和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

台所に一番近い席。

2012-06-25 | 前書・後書。
河野裕子エッセイ・コレクション「桜花の記憶」(中央公論新社)。
その「あとがき」を河野裕子さんの長女・永田紅さんが書いておりました。
その「あとがき」のはじまりを引用。


「ものごころついたころから、
家族が食事をするテーブルが、母の仕事机でもあった。
十回以上ひっこしをしていろいろな家に住んだが、
食事はいつも、歌集や手紙の束や原稿用紙やゲラが
雑然と載っていて、鉛筆や消しゴムがころがっていた。
台所に一番近い席が母の場所で、
エプロンや割烹着をつけて煮炊きをしながら、
あるいは後片付けのすんだ深夜にものを書いているのが、
仕事をしている母の姿だった。
食事のときには、『机のうえ片付けて』と言われて、
コクヨの緑の原稿用紙や鉛筆削りを
テーブルの端のほうへ寄せて場所を作り、
消しゴムのかすをはらう。
アネモネやナデシコやエノコログサなど、
母はちょっとした庭の草花をコップに挿して
飾るのも好きだったから、
ごちゃごちゃとはしているけれど
食卓の上はいつも活気のある場所だった。」

うん。河野裕子さんの歌集はもっておりませんが、
この本は、買ってみました。
とりあえず、本文未読のままに、
あとがきを引用させてもらいました(笑)。
コメント
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