10月24日~26日、休暇と取って家内と東北旅行に出かけました。3日間かけて山形(立石寺、銀山温泉)、宮城(松島、仙台)、岩手(平泉)と回ってきました。家内からリクエストのあった銀山温泉、松島に私の希望の立石寺、平泉を加えました。旅行前はあまり意識しませんでしたが、いずれも芭蕉ゆかりの地でした。慌ただしかったものの、3日間とも好天に恵まれ、観光と食事を満喫することができました。10月の東北ですので寒さを想定していましたが、拍子抜けするくらい暖かかったです。
山形駅から仙山線で、立石寺のある山寺駅に向かいました。「山寺」の名前の通り、山全体がお寺になっていて、最上部までは階段を1000段登らねばなりません。紅葉やお寺の風情を楽しみつつ、高度を上げていきます。戻りの電車まであまり余裕がなく、ペース早めで登りました。
「閑さや 巌にしみ入る 蝉の声」は芭蕉の句でも最も有名な一句ではないでしょうか?夏、それも夕方、ここで蝉の声をきけば、300年前にワープできそうです。山寺を降りてから、評判のさくらんぼのソフトクリームで疲れを癒しました。仙山線、奥羽本線とつないで銀山温泉の入口、大石田に向かいました。
大石田からは旅館の送迎バスで銀山温泉に入りました。銀山川を挟む一角に、突如、大正時代を彷彿させる旅館群が現われます。写真でこそ知っていましたが、リアルに身を置くのとは違います。皆さんがスマホ片手にシャッター押しまくるのも頷けます。旅行客の半数以上は外国のお客さんでした。
朝は朝で風情があります。朝食後、チェックアウトまで余裕があったのでお土産の調達兼ねて散歩しました。銀山川のせせらぎと、秋の陽光に穏やかな気持ちになりました。2日目は仙台へ移動します。昼食用に名物のカリーパンと揚げまんじゅうを調達しました。
再び山形に戻った後、仙台までは高速バスで移動しました。仙山線と違ってバスは10~15分に1本出ています。宿泊先のホテルに荷物を預け、次の目的地である松島に向かいます。松島は92年に学会のついでに訪れたことがあります。32年ぶりの再訪です。遊覧船に乗る前に、松島を見下ろす高台まで登りました。
前回は遊覧船にカモメの群れが付いてきたことを憶えていますが、カモメをほとんど見かけませんでした。2014年頃に餌付けが禁止されたようです。遊覧中にちょうど日の入りとなり、夕景が素晴らしかったです。新婚旅行で宮島、2022年に天橋立に行きましたので、三大景勝地をクリアできました。
牡蠣は松島でも食せますが、遊覧の時間帯との関係があるのか、お昼が基本の様です。仙台駅前の「かき小屋 飛梅」にしました。生、焼き、アヒージョ、フライで牡蠣を味わった後、枝前、牛タン等仙台の食を楽しみました。宮城の地酒は辛口の日高見、浦霞にしました。
最終日は平泉です。平泉は前から行きたかった場所ですが、中々機会がありませんでした。平泉自体は想像よりコンパクトでした。駅から中尊寺まではバスにしましたが、他は足で回りました。藤原家の栄華、義経の悲劇など古の出来事を重ねつつ、広い境内を回りました。お昼は麓の蕎麦屋にしました。
義経の終焉の地は、中尊寺から歩いて15分ほどのところにありました。やはり有名な「夏草や兵(つはもの)どもが夢の跡 」は、芭蕉がここで詠んだとされます。眼下をゆったりと流ているのは北上川です。川面に秋空が反射して、より一層青くなっています。当時とさほど違わない光景なのかも知れませんね。
旅行の締めは毛越寺です。中尊寺と同じ頃に開山されました。山にある中尊寺とは対照的に、フラットな境内でした。シンボルである大泉が池は、海を模しているそうです。鏡写しになった紅葉、青空、岩が何とも美しかったです。平泉駅近くの菓子工房にて軽くお茶をして、帰路に就きました。
というわけで、駆け足で山形、宮城、岩手と回りました。あらためて東北の魅力を感じることができました。次回はテーマを絞って、盛岡や遠野に、狭く、深く滞在するのもありと思いました。