「犬静かに」と脅迫文 宮崎・高校生死傷の参考人宅近所
宮崎県延岡市の五ケ瀬川堤防で24日未明、県立高校生の男女2人が刺されて死傷した事件で、県警の捜査本部が確保した重要参考人の男(20)の自宅周辺 で以前、「殺す」などと書かれた匿名の脅迫文が見つかっていたことが分かった。捜査本部は関連を調べており、25日にも男の自宅を殺人などの容疑で家宅捜 索する。
近所の男性によると、今年6月初め、四つ折りにされたA4判の厚手の紙が自宅の車庫に落ちているのを見つけた。「犬を静かにさせろ。殺す。みんなうらんでいる」と書かれていた。男性は小型犬を2匹飼っていた。
黒と赤のサインペンで書かれ、定規を使ったとみられる直線で犬のような絵もあった。事件発生後、捜査員が参考品として持ち帰った。
男と接してきた関係者によると、約2年前は家に引きこもりがちだったが、次第に市内へ買い物に出るようになった。昨年末ごろ自立について助言し、「この調子で頑張れば大丈夫だよ」と励ますと、男は「分かりました。頑張ります」と答えたという。
近くの女性によると、男は4人兄弟の末っ子。家族の一部と同居し、兄2人は県外に就職した。男は母親と車で外出したり、飼っているカメを庭で遊ばせたりしていたが、「ほとんど家にこもっていた」という。
事件は24日午前0時45分ごろに発生。堤防で談笑していた高校生5人のうち2人が刃物を持った男に背中を刺され、現場近くの県立延岡青朋高1年の森重和之さん(16)が死亡、県立延岡工業高2年の藤本歩美さん(16)が重傷を負った。
捜査本部は発生から約6時間後、近くに住む男の身柄を重要参考人として確保。男は18歳のころに病院で精神安定剤を処方され、普段から服用していたが、大量に飲んだことによる昏睡(こんすい)状態で発見された。