リビア反体制派、各国政府と接触 カダフィ氏退陣へ圧力
【ベイダ(リビア東部)=山本大輔、井上道夫】リビア反政府勢力の中心人物として、カダフィ政権崩壊を見越して暫定政権の基盤づくりを進めているアブドルジャリル前司法書記(法相)の政治顧問が4日、前法相側がすでに米国など各国政府と接触を始めたことを明らかにした。
米国勤務経験があるリビア政府の元外交官、アフマド・ジュブリル氏(36)が、ベイダで朝日新聞と会見して語った。
ジュブリル氏によると、市民への武力行使に抗議する大使ら外交官が辞意を表明したリビア在外大使館を通じて、米、英、国連などと接触。国を統治する正統性は自陣営に移っていることを認めるよう要請している。
武力を使って市民を弾圧し、政権の座に居座ろうとするカダフィ大佐への退陣圧力を強めることが狙いという。前法相は、反体制側の住民代表でつくる国民評 議会を近く正式に発足させ、代表に就任する予定。カダフィ政権に代わる国の暫定的な運営母体として国民評議会を支持するよう要請もしているという。
また、カダフィ政権側が戦闘機などで反体制側を攻撃できないようにするため、飛行禁止空域の設定や、政府軍の拠点に対する空爆実施などへの協力も要求中だとした。
一方、ジュブリル氏によると、カダフィ政権側は前法相側に事態収拾のための交渉を提案してきたという。
反体制デモ発生後、カダフィ政権の対外治安庁長官に任命されたばかりのアブゼイド・ドゥーダ氏が数日前、電話で接触してきた。だが前法相側は、カダフィ氏が退陣しない限り、交渉には応じられないと返答したという。
前法相側は、この接触は、カダフィ氏の次男で後継と目されていたセイフルイスラム氏の指図とみている。アブドルジャリル氏を法相に任命したのがセイフルイスラム氏だった。個人的なつながりを通じて、強硬姿勢を堅持する父親に代わって妥協策を模索しているものとみられる。
アブドルジャリル・リビア前法相=ロイター
カダフィ氏は反体制派を「(国際テロ組織)アルカイダ」「ネズミ」などとののしり、支持者らへ徹底抗戦を呼びかけている。