VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

住団連、樋口会長が語る

2009年10月22日 | 住宅業界
今年度から住宅生産団体連合会(住団連)の会長に就任した、大和ハウス工業の樋口武男会長に
日本不動産ジャーナリスト会議の研修会でご講演頂いた。

講演前に皆で箱弁を食べた後は、お薬も忘れずに・・・(何故か全てがコミカルでカワイイ樋口会長)

冒頭の懇談で「今さっき、業績予想の修正リリースをしました」と、5月時予想の営業利益450億円(連結通期)に対し620億円の37.8%増
という景気の良い話から。 (とは言っても前年比▲16.7%ではあるが)
原価の低減と経費削減の成果等による営業利益率の改善という事。住宅事業での改善が大きく、相当市場を厳しめに見ていた事が伺える。

さて、お話は住団連会長就任ということでの講師依頼だったが、お得意の『熱湯経営』話で盛り上がった。
H15年に亡くなられた大和ハウス工業・石橋信夫オーナーの息がかかった社員も少なくなる中で、
機会ある毎に石橋オーナーの経営哲学や逸話を話される樋口会長は‘語り部’のようである。
(私もそんなお話や石橋信夫記念館見学で、石橋オーナーに魅了された一人)

石橋オーナーは最期の4年間、能登の石橋山荘(と呼ばれる別荘)で療養され
樋口会長は度々経営報告や相談に訪れた時の話では、笑いを取りながらその思い出を楽しそうに語られた。

自らの経営哲学も「事業も人によって決まる」と人材育成の重要性を「会社には人財と人在と人罪が居る」と、
コスト削減による余剰人員も首切りはせず、新規事業に活かそうとする動き。
ダイワハウス創業100周年には10兆円を目指してグローバル事業にも力を入れる。
新規事業では“フ・カ・ケ・ツ・ノ”(最近‘ノ’が加わった)事業を推進すると言う標語。(“福祉・環境・健康・通信・農業”)
住宅の工業化の次は、農業の工業化に取り組み無農薬野菜を作るらしい。

ちなみに住団連会長としては、昨日、政治家に陳情へ行ったときの話。
初めて民主党の先生に陳情ということで、天下りの住団連専務理事は同行を控え
辻本国交省副大臣と長安大臣政務官に面会したところ、辻本副大臣の低姿勢に驚かれた様子。
「住宅支援の相続税非課税枠を2-3000万円」という提案に共感する長安政務官は「相続税自体がおかしいと思っている」とも。
着工戸数が85万戸割れだと4000億円の税収減と計算し、10万戸増える政策をと陳情して来たという事であった。

来年、年男の71歳。住団連会長となった今年は更に走り回ってご多忙の様子。
ご健康に留意されながら業界を牽引して頂きたいものである。

ゆとりある豊かな住生活を実現する国民推進会議、全国大会2009年

2009年10月22日 | 住宅業界
住生活基本法が制定され、その意を国民に浸透し広げる活動の一環で設立された
ゆとりある豊かな住生活を実現する国民推進会議
経団連の奥田名誉会長を本会の会長に迎え、大手住宅会社9社が運営委員として推進している。

今年の全国大会は、著書に「『家をつくる』ということ」などがある作家の藤原智美氏。

「LDKの発明が日本の住宅の大失策」と日本の暮らしと住宅のギャップを指摘しながら
「住宅は家族の記憶装置」というキャッチーなメッセージを送る所が作家らしい。

後半は藤原氏に加えて、青山佳世アナウンサー、岩村和夫東京都市大学教授(建築家)、ダニエル・カール、マリ・クリスティーヌによる
パネルディスカッション「環境問題の解決とゆとりある豊かな住生活を実現するには?」。

岩村教授のお話では、Quarity of lifeの本場英国の住宅開発は100年前に提唱し実現されている
有名なLetchworth住宅地、[田園都市(E.ハワード)]の紹介をした上で

「日本人は居なくなる前提で住宅産業を語っているか?」(2400年代には0に!?)と疑問を投げかけ

省エネでは「日本の住宅内の消費エネルギーは圧倒的に少ない」、給湯・照明家電に改善の余地を残す程度であると
省エネ合戦になっている現状に「低炭素社会における‘心地よい’住まい・まちづくり」を冷静に考えるよう警鐘。

マリ・クリスティーヌさんのお話は初めて聞いたが、幼少の頃から日本→ドイツ→米国→イラン→タイと住み渡った経験による住まいへの思いは、結構面白く良いお話だった。

この国民推進会議によって、住生活・住まいの重要性について民意醸成を図り
国交省&住宅業界としては税制優遇(特に消費税)などを目指す狙いもある。
さて人口減少フェーズで、どんな住宅業界の在り方があるのか。政策含め大きく舵を取る来年になりそうだ。