能寺の一堂に、東山以来の大名物数十色と
終わりをともにした信長は、天下一の数寄者たるを
辱めなかったといってよかろう。 」(p58)
うん。テーマが千利休なので、これ以上信長を記述すると
どんどん脱線してゆきかねなかったのでしょう。
けれども、これでは読者としては物足りないわけでして、
ここは、桑田忠親著作集全10巻を古本で購入することにしました。
日本の古本屋より、香川県高松市の不二書店からネット購入。
全10巻揃い。5500円+送料1380円=6880円なり。
とりあえず、一冊688円で買ったということです(笑)。
はい。全巻凾入り、帯つきでした。
その帯を見くらべていたら、第4巻織田信長の凾帯だけが
ほかと違って、奈良本辰也さんの文が、帯に載っておりました。
うん。ここは、まずもってその帯の言葉を引用しておくことに。
「 桑田さんは永年にわたって東京大学の史料編纂所におられた。
即ち、わが国に於ける最多の史料に囲まれて今日までを過ごして
きた方である。桑田さんが、なかでも深い関心を持たれたのは
戦国から安土・桃山にかけての時代であり、そこに輩出した
武将たちの生きざまであった。
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康など日本の歴史上に於て、
燦然たる光りを放つ英雄たちはもちろん、彼らと交渉のあった
茶人たちまでが、その膨大な史料によって浮び上ってきた。いや、
別の言葉で言えば、その人物の全体像をふくらませたのである。
私もこれまで、戦国時代をみるときは、桑田さんの本に
随分とお世話になった。確実な史料で、寸分の澱みもなく
叙述された著作は安心して頼ることが出来るからである。
歴史という学問は綜合の学問である。そして
それは大きな政治や人間を語る学問だ。
その桑田さんの著作が集められて世に出るという。
私の大いに期待する所以である。 」
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