珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

Aionさんを訪ねて

2019-06-23 10:47:37 | オフ会
6月8日は、Aionさんのお宅を訪問させていただきました。AionさんにはGerman Physiksの会で何度かお目にかかっておりましたが、昨年末、 漸く、拙宅オフにお越しいただきました。その際、ご一緒していたGRFさん、パグ太郎さんが今回も参加です。向かったのは渋谷の松濤。高級の中でも超のつく住宅街で、少し緊張もしましたが、始まってみれば、穏やかな時間が流れることとなりました。一方でこの界隈は、学生自分に下北で飲んで徘徊し、翌朝まで過ごしたことが懐かしまれる場所でもあります。緊張と懐かしさが混在したまま、神泉駅を後にしました。

私が一番の到着でやがてパグ太郎さんが来られました。GRFさんはご自宅の用件が長引いたようで、途中から参加、との連絡が入りました。Aionさんは広大なリビングルームでシステムを組まれています。目を引くのは何と言ってもApogeeの平面型スピーカーですが、他の機器含めて、Aionさんの拘りが伝わってくる構成でした。それらが雑然とではなく、家具のように収まっているのは、オーナーのセンスに依るところかと思います。いきなり音出しではなく、ゆったり歓談してから、オフ会へ移行しました。


本日の個人的目玉Apogee Divaです。Apogeeのスピーカーをリアルに見るのは、実は、今回が最初だったと思います。平面スピーカー自体、なかなか見る機会、聴く機会がありません。大田区YさんのDALI Dacapo、KikiさんのQuad ESLなどが思い出されます。スケール感は随一で、我々の背を余裕で越えています。このSPを受け入れられる部屋が、まず難しいでしょうね。オール、リボン型というのも珍しいです。修理が気になるところですが、現在でも部品が作られているそうです(その場所がオーストラリアと聞いてさらにびっくり)。


デジタル再生の中核はエソテリックのセパレート式でP-02X、D-02Xの組み合わせです。後者はChronosのクロックと共にラックの中に納まっています。一方、アナログの最上流はImmediaのRPM2です。SPIRAL GROOVEの前身のようですね。カートリッジはLyraのHelikon、フォノイコライザーはVendetta ResearchのSCP-2Cの組み合わせです。初めて名前を聞く機器も多かったですが、いずれもAionさんの目に適った機器群です。出どころは多様ですが、銀と黒で揃えられていて、整然と並んでいたのが印象に残りました。


プリアンプです。事前に紹介いただいていた機種から、ゴールドムンドMimesis 2に変更となっていました。Aionさんもかなりのウェルフロート使いです。


ここから先が、更に拘りの世界となります。部屋の特性を把握し、修正するためイコライザ群です。DEQXのHDP-4の他に、ツィータ向けにSonata Op.1というイコライザも併用されています。ツィータの左右差(個体差?)を補正する為、とのことです。鑑賞の途中で、パソコンの画面にて、部屋の特性を測定した結果を見せていただきました。補正のパターンをいくつか記憶できるようでした。私も安価な製品でトライしたことがありましたが、現在は外しています。


パワーアンプもゴールドムンドで、こちらはマルチアンプの構成です。ミッドレンジ/ウーハーをMimesis 28MEが、ツィータをMimesis SR mono 2 Evoが受け持っています。鳴らしにくいとされるApogeeを御するための必然だったでしょうか。


さて、音楽鑑賞です。Aionさんからは事前に「私の好きな音楽」という、有難いテーマをいただいていました。ややもすると音に行きがちなオフ会ですが、私にとっては、ホストの皆さんが好きな音楽を共有するのが最大の愉しみです。以前の会話から、Aionさんがクラシックにお詳しい様子でしたので、クラシック中心を想像していましたが、ジャンルを跨いで多方面の音楽を聴かせていただきました。Aionさんとは世代的にも近いので、いわゆる懐メロも重なります。いい意味で先入観が崩れました。オフ会の面白いところだと思います。

一口にクラシックと言ってもジャンルは様々ですが、Aionさんのお好きな領域は、やはり稀有でした。出だしはフランスのバロックから。シャルパンティエは初めて知り、モンテヴェルディは名前くらいは・・・のレベルでしたが、一旦、音楽が流れれば大丈夫です。解説はパグ太郎さんのphilewebの日記に譲りたいと思いますが、ここでしか聴けない、Aionさんの好きなクラシック像を提示いただきました。平面スピーカーが鳴らす音場表現、個々の楽器の粒立ち感が、室内楽の再生にピッタリはまっていたと思います。


記憶が曖昧ですが、音楽の起源の話題になり、マニアックな音源もご紹介いただきました。西洋の歴史にも詳しいAionさん、パグ太郎さんの会話からは、置いてきぼりでしたが・・・。祈りなのか、音楽なのか、その境界を彷徨うような不思議な感覚でした。


一通りクラシックを聴いた後、カジュアルな路線へ転じました。Aionさんが自ら「ピアソラフリークです」との宣言があり、こちらはアナログで聴かせていただきました。私が勝手に持っているピアソラ像(と言っても、ヨーヨーマ、リベルタンゴという断片的なものですが・・・)を見事に打ち崩していただきました。濃くとドロドロしたピアソラをご紹介いただきました。


続いて邦楽ですが、ここは昭和歌謡一択です。この辺りでGRFさんもタイミング良く?登場されました。ゲストそれぞれの青春時代に合わせた選曲、流石でした。矢沢永吉の「Yes My Love」懐かしいですね。確かにAionさんの言われる通り、コカ・コーラのCMで使われていました。アン・ルイスの「六本木心中」は85年頃にヒットしていた記憶があります。スキー場でもよくかかってました。全般的にLyraのカートリッジ、Helikonに切れを感じました。ロック系に向いている印象を受けました。若かりし頃の加山雄三、布施明をGRFさんも楽しまれたことと思います。


この日の1枚は、これに尽きるのではないでしょうか。オーディオオフ会で「みちのく一人旅」を聴くのは、勿論初めてです。沁みますねぇ。Aionさんの原点、堪能させていただきました。この後、私も三田寛子の「初恋」を登板して、パグ太郎さんが選曲しづらい状況を作ってしまい、すみませんでした。それでも、最後はしっかりとベートーヴェンの難しい弦楽四重奏で締めていただきました。


平面スピーカー=音場表現のイメージを持って臨みましたが、実際に聴くサウンドは音場に限らず、音の細かさ、低域の力感など、聴きどころが多かったように思います。ジャンルを跨いで楽しめる、とても説得力のある音でした。そして、お部屋の大きさを活かした音造りですね。広大なリビングだからこそDIVAが活きますが、裏でのご苦労は想像を超えるものがありそうです。オーディオ経験、スキル、そして何よりAionさんの拘りがサウンドにつながっているのだと思いました。ステサンでしか知らなかったApogeeの音を実際に聴けてよかったです。

オフ会の後は、ご近所のイタリア料理店で感想戦となりました。皆さんの会話のレベルに着いて行くのが大変でしたが、美味しいシチリアの白ワイン、見事な料理と共に楽しませていただきました。既に関東地方は梅雨入りしていましたが、この日は晴れ間が広がりました。お昼から夜まで爽やかな時間が流れました。散会後、夜風を浴びながら、半分学生気分で渋谷までのんびりと歩きました。すれ違う若者を見て、30年の経過を感じた次第です。Aionさん、GRFさん、パグ太郎さん、この度はありがとうございました。

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6 コメント

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Unknown (パグ太郎)
2019-06-23 13:02:53
vafanさん

先日はご一緒できて大変楽しかったです。
何時もながらの、オーディオ システムの美しい写真と丁寧な解説、恐れ入りました。やはりお願いして良かったです。

機器も音楽もオーナーの「我が道を往く」という自負に溢れていて、ひたすらそれを楽しむ体験だったと振り返って思いました。それが、端的にあらわれていたのが、あのシステムから流れ出た「みちのく一人旅」だったということかと。この日の一枚に選ばれたvafanさんに一票です。
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Unknown (横浜のvafan)
2019-06-23 20:20:47
パグ太郎さん、こんばんは。

先日はありがとうございました。日常とあまりにかけ離れた空間に、最初は戸惑いましたが、始まってみれば和やかな雰囲気で楽しめました。

Aionさんの音楽や機器のチョイスは独特でしたが、選んだそれらへの愛情を感じました。私も「みちのく一人旅」には1本取られた感じです。
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Unknown (Aion)
2019-06-24 15:45:01
vafanさん、パグ太郎さん、先日はありがとうございました。
vafanさん、大変丁寧で好意的な記事をありがとうございます。
パグ太郎さんのファイルウェブでの記事も拝読いたしました。
あちらにはレスができないので、この場でお礼申し上げます。
ありがとうございます。

今回のオフ会はサウンド的にはやや悔い残るところもあるのですが、
テーマとした<私の好きな音楽>については、これでOK!という感じです(笑)
それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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Unknown (横浜のvafan)
2019-06-26 08:34:43
Aionさん、おはようございます。

先日はお招きいただきありがとうございました。当初のApogeeのイメージより力感があり、やはり鳴らし手であるAionさんが、仕込んだ音だったなぁと、思います。音楽的志向も、共有できて良かったです。仕事先にあるセカンドシステムの方も機会がありましたら、聴かせてください。

イタリア料理や美術館もフラッと寄ってみようと思います。
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Unknown (GRF)
2019-06-27 10:03:44
先日は、遅れていってすみませんでした。この記事を拝見すると、私が行くまでの内容の濃いこと!Aionさんの面目躍如ですね。

私の感想は、そのシングル盤からなのですが、今少し太い音がしたらと思いました。みちのく一人旅には驚きましたが。

高級なイタリア料理も驚きました。あのようなお店が目白押しなのも土地柄ですね。

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Unknown (横浜のvafan)
2019-06-28 20:43:33
GRFさん、こんばんは。

先日は、ありがとうございました。Aionさんとの交流のきっかはGRFさんです。この点でも感謝しております。

キレか厚みか、なかなか難しいところですね。カートリッジの個性の表れだったでしょうか?

GRFさんも唸るイタリアン、だったわけですね。いいお店を知れました。
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