○色彩俳句006・紺01・山口誓子
○「つきぬけて天上の紺曼珠沙華」(『七曜』1942)(山口誓子01)
○季語(曼珠沙華・秋)紺 DarkBlue 00008B●■▲
【鑑賞】:季語の「曼珠沙華」が登場したのは2回目です。前回は技法俳句の擬人の句として→野見山朱鳥の「曼珠沙華散るや赤きに耐へかねて」を挙げました。朱鳥の句にあるように、もちろん曼珠沙華の花の色は赤ですが、誓子の句では天上(空)の紺色との対照として曼珠沙華をとらえています。おそらく群生した曼珠沙華というよりも空に突き抜けた1本を描いているのではないでしょうか。
○山口誓子(やまぐちせいし)(1901~1994)
○好きな一句:「海に出て木枯帰るところなし」(『遠星』1947)02
○季語(木枯・初冬)
【Profile】:京都市出身。9歳から15歳まで樺太の外祖父に引き取られる。学生時代より→高浜虚子の指導を受ける。三高東大法科を経て、大阪の住友本社に就職。1920年より俳句を始め1929年より「ホトトギス」同人となり、東の→水原秋櫻子・→高野素十、西の→阿波野青畝とともに4S時代を展開する。40歳で病気にて住友を退社。1935年「馬酔木」加入。1948年「天狼」を創刊。→俳句結社一覧
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山口誓子掲載句
03冬帽を火口に奪られ髪怒る(『炎昼』1938)(冬帽・三冬)〈五体20・髪3〉2010/12/7
04降る雪を見る眼差のみな同じ(『雪嶽』1984)(雪・晩冬)〈五感21・視覚2〉2010/12/13
05枯園に向ひて硬きカラア嵌む(『炎昼』1938)(枯園・冬)〈五感30・質感7=硬1〉2011/2/14
06冬の旅鹹(しおから)き海にて手を洗ふ(冬の旅)〈五感32・味覚3=鹹い1〉2011/2/28
07紫が深まれば黒雨の菫(菫・春)〈色彩35・紫2〉2011/4/6
08炎天の遠き帆やわがこころの帆(『遠星』1947)(炎天・夏)〈次元89・遠い3〉2012/8/5
09ひぐらしが啼く奥能登のゆきどまり(『青銅』1967)(ひぐらし・秋)〈92特集・地名1〉2012/8/31
10火の揺れに顔のはためく薪能(『方位』1967)(薪能・春)〈五体122・顔6〉2013/3/26
11春の日やポストのペンキ地まで塗る(『青女』1950)(春の日)〈色彩167・赤5〉2014/3/26
12ナイターに見る夜の土不思議な土(『青銅』1967)(ナイター・晩夏)〈五感544・感情22不思議1〉2021/8/17
13瓜貰ふ太陽の熱さめざるを(瓜・晩夏)〈特集657・天体俳句2-1太陽〉2014/7/18