(写真は2008年11月 信貴山にて )
2011年度 42
『歌舞伎十八番集 』から 「勧進帳」 、『観世流百番集』から「安宅」
『歌舞伎十八番集 』から 「勧進帳」
日本古典文学大系 98
P、175~192
岩波書店
昭和40年 (P,502)
『観世流百番集』から 「安宅」
観世左近 著
檜書店
『観世流百番集』
昭和50年4月 5日 第1版発行
昭和50年4月21日 第21版発行
何度も見た「勧進帳」だが、フィーリングで聞き、ことばが細やかには聞き取れない。
筋書きはわかっていても、ことばは難解。
仏教用語だのの連続で、わたくしには他の芝居よりも聞き取りと言葉自体の把握がむずかしい。
先日東大寺の勧進所を見たためか、ここのところ勧進帳が心の隅にある。
今年一月末にも読んだ『歌舞伎十八番集 』 「勧進帳」、何度か読んだ能楽の安宅だが、今朝楽しんでみた。
「勧進帳」もいい。昨年はじめて大阪城で見た 能楽「安宅」もいい。
「勧進帳」では弁慶以外の山伏は四天王として出演されるが、能楽では九人。
勧進帳を高田かに掲げ、三角を描く押し問答では、能楽は歌舞伎よりも迫力を感じる。
『歌舞伎十八番集 』「勧進帳」では 大舞台の用紙なども詳しく説明されており、「本行好みの飾り付けよろしく」といったことばも楽しい。
旅の衣は篠懸の、旅の衣は篠懸の、露けき袖やしをるらん。
上はわたくしの好きな謡部分で、普段からこの部分は小声でうたうことが多い。
「如月の十日の夜、月の都を立ち出でて」で『竹取物語』をにおわせ、『後選』 十五 蝉丸「これやこの行くも帰るも別れたは……」や、『古今』 九 乙「山かくす春の霞ぞ怨めし木……」を織り込む。
一期の涙
一生涯でただの一度の涙。
生まれた時の産声より、三十余年の留涙、一度に乱すぞ果てしなき
幸四郎丈で見たい。
幸四郎丈の品の良い摺り足が見たい。
投げ六法も
面白や山水に、面白や山水に、
………、………、………、
元より弁慶は、三塔の遊僧、舞延年の時の若
………、………、………、
これなる山水の、落ちて巌に響くこそ
鳴るは滝の水、日は照とも、絶えず、とうたり、とくとく立てや手束弓の、心許すな関守の人々、暇(いとま)申してさらばよとて、笈(おい)を押取り(おっとり)肩に打ち掛け、
虎の尾を踏み、毒蛇の口をのがれる心地して、陸奥の国へぞ下りける。
(「安宅」「勧進帳」共通 )