和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

感性を研く。

2012-11-19 | 本棚並べ
谷崎潤一郎著「文章読本」(昭和19年・140版発行)の古本を棚からとりだして、パラパラ。その本の最後は、こうありました。

「私は、文章道の全般に亘り、極めて根本の事項だけを一と通り説明致しましたが、枝葉末節の技巧について殊更申し上げませんのは、申し上げても益がないことを信ずるが故でありまして、もし皆さんが感覚の練磨を怠らなければ、教はらずとも次第に会得されるやうになる、それを私は望むのであります。」

ここにある「感覚の練磨」というのは、
第二章「文章の上達法」にある、「感覚を研(みが)くこと」で、具体的に触れられておりました。そこを少し引用。

「そこで、感覚を研くのにはどうすればよいかと云ふと、
出来るだけ多くのものを、繰り返して読むこと
が第一であります。次に
実際に自分で作つてみること
が第二であります。
右の第一の条件は、敢て文章に限つたことではありません。
総じて感覚と云ふものは、何度も繰り返して感じるうちに鋭敏になるのであります。」


本棚の整理をしていると、
こういう本を忘れていたと、
思い出させてもらえます。
コメント
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