この頃になって、
初山滋の版画が気になっておりました。
それでもって、古本で購入したのが、
500部の豪華限定版の初山滋版画集。
昭和51年発行・(縦52㎝×横37㎝)。
古本で一番安かったのは5000円。
5000円+送料1100円=6100円。
夏は、大胆に過ごします。パッと買って。
豪華限定版をページごとバラバラにする。
バラバラにして一枚一枚を数えると、
切り取り方によりますが、私の場合35枚とれました。
バラバラにしてから計算すれば、一枚が約180円なり。
このサイズの額を買えば、ひとつ2000円はするので、
額を買うのは勿体ない、廃品の段ボール箱の一面に
版画集の一枚をセロテープで四隅をはりつけてから、
段ボールの方の上に二箇所穴をあけて紐を通し
壁掛けに出来るようにする。
はい。これで一枚180円の豪華初山滋版画コレクションの完成。
むろん、版画の微妙な色彩は本物とはおおちがいなのでしょうが、
物は考えよう。本物の版画を掛けておくと、色合いは刻々とあせて来る
(ちなみに、この版画集には2枚の原画が別冊としてついておりました)。
これをするにあたって。そうだそうだと思い
浮かんだのが、丸谷才一著「思考のレッスン」(文芸春秋・1999年)。
その「レッスン4 本を読むコツ」に、本はバラバラに破って読め
とあったのでした。読んだ時は素通りしていたのですが、
きっとどこか気がかりで引っかかるものがあったのですね。
引用。
――・・丸谷さんの読書でびっくりしたのは、
本が本の形をなしていない。
バラバラにされて本棚に置いてあったことです。
丸谷】 僕は本をフェティシズムの対象にするつもりはまったくない。
大事なのはテクストそれ自体であって、本ではないと思っているんです。
美本を愛蔵するといったような趣味はまったくありません。
だから、平気で本に書き込みするし、破る。
一冊の本を読みやすいようにバラバラにする(笑)。
あれは出版社の人にはとてもいやがられるんだなあ(笑)。
・・・・・
――原理原則としてはわかりますが、
一冊一万円の『蕪村全集』をバラせるかというと、
それはなかなか勇気の要ることですよね。
丸谷】 うーん。『蕪村全集』ねえ。
やっぱり一万円だったら、僕も心が怯(ひる)む
かもしれないねえ(笑)。
それは極端な例として、文庫本を読むときなどは、
心置きなく破って、必要なところだけ切って読む。
軽くて持ち運びにも便利だし、どこでも取り出して読める。
とにかく本というものは、読まないで
大事にとっておいたところでまったく意味はないんです。
読むためのものなんだから、読みやすいように読めばいい。
( p169~170 単行本 )
うん。美術関連でいえば、バラバラにしたこの版画集にしても、
本をとじて本棚にしまってしまえば、もう開くのも億劫になる。
そのうちに、きっと断捨離が誰かの手ではじまるかもしれない。
そういえば、主なき家から、拝借してきた
文化庁監修「重要文化財」毎日新聞社は
建築・仏像・絵画とうに分かれて数十冊。
そのうちにの一冊をひろげると
昭和48年発行で4300円とあります。
そのまま見ないままで積んである。
そのまま見ないままになるかもしれない。
うん。ここまで書いてきて思ったのですが、
私のブログは引用の断片でできております。
な~んだ。バラバラに引用しておりました。