珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

平行法、あれやこれや4

2015-01-25 16:15:59 | オーディオ
先日、リスニングポジションを移動させた場合の定位のずれ方が、音源によって異なる話題を紹介しました。音源に含まれる位相情報の有無が理由だろうと結論付けたわけですが、せっかくなので位相について考えてみたいと思います。オーディオ熱と共に、クラシックやジャズを聴く頻度が増えましたが、これらは位相情報を含んだ音源の代表です。逆の代表が洋楽、邦楽のポップス、ロックです。従来、両者混在のままセッティングしていた感がありますが、現在は、前者を優先し、かつ後者が満足できる条件を探すように切り替えました。位相は今年のテーマになりそうです。

ところで『位相』という言葉自体、日常では使われませんね。技術系の方であれば接することもあるでしょうが、オーディオファン、音楽ファンが技術系とは限りません。むしろ割合では少ないくらいでしょう。位相の意味が分からない方でも、人間が鼓膜の振動を介して音を感知していることは、ご存じかと思います。キーワードは振動です。振動の状態(鼓膜が押されてるのか、戻されているのか、あるいはその中間か)を示すのが位相です。人は瞬間瞬間における鼓膜の状態まで知覚できませんが、二つある鼓膜の状態の差=位相差に対して、極めて敏感と言われています。

位相の効果を知る簡単な実験があります。片方のSPの配線をわざと逆に繋ぐだけです(逆相)。こうすると、ユニットが凹むべきところで膨らみ、膨らむべきところで凹み、それはそのまま鼓膜の動きに転写されます。逆相にすると、普段はセンター奥にしっかり定位するリンダロンシュタットも、落ち着かないヴォーカルになります。拙宅では右SP(接続を変えた方)が優勢に聴こえる感じもあります。アキュフェーズの位相チェック用音源でも試してみました。定位が崩れるべき音源が、逆に座りが良くなりました。チェック音源は、位相を半周期分ずらす細工をしていると思われます。

元々左右に定位している音源ではどうでしょうか?名盤『Art Pepper Meets the Rhythm Section 』や、ジローズの懐かしいフォークソング「戦争を知らない子供たち」を聴いてみました。違和感は残るものの、先ほどのセンターのヴォーカルに比べて違和感は減ります。Art Pepper のサックスはしっかり左に定位しているように聴こえますし、杉田二郎もちゃんと右から聴こえます。


センターのヴォーカルで著しい違和感があるのは、リアルな世界での聴こえ方との差に拠るのではないかと想像しています。正面にいる生身の人の声は、左右同じ音量で、かつ同時に届きます。逆相でつないだヴォーカルは音量こそ左右同じですが、位相がずれるという現実にはあり得ない状況になっています。音量と位相の情報がミスマッチ(喧嘩)してるわけですね。一方、Art Pepper や杉田二郎を逆相にしたところで、左右音量に差があって、位相がずれた状況に変わりはなく、日常茶飯事の範疇というわけです。ここから得られるヒントは、音量と位相の情報を喧嘩させない、整合させるということでしょうか?

この週末も横浜は好天となりました。朝、いつもの尾根道を散歩したら、先週訪れた丹沢は勿論、富士山、そして滅多に見れない南アルプスの北岳まで見えました。オーディオの音場再生も、このように見通し良く行きたいものです。



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