VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

米国住宅市場ハブル崩壊?

2006年11月30日 | 住宅業界
住まいの産業ルネサンンス塾の講演会、米国金融政策や住宅政策に詳しいニュージャージー在住の
若松茂生氏(富国生命ニューヨーク駐在顧問)による、「陰りの見えた米国の住宅バブル -住宅市場の新たな展開-」。
 
FRBウォッチャーである若松氏の分析は、グリーンスパン氏やバーナンキ議長の講演会など具体性かつ納得性に富んだものであった。

2006年、米国の住宅販売戸数は減少トレンド、
その販売中心価格が前年マイナス2.2%(9月)になったのは1968年統計始まって以来の大事。
NYタイムズ紙で「住宅バブルが崩壊した!」とポール・グルーグマン氏(経済学者)が寄稿。
にわかに、Recession(景気減退)論に火がついた。

にも関わらず、グリーンスパンは10月に
「住宅市場下落から良い形で脱出できる可能性、最悪期は第三四半期で終わったかも」と楽観論。
‘ITバブル’を‘住宅バブル’に置き換えることで景気を維持したグリーンスパンであるが
「住宅バブルは低金利政策によるものではなく、経済のグローバルな統合化によるもの」と
中・印・露の台頭でインフレリスクが低下した為とディフェンス。

バーナンキ議長およびFRBの見解も「住宅市場は調整局面ではあるものの、他の経済分野に拡大している兆候はない」と容認。
米国の住宅会社も多くは、住宅以外(工場・オフィス・ホテル等)の建設で吸収できているらしい。

【人口増・所得増・低金利】ファンダメンタルな要素が堅く、住宅市場の下落について
エコノミストの見解も「経済成長の足を引っ張るが、経済全体がリセッションに陥る事はない」というもの。

お話の中で大変興味深かったのは、住宅取得は米国においても未だに“The American Dream”であり
家を持つことによって生まれる“活力(心の豊かさ・消費)”は、『住宅国富論』と言えるという。
【住宅こそ国富の中心・国民の活力】
特に住宅は中産階級&若年層に広く富をもたらす点が、上層にしか富をもたらさない株と違う。
米国の25-29歳の持家率は[40%強(2005年)]と、日本の[10%前後]を大きく上回っているのもその表れ。
ちなみに私の知人も2組、20代で立派な一戸建てを5年前に購入し子供も産んでいる。

講演後、米国経営者との意見交換をされてきた山本一元旭化成相談役からも「インフレを受け入れ、調整」という現場のお話や
山本氏池上氏
日本の住宅政策に対する意見を求めた、若松氏と旧知の池上住宅産業新聞社社長も
「住宅国富論」に共感されていたようである。

総じて、米国住宅市場はバブルと呼べない、かつソフトランディングしたという見方。
何より住宅取得により国民の資産を増やし、消費や生活の活力を生んだ源であるというお話に共感と期待が高まった。



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