乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

113:『続日本絵巻大成19 土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞 』影印「大江山絵詞」「解説」(4枚)

2012-07-24 | 絵巻物、縁起絵巻、巻物、絵解き掛け軸、屏風






 113: 『続日本絵巻大成19 土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞 』影印「大江山絵詞」「解説」

         「大江山絵詞」 逸翁美術館蔵(元 下総国香取神社蔵)
                  逸翁美術館の旧館(小林一三旧邸)
                  逸翁美術館 (いつおうびじゅつかん) 「古筆の楽しみ、古筆切と平安和歌の世界」 (3枚)


      


 「大江山絵詞」 

   逸翁美術館蔵(元 下総国香取神社蔵)

 続日本絵巻大成19 土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞

 1984/04

 182ページ ¥29,400
 

 中央公論社

 B4判



「大江山絵詞」を楽しむ。

『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』 (甦る絵巻・絵本) 影印(7枚)とは絵も内容もずいぶんと違っていて驚いた。

『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』の方は,毒酒やらいこうが甲をもらった経緯や着替えがわかりやすく表現されているが、「大江山絵詞」の方は控えめ。

 案内役の女も『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』では若い、明日の自分の身さえ案じる涙を誘う女だが、「大江山絵詞」では二百年も生き洗濯をさせられている異次元空間に住むことを感じさせる老女。


 少しだけ違いをメモしてみよう…


『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』

0 はじめかららいこうなどがよばれる
1 山中で三人に出会う(熊野権現、八幡、若僧…熊野権現意外は間違っているかもしれない
2 深山の中をずんずんと突き進んで歩いていく感じがする
3 毒酒やらいこうが甲をもらった経緯や着替えがわかりやすく表現されている
4 若い、明日の自分の身さえ案じる涙を誘う女
5 人間の若い女の肉
6 らいこう、綱が人間女の刺身を食べて酒呑童子に親しみを感じさせる
7 若い美しい都の女がさらわれる
8 生き血の酒、人間肉の日干し、人間寿司の絵
9 芸能の絵で目立ったものは無い
10 4の若い女はともに都へ帰る
11 巻物全体に見られる指を指すといった絵が多く強調もされるといった特徴があり,構図がぐるぐると回って面白い


上『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』▲比較▼下「大江山絵詞」                          
「大江山絵詞」

0 はじめによばれた四人は辞退、ついでよばれたのがらいこうたち。
1 山中で四人に出会う(熊野那智、八幡、住吉、若僧)
2 深山をすすsむき術は少ない
3 毒酒やらいこうが甲をもらった経緯や着替えの表現は控えめ
4 二百年も生き洗濯をさせられている異次元空間に住むことを感じさせる老女
5 なんだかわからない肉
6 らいこう、綱がなんだかわからない肉を食べる絵は無い
7 貴女も賤女も男も唐民も御堂入道殿の和子様もとらえられている。
8 人間寿司の絵だけ
9 田楽や踊りや楽奏などの絵が多い
10 4の二百年生きていた老女は酒呑童子が倒され,息絶える。
11 巻物全体に見られる指を指すといった部分は少ない。



 山中で四人に出会う(熊野那智、八幡、住吉、若僧)


 二百年も生き洗濯をさせられている異次元空間に住むことを感じさせる老女
 酒呑童子の館のようすなどを詳しく教える。




 らいこう、酒呑童子の首を切る。


 らいこうの甲に、首だけになった酒呑童子がかぶりつく。
 酒呑童子野見開いた目を,らいこう&綱でつぶすと息絶えた。

 酒呑童子の首を持って、都へ帰る

       めでたしめでたし
 


コメント (2)
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112:『続日本絵巻大成19天狗草紙 』影印「天狗草紙」延暦寺巻 詞書 園城寺巻 東寺巻 三井寺巻AB

2012-07-24 | 絵巻物、縁起絵巻、巻物、絵解き掛け軸、屏風



 112: 『続日本絵巻大成19 土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞 』影印「天狗草紙」「解説」

         「天狗草紙」 延暦寺巻 延暦寺巻詞書 園城寺巻 東寺巻 三井寺巻A 三井寺巻B

      


「天狗草紙」   

  延暦寺巻
  延暦寺巻詞書
  園城寺巻
  東寺巻
  三井寺巻A
  三井寺巻B

 続日本絵巻大成19 土蜘蛛草紙・天狗草紙・大江山絵詞

 1984/04

 182ページ ¥29,400
 

 中央公論社

 B4判



   延暦寺巻詞書

  

 
 延暦寺巻詞書 はじめの部分



  園城寺巻

  


 
 園城寺巻

  尤 尤 尤 尤…

 「そうだ」「そうだ」「そうだ」「そうだ」…
            と,各自が言っている。

 
 園城寺巻

 三井寺の鐘が描かれている

   俵藤太物が竜宮城からもらい、三井寺に奉納したとされる。

   鐘の音は平家物語のように響く。

     ゴーン ゴーン~~
         諸行無常 諸行無常~~
       
   『俵藤太物語絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』 (甦る絵巻・絵本) 影印(7枚)

 
 
 園城寺巻

「天狗草紙」では雅楽を奏でたり,舞楽、田楽を舞う絵が多く描かれている。
 楽の音は山々にこだまする。
 明らかに異様な天狗の姿
 だが先頭の聖にはその姿は見えない。
 この後聖は天狗によって木に吊るされ、狩人の助けられる。

 驚いたことに高僧と見たのは魔界の天狗たち
 恐ろしい計画
「仏法を障碍しょうがいせん」
      障碍=さまたげること。


 今回 絵 省略

  狼藉三昧 ろうぜきざんまい

 詞書
  「畜生道の業因」

  椀に持ったものを手づかみする者
  ひつ から直接飯をわしづかみするもの

 今回 絵 省略
「一編房、あをひで人を信ずるは、そらより花のふればなりけり」

 空より

   散華~~ 

 今回 絵 省略 
 次の絵は僧が裾をまくり上げられ,女が竹筒を差し込んでいる。

 一編上人の小便を乞う人びと。

「万の病の薬にて候」
  
 今回 絵 省略
 舞踊
  ささらを打ち鳴らしておもしろおかしく舞う。
  絵には知らない曲名あり(省略)

 




  東寺巻    今回 詞書 絵 全て省略

 
 南大門
   今様を謡う

 舞楽
  「狛鉾」青い装束(右方の舞)
 楽屋
  雅楽

 東寺から
    高野山へ

 全体に美しい絵画性の高い絵



  


 
  三井寺巻A


 今回 絵 省略
 三井寺
  信誉の智厳房
   障子に人影
   学問の邪魔だと立腹
     手元にあった鋭う小刀で障子越しに斬りつける
   実は学生
     学生の鼻が切り落とされる
        こわ~~
        
  
 僧俗、天狗に入り乱れて,一座の歓をつくしている
 盃散乱
 酔態
  『猩猩』ではないが、かなり酔っている。

 
  三井寺巻A

 京の四条河原町の風景
 肉を食す民
 差別される人びとをも描き出す

  生肉を餌に,天狗を捕まえる
  手に釣り針が引っかかり,落ちる天狗
  すばしこく駆け寄り,天狗の頭をひねり殺す

 今回 絵 省略
  無関心に昼寝する尾の長い犬

 今回 絵 省略
  雅楽を奏でる天狗僧

  




 「天狗草紙」について



 天狗は、天上や深山に住む妖怪

 中国では,流星、山獣の一種
  → 日本に入り,修験僧と結び付いて想像される

       山伏姿
       赤い顔
       高い鼻
       翼
       手足の爪が長い
       神通力
       飛行自在



「天狗草紙」南都北嶺の大寺の僧侶の驕慢(奢り)を,天狗に例えて諷してつくられた絵巻。


『倶舎論くしゃろん』に説く次の七種を天狗に見たてている。

       慢
       過慢
       慢過慢
       我慢
       増上慢
       卑慢
       邪慢


 次の寺の僧侶を持って,それにあてている

       倶舎論とは  (ウィキ)
       仏教哲学の基本的問題を整理したもの

        界品(かいぼん) - 存在の種類  (ウィキ)
        根品(こんぼん) - 存在現象の活動
        世間品(せけんぼん) - 世界の構成
        業品(ごうぼん) - 有情の輪廻の原因となる業
        随眠品(ずいみんぼん) - 有情の煩悩
        賢聖品(けんしょうぼん) - 悟りの段階
        智品(ちぼん) - 智慧
        定品(じょうぼん) - 禅定
        破我品(はがぼん)


       興福寺
       東大寺
       延暦寺
       園城寺
       東寺
       山伏
       遁世の僧侶
とんせい の…

        遁世とは  (大辞泉)
         1隠棲して世間の煩わしさから離れること。「―して庵をむすぶ」
         2 俗世間を逃れて仏門に入ること。出家。とんせ。
        遁世者とは (大辞泉)
         1俗世をのがれて仏門に入った人。世捨て人。
       
 







 
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