『草原の王朝 契丹』(きったん) 大阪市立美術館 2012年6月
契丹展 公式HPより ▼
本展は九州国立博物館が開館前から準備をすすめてきた大型特別展です。 いまからおよそ1000年前、唐王朝の滅亡によってアジアは新たな時代を迎え、北アジアの草原地帯には大契丹国が生まれました。巧みな騎馬戦術と唐を継承する高い工芸技術は、彼らを美の世紀へといざないます。その名は世界を駆け巡り、ロシア語の「Китай(キタイ)」、英語の「Cathay(キャセイ)」のように、中国大陸を指す言葉として「契丹」の名はいまに息づいています。
仏塔に納められた極彩色の品々、異国の香りただようガラス細工、貴人を飾った宝飾品の数々。長くユーラシアの一角に埋もれていた、あまりにも清らかで典雅な文化芸術。本展はこの美しき契丹文化の世界を、契丹を生きた3人の女性にまつわる品々などからひもといていきます。
まなざしを熱くすれば心が躍り、果てなき美の世界に胸は高鳴る。契丹の文化には、1000年の時を超えた深い魅力があるといえましょう。
主な展示物
鳳凰文冠
通遼市ナイマン旗 陳国公主墓出土
開泰7年(1018)
内蒙古文物考古研究所
金製仮面(きんせいかめん)
通遼市ナイマン旗 陳国公主墓出土
開泰7年(1018)
内蒙古文物考古研究所
彩色木棺(さいしきもっかん)
通遼市ホルチン左翼後旗 トルキ山古墓出土
10世紀前半
内蒙古文物考古研究所
動物形飾り(どうぶつがたかざり)
赤峰市アルホルチン旗 耶律羽之(やりつうし)墓出土
会同5年(942)
阿魯科爾沁(アルホルチン)博物館
白磁酒器(はくじしゅき)
赤峰市アオハン旗貝子府鎮出土
10~11世紀
敖漢(アオハン)旗博物館
十方仏塔(じっぽうぶっとう)
赤峰市バイリン右旗 慶州釈迦仏舎利塔(白塔)出土
重煕18年(1049)
巴林右旗博物館
6月初旬に楽しんだ大阪市立美術館開催の『草原の王朝 契丹』だったが,記録は遅れてしまった。
展示物そのものは目を奪われると言ったものはわたくし的には少なかったのだが,展示方法が良い。
民俗民族風習など、事細かに説明されているので,多少民俗学や比較民俗学に関心がないとは言えないわたしにとっては、面白くてたまらない。
会場説明を丹念に読み、各角度から展示物を舐め回して見ている姿は異様だが、自分の世界に没頭。
四、五時間はすぐにたつ。
結構丁寧にメモをつけておいたが,わたくしにとっては日本と共通した部分,イランなどと共通した部分が面白く印象深かった。
コリント様式の建築物の元となった、アカンサス(Acanthus、ハアザミ、葉薊)
書き始めるときりがないほどの日本への影響
ここではひとつふたつだけ,埋葬の際の風習を記録することにする。
memo
鍍金仮面(ときん)
埋葬の際,添える
身分により材質が違う
鍍金仮面、金製仮面(上 写真)… 目が見開く
鳳凰文冠
貴婦人が好んでつける
銀糸装衣
銀糸で編み死者を覆った
鳳凰文靴
草原の露で死者の足を濡らさない
琥珀握(こはくあく)
「握」再現祈願 (死者に握らす)
家形木簡
死者のために机や椅子を置く習俗
身分の高い家形木簡の内部壁面(板)には,絵が描かれたものがあった。
また別の展示物では茶を入れる女官と,男の絵板二枚も見ることができた。
彩色木棺(さいしきもっかん) (上 写真)
屋根に高度差
小さな風鐸がまわりに数多くつけられ,音が鳴る
風鐸には日本の銅鐸のような文様はない
滑り台のような階段
まだまだ続けたいが,今回はこの辺で…(^^)
琥珀が石化したもの(琥珀首飾り)やガラスが銀化したものがあった。
こういったものは個人的に好みと言えるかもしれない。