珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

平行法、あれやこれや3

2015-01-11 11:26:53 | オーディオ
月曜日から仕事始めだったこともあり、1週間ですっかり正月ボケが吹き飛んだ方も多いのではないでしょうか。私も関西日帰りあり、新年会ありで、一気にネジを巻き戻されました。もっとも年初から3連休です、ネジが緩む恐れもありますが・・・(笑)。立春まではまだ間がありますが、ようやく近所の散歩道の梅も咲き始めました。ここの梅を見て、西方寺の蝋梅をみて春を待つ・・・なんとなく定着しそうな私の中での初春のパターンです。梅は長い期間咲きます。この木の最後一輪が落ちる頃は、桜の季節も近いはずです。そう思うと、春も近いです。


直接、平行法の話ではありませんが、ヴォーカルの定位に関してちょっとした実験をしましたので紹介します。きっかけはPhilewebでのK&Kさんの記事でした。視聴位置を左右に移動した際、定位の移動の仕方が音源に依存するとのことでした。移動の大小があるようです。平行法が決まると音像が動かない・・・といった表現を耳(目)にしていたので、移動に関して気にし過ぎていたのかも知れません。早速試したところ、K&Kさんと同じ様な結果となりました。自身のオーディオ再生にも参考になる予感がしたので、冬休みを利用して、少々突っ込んだ実験をした次第です。

オーディオファンならずとも、SP間のヴォーカルの出所がリスナーの移動に応じて動くことは当たり前のように経験されていると思います。拙宅ではさらに移動を進めると定位せずにSPから直接ヴォーカルが聴こえる状態になります。この時、遠い方のSPの音は聴こえなくなります。両耳への音の到達時間差が1ミリ秒あると生ずる先行音効果です。拙宅ですと左右に400mm程度移動すると生じます。時間差はそのまま距離差ですから、幾何学的に試聴位置がSPから遠いシステムほど先行音効果が生ずるまでの移動距離は長くなります。ただし、今回はシステムの違いではなく、音源の違いの話題です。

実験に使った音源を紹介します。定位の移動が小さい代表は、K&Kさんの音楽室で録音されたソプラノです。音楽室には昨年2月にお邪魔しました。オーディオシステムとピアノが同居する、響きを抑えた会話がしやすい空間だったことを憶えています。百人一首を唄う企画CDに納められた「淡路島」を使いました。シンプルな1ポイントステレオ録音だそうです。移動の大きい代表は、リンダロンシュタットのデュエット集から「Walk Away Renee」です。過去の音源からデュエットを集めたアルバムであるため録音については注意が必要ですが、おそらくジャケットにあるような1本マイクでの録音だと思われます。


実験です。センターから右へ400mmほど離れた位置に座り、まず「Walk Away Renee」から聴きます。先行音効果が生じる、生じないの境目を探ります。SP奥に定位したり、SPに張り付いたり、が入れ替わる境目の位置です。少女と老婆が入れ替わるだまし絵のような感覚です。ここで視聴位置を固定し、音源を「淡路島」に替えます。拙宅では「淡路島」は、安定してSP奥に定位したままでした。次に視聴位置をセンター側へ200mmほど戻します。両音源ともにSP間に定位しますが、「淡路島」は「Walk Away Renee」に比べて、よりセンター側に定位しました。K&Kさんの実験結果と同じです。


定位の移動の大小が音源によって変わることを、拙宅の環境&私の耳という条件で確認することができました。詳しい方なら理由をお分かりかもしれませんが、何事も自分で確認してみたい性分です。録音の差(ステレオ/モノラル)が効いてるのか、あるいは録音環境の残響が効いているのか、追加で実験してみました。「淡路島」をモノラル音源にして再実験です。モノラル音源化されると左右のチャンネルの位相差(時間差)は無くなりますが、録音部屋の残響は残ります。結果は予想していた通り。モノラル化された「淡路島」は「Walk Away Renee」と同じように、定位の移動が大きくなりました。

その後、ジャンル跨いでいろんなヴォーカル音源の定位の移動の大きさを比較してみました。モノラル音源はジャンルに関わらず全て移動が大きいこと、ステレオ録音は総じて移動が小さいこと、POPS系は総じて移動が大きいことが判りました。例えばリタ・シュトライヒのCDには年代の異なる、ステレオ/モノラル録音の音源が入っていますが、両者では挙動が異なります。同じリンダロンシュタットでも名盤『Hasten Down the Wind』は移動が小さい・・・とはK&Kさんとのメールで出た話題です。私も「Walk Away Renee」との差を確認しました。差が録音起因なのか編集起因なのかは?ですが、POPS系も様々ということです。


音楽室での録音において、マイクと歌い手さんの距離は約1mだそうです。私の想像より随分近いですね。一方で、人間が持つ、方向を知覚する感度(特に正面方向)は高いとも聞きます。音源に入っている些細な位相情報が大事であることを実感しました。位相情報と上手く向き合うことを、セッティングにおいても意識したいですね。位相については、もう少し掘り下げてみたいと思っています。音源提供やメールでの意見交換でK&Kさんにはお世話になりました。ありがとうございました。
コメント (4)
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