乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

149; 『ぶらりミクロ散歩―― 電子顕微鏡で覗く世界 ――』 田中敬一 著  岩波新書

2010-10-01 | 読書全般(古典など以外の一般書)
記録のみ




 2010年度 149冊目     『ぶらりミクロ散歩―― 電子顕微鏡で覗く世界 ――』



 


 田中 敬一 著

    著者紹介

    田中敬一(たなか・けいいち)1926年鳥取県生まれ。
    1954年米子医科大学卒業。田中SEM研究所所長、鳥取大学名誉教授。専門は、顕微解剖学。

    著書―『超ミクロ世界への挑戦 生物を80万倍で見る』(岩波新書。講談社科学出版賞受賞)、
       『タマムシの翅はなぜ玉虫色か』(講談社ブルーバックス)、
       『ミクロの世界』(福音館書店)ほか。


 


 岩波書店

 岩波新書  新赤版 1265

 2010年8月20日 

 222ページ 本体 756円





『ぶらりミクロ散歩―― 電子顕微鏡で覗く世界 ――』を楽しむ。

 題名から考えて少し難しいのかなと思っていたが、エッセイ仕立てでおもしろい。

 しかも 著者 田中敬一氏の茶目っ気のあるテンポの良い敏捷に魅了される。

 わたし、著者のこと 田中敬一先生ってヨンキャいますからね!あしからず^^


 どの章のどれもゆかいだったが、ご自分の胆石の出るようすなんてのを描くのも絶妙。

 若干トイレの出来事を想像し、苦笑。

 トンネルをおくぐりになった小石の拡大表面の美しいこと。

 そこまで感動すべきではないと、ほくそ笑む。


 ご家族とのようすがまた楽しい。

 大先生であるはずなのに、どこか 人間臭い。

 机した方、カビ?こんなことまで書かれるこのかた、相当の大物。


「ヤブレガサ」項では、歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵 五段」が・・・(笑)

 この本、
「五十両~~」
出しても惜しくない・・・か?ナ。とにかく、選んで良かった。


 田中敬一先生、他にも色々出しておられるようだ。

 引き続き、読んでみよう^^
 



 


 目次


 はじめに 
1 なんでも覗いてやろう
 
けっけっ毛ぇー/憎い奴、この小石/机の下なる花畑/うなぎのウンコロジー事始め1~4/毛虫の毛を刈った話/カァーラス、カラス/シャツのボタン/ダイヤモンドを焼いたら/星の降る浜/ある写真の物語
●ミクロ写真館 その1


2 食卓のミクロワールド
 
片手わざ/納豆の唐揚げ/湯豆腐を電子顕微鏡で観たら/紫蘇の香り袋/四角の目、六角の目/夏だ! スイカだ!/虹色の貝殻/コンペイ糖とミクロの怪獣/ゆでダコでは駄目
●ミクロ写真館 その2


3 庭先からぶらりと…
 
マツヨイグサ/ハコベは萌えて/むこうの山に登ったら/冥界望見/はな毛を伸ばした赤い花/ヤブレガサ/花と団子と一膳めしと/東海の小島にて/孫と私のコンニャク問答/瓢箪と小瓢箪/卯の花や/さあ飛び出せ/風を視る


 


 面白い写真を撮るためなら……

 電子顕微鏡とミクロの世界をこよなく愛す田中先生。そのユニークな天然キャラは、「世界一受けたい授業」というテレビ番組でご存知の方もいらっしゃると思います。面白い顕微鏡写真を撮るためなら、自分を苦しめた尿管結石さえも題材にしてしまう。そのプロ魂はまさに正真正銘の本物。講談社科学出版賞受賞の筆が冴える、楽しい科学エッセイです。先生ご自慢の写真とともに、ぜひご一読ください。


 

 なんでも覗いてみよう.ミクロの不思議に魅せられた著者が,得意の電子顕微鏡で超微小世界をぶらりぶらりと見て歩く.庭に咲く草花から,はては自分の髪の毛まで.ふだん肉眼で見るのとはまったく違う,奇妙奇天烈な横顔が立ち現れる.身近な物を題材に散歩気分でつづった,ちょっとユーモラスな科学エッセイ







コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

148; 『社会力を育てる ―― 新しい「学び」の構想 ――』 門脇厚司 著  岩波新書

2010-10-01 | 読書全般(古典など以外の一般書)


記録のみ




 2010年度 148冊目     『社会力を育てる ―― 新しい「学び」の構想 ――』






 門脇厚司  著


 岩波書店

 岩波新書  新赤版 1246

 2010年5月20日 

 250ページ 本体 840円




 どの章においても内容的には以前から記されていることが多い。

 赤子が顔を弁別する話などは二十年以上前から複数の育児書に盛んに書かれ、長女出産後すぐにベッドのまわりには顔写真や人形を所狭しと貼ったり置いたりしたことが懐かしい。

 最近では格差社会。この問題においては橘木俊詔氏や三浦展氏を複数册読んだが、今回、新たな発見は得られなかったのが、残念。

 切り貼りや一般論がつながれる中で、著者の考えがはっきりと見えてこない感が強い。

 理想論が示されるが、実現性はどうなのでしょう・・・。

 競争社会にもの申し、互恵的協働社会をイメージされているが、反面、成人式の茶髪や色袴を佩いた若者に半ば嫌みとも感じられる発言をここに堂々と記す著者。



 日本は子の貧困が深刻だと言う。その数1/7。

 日本の子特定で不安材料を集め、だから今 社会力が必要だと言われる。



 楽しく読ませていただいた。楽しい時間を過ごさせていただいたと、喜んでいる。






 岩波株式会社より ▼


 〈競争〉の教育から〈協働〉の教育へ

 今年(2010年)1月、NHKスペシャル「無縁社会」が放映され、話題となりました。社会との絆を失い、孤独に生きる人々の様子が伝えられました。人と人、人と社会をどうつなぐかが、これからの日本の大きな課題になることでしょう。

 では翻って、これからの社会を築いていく子どもたちの育ちや教育の現状はどうでしょうか。子どもたちが地域で様々な人々と交流して人間関係を学ぶ機会は、著しく減っています。また学校教育は「脱ゆとり」へと大きく舵を切り、学力テストや受験などによって子ども同士の「競争」が再び勢いを増しています。こうした現状で、はたして子どもたちが将来、希望をもてる社会を築いていけるでしょうか。

 著者は、前著『子どもの社会力』(岩波新書、1999年)で「人と人がつながり、社会をつくる力」を「社会力」として提唱し、注目を集めました。本書では、いま地域や学校で、子どもの「社会力」を育てることが急務だと主張し、なぜ社会力が必要なのか、どう育てるのかなどを、豊富な実例も交えながらわかりやすく説明します。

 お互いが協力し、助け合える社会を著者は「互恵的協働社会」と呼びます。そうした社会を実現するためにも、教育、子育てはどうあるべきか。日頃、子どもに接している親や教師はもちろん、多くの大人に示唆を与える一冊です。


■著者紹介
門脇厚司(かどわき・あつし)1940年、中国・青島で生まれる(山形県出身)。1970年、東京教育大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育社会学専攻)。淑徳大学講師、東京教育大学助教授、筑波大学教授、同大学人間学類長・教育学系長、筑波学院大学長、日本教育社会学会長、日本教師教育学会長など歴任。現在、筑波大学名誉教授。
著書―『子供と若者の〈異界〉』(東洋館出版社)、『子どもの社会力』(岩波新書)、『学校の社会力』、『親と子の社会力』(ともに、朝日選書)、『社会力再興』(学事出版)、『日本教員社会史研究』(共編著、亜紀書房)、『東京教員生活史研究』(学文社)など。

■目次

  はじめに



序 章
なぜ、若い世代の「社会化不全」が進むのか
 
1 変容する生育環境
2 「非社会化」という変質―社会化不全に通底するもの

第1章
教育と子どもの現状をどうみるか
 
1 戦後教育六〇年の転変
2 学力向上に偏した教育の問題
3 四〇年前から進んでいた学力の階層格差
4 見逃せないもう一つの教育問題

第2章
なぜ、いま社会力なのか
 
1 人が社会をつくる
2 社会力という資質能力
3 人の脳機能を高める社会力
4 社会問題を解決する能力としての社会力
5 互恵的協働社会を可能にする社会力

第3章
社会生活を営む能力としての社会力
 
1 社会生活を営むということ
2 ヒトの子が備えている高度な能力
3 後天的に形成される人間の社会的能力
4 社会的知性の核としての社会力

第4章
急を要する教育目標の転換
 
1 戦後新教育が目指した「新しい学力」
2 OECDの学力観に学ぶ
3 よき社会人を育てる教育
4 公教育の目標を転換する

第5章
社会力をどう育てるか
 
1 社会力が学力を高める
2 多様な他者との交流が育てる社会力
3 地域社会を新しい親密圏に

終 章
互恵的協働社会の実現に向けて
 
1 実現するための困難な道のり
2 互恵的協働社会を実現する教育






コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画71; 『シャッター アイランド』M・スコセッシ監督 ディカプリオ 2009年

2010-10-01 | 映画



    


       映画71; 『シャッター アイランド』  SHUTTER ISLAND




 色彩 ★★★★★ ★★★★★

 話の展開 ★★★★★ ★★★★★

 満足度 ★★★★★ ★★★★★

 好きさ ★★★★★ ★★★★★

 お勧め度 ★★★★★ ★★★☆☆

 
 2009年 アメリカ



 監督・製作 マーティン・スコセッシ

 原作・製作総指揮 デニス・ルヘイン

 脚本・製作総指揮 レータ・カログリディス


 キャスト

レオナルド・ディカプリオ
マーク・ラファロ
ベン・キングズレー
ミシェル・ウィリアムズ
パトリシア・クラークソン
マックス・フォン・シドー
エミリー・モーティマー
ジャッキー・アール・ヘイリー
イライアス・コティーズ
テッド・レヴィン
ジョン・キャロル・リンチ
クリストファー・デナム




 展開がとてもおもしろく、とても怖かった。

 最終展開につぐ期待の最終展開はなされず、結末は思い通りの単純さだが、そこに至までの怖さ。

 だが関心したのは、
「一見どちらにもとれるよ。さぁ、君はどちらに感じたんだい?」
といった制作者の観客に対する挑戦。

 島は映画であり、男は観客といった所か・・・。

 まるで映画の向こう側から観客を見つめて楽しんでいるようにさえ思われる。

 だが映画は素直に展開される。

 断片的にあらわされた時間。それを補いうのような言動の男(ディカプリオ)

 途中の故意に鏤められた矛盾の数々をたぎって行くと、男が67番目の患者だと気づくだろう。

 そして結末

 ロボトミー手術などといったあまりの空恐ろしさに わたしは身震いさえした。



 映画の内容とは違うが、何かあると頭蓋骨を切って能を切り取ったといわれるナスカ展の頭蓋骨を思い出した。

 ナスカの治療でもロボトミー手術でも後遺症に悩んだり亡くなった方は多いという。



 わたしは『シャッター アイランド』SHUTTER ISLANDがかなり好きだった。

 話の結末を一見なぞに見せかける制作者の観客に対する挑戦は、時には 探偵ドラマのように長々と結末を話されるよりも心地がいいものだ。



 
 








ストーリー:精神を病んだ犯罪者の収容施設がある孤島、シャッター アイランド。厳重に管理された施設から、一人の女性患者が謎のメッセージを残して姿を消す。孤島で起きた不可解な失踪(しっそう)事件の担当になった連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は、この孤島の怪しさに気付き始める……。




コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする