暑さ寒さも彼岸まで、と言いますが、今年は正にそんな感じで季節が進んでいます。特に寒暖差の振れ幅が激しいのが特徴でしょうか。3月8日の土曜日、1月にお越しいただいたSさんを訪ねて鎌倉へ。この日は、寒さの方で、帰り際にはみぞれとなる状況でした。横浜線、湘南新宿ライナーとつないで、久しぶりに鎌倉入りしました。鎌倉と言えば横須賀線のイメージが強く、橙と緑のラインの車両には違和感がありました。便利になった分、交通トラブルの波及範囲が広くなった・・・なんて話をSさんとさせていただきました。まずは前編です。
集合後のランチは、逗子のとんかつ屋さん「雅むら」でした。鎌倉と逗子の境に広がる高級住宅街の一角にある、落ち着いた雰囲気のお店でした。野菜高騰の昨今、たっぷり盛られたキャベツが嬉しいです。美味しいヒレカツを、ごはん(つや姫)、お味噌汁、漬物と一緒にいただきました。
お腹を満たした後、早速、Sさんのご実家に向かいました。オーバーツーリズムが問題となっている鎌倉ですが、少なからずSさんの生活にも影響があるようです。さてオーディオ部屋は、いわゆる専用部屋になっていて、響きを抑えた空間となっています。広さは10畳程度でしょうか。部屋の改修は30年以上前に行ったと伺いました。Sさんのオーディオ歴の長さが窺えます。あちらこちらに、ワインボトル、ミニカーが配置されて、遊び心ある空間でもありました。終始、リスポジで、寛いで聴かせていただきました。
現在、Sさんが使用されているSPは、ATC NeWSCM-40という密閉型のトールボーイです。写真では判りにくいですがキャビネットは後方が細る曲面となっています。それもあって交差配置を選択されています。リスポジより前で両SPは交差します。箱型のウィーンアコースティックスを使っていた際は、拙宅と同じく平行配置だったとか。このあたりからも、明確なサウンドイメージを持ち、SPの特徴を活かして実現するSさんのスタイルが窺えました。ATCには鳴らしにくいイメージもありますが、窮屈さの全く無いサウンドでした。
Sさんの機器を上流から紹介します。アキュフェーズのDP-400はCDトランスポートとして使用されています。この日は専らディスク再生でしたが、ハイレゾ再生用にDELAもお持ちです。ティグロンのコアキシャルケーブルでデジタル信号をDP-400からSOULNOTEのDAC、D-2へ送っています。
そのD-2です。ディスク、ファイル共通でデジタル信号を受けます。最近、オフ会でSOULNOTE製品を聴く機会が増えているように感じます。オーディオ市場衰退の中、頑張っている国産メーカーと言えるでしょう。関連して、同社のクロックジェネレータX-3も導入されています。
アナログプレイヤーは2台、それぞれ聴かせていただきました。。メインは、ミッチェル・エンジニアリングのGyroDecです。同社のプレイヤーは、オーディオ誌の広告でよく見かけました。扱っていた東志は残念ながら解散してしまったそうです。Sさんも光カートリッジの世界に足を踏み入れていました。DSオーディオのE3をお使いです。
もう1台のアナログ・プレイヤーはテクニクスのSL-1200GRです。ダイレクト・ドライブ式です。カートリッジはビクターのMC-T1000をベースに改良を加えているとのことです。カートリッジは、オルトフォンのSPU SYNERGYの登板もあるようです。
アンプはAyreで揃えられています。プリがKX-R、パワーがV-5xです。Ayreといえばアクシスが扱う高級アンプのイメージがあります。オーディオショウぐらいしか接点がありませんでした。訪問先で聴くのは初めてかも知れません。V-5xは天板を外した状態で、リスポジ前方の床上に置かれています。KX-Rの下段は、フェーズメーションのフォノイコライザーE-300です。SL-1200GR用です。一方、光カートリッジ専用のフォノイコライザーは、合研ラボのGK07EDです(写真無し)。音聴いてビックリ、値段聞いて再度ビックリでした。
ATC、ミッチェルエンジニアリング、そしてAyreいずれも、日本での販売が終わってしまいましたが、Sさんが長い年月をかけて吟味され、導入を決められた逸品ばかりです。機器だけでなく、ケーブル類も、基本、試聴を経てセレクトされているようです。オフ会終了時に、システムはほぼ上がりと伺いました。確かにメンテナンスの問題は気になりますが、ご経験と人的ネットワークでクリアされていくことでしょう。Sさんが手塩にかけたシステムで聴いた音楽、サウンドの感想は、後編でレポートします。