こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

他人の事と自分の事 2

2007-03-25 14:25:32 | モラハラエッセー(離婚後)
 今付き合っている人は危険な男だ、と知った彼女は、その後も少しの間悩んでいたようだった。ある日の昼休み、例の3人組でお弁当を食べながら、彼女に「あの彼氏とどうなったの?」と聞いた。すると彼女は「実はこの前彼にメールしたんだ」「なんて?」「もう別れましょうって」「えー!すごいねー!?」もうひとりの女性社員と思わず歓声をあげた。私は彼女の決断の早さに驚いていた。私なんてモラハラという言葉を知り元夫がどのような人間かわかってから、半年以上かけてやっと別居したというのに。「そしたら彼、なんて言ってた?」「それが…自分が悪かった、またやり直そうってメールがきたあとに何回も電話がかかってきてね。それを見たらまた優しい彼に戻るんじゃないかなーって、やっぱりもう少し付き合ってみようかって悩んじゃって…」「いや、それはやばいよ。絶対また暴力的なことが起こるって」「多分そう思う。友だちにも相談したらきっぱり別れた方がいいって言われたし」「好きになった人だから悩むのはよくわかるけど…きっとまた思い通りにいかなくなったら暴言吐いたりするよ」「私もそう思う。今までもそんなことが多かったから…。やっぱりもう一度彼に話しをするわ」「会うの?大丈夫?」「会ったら何されるかわからないから、メールするよ」「それがいいよ。何か危険なことがあったらすぐ知らせてね。それか警察だよ」「うん、相談する」

 その後の彼女はしばらくモラ彼と戦い続けた。彼女は再度メールを送り彼の番号を着信拒否に設定した。するとモラ彼は家に電話をし、電話に出た彼女の親に、彼女を出すよう言ったらしいが彼女は出なかった。すると親に向かって何か失礼なことを言い、親も気味悪がっていたそうだ。そして今度は家の近くまで来て待ち伏せしていたらしい。ちょうどその時彼女は外出していたが、親が家の近くでうろうろしているモラ彼の姿を発見し、声をかけようとしたら逃げたそうだ。おかげで彼女は防犯ブザーを購入するはめになったが、毅然とした態度をとり続けていたため、モラ彼を撃退することができた。

 この間にも彼女の心の中では様々な葛藤があったことだろうと思う。好きで結婚まで考えていた男性の理不尽な言動に不安を感じながら、でも何とかやっていけるのではないか、お互いに努力すればやっていけるのではないか、と思うことはごく当たり前の気持ちだ。でも、どうして、なぜ、やっぱり、と何度思うことだろう。私は結婚してからずっとそんな迷いを抱き続けていた。何年も何年も。多分私のように、長期間にわたって悩み苦しみ続ける人の方が多いように感じる。
 この彼女のように、短期間でモラ彼の言動に疑問を抱き、他人からのアドバイスをすぐ理解し解決に向けて行動する、というような例はそう多くないだろうと思う。

 そして、この一件でもうひとつ感じた点がある。私はいつも他人の問題にかかわると、そこにエネルギーを投入してしまうのだ。なぜこのような問題が起こったのだろう。引き金は?関連した出来事は?解決方法は?とあれこれ考えてしまう。そして何とかできないものか、どうにか改善できないものか、と行動する。それがいいように作用すれば解決の糸口が得られる。しかし私がなんとかしなければ、といつの間にかコントロールすることに力を注いでしまうと、とんでもないことになる場合もある。その最たる対象が元夫であったというわけだが。

 逆に自分の問題については、鈍感だということだ。他人のことはよく見えるのにいざ自分のこととなると見えなくなってしまう。元夫のことも、頭のどこかで「?」ということはあったのに、それには見ぬふりをした。友人に心配されても、結婚前にDVとか共依存とかいう知識があっても、自分のこととして感じることができなかった。もし結婚前にモラハラという言葉を知っていても「何とかなる」と、結婚へ突入したことだろう。実際にモラハラを体験し、痛い目に遭いまくってからやっと「これって何?」と思い、「それを耐えていた自分って何?そこから離れず執着していた自分って?」とやっと自分に目が向くようになった。

 元夫との関係において、私は自分の弱さや対人関係上の問題を嫌というほど突きつけられた。そして私の中にあったいくつかの価値観も崩れ去った。例えば、「どんな人でも言葉を尽くし誠意を尽くせば理解し合うことができる」と思っていた。しかしそうでもないことを理解した(苦笑)。また「自分で決めたことは貫き通す」という思い込みがあったが、そうでなくてもいいんだ、と思えるようにもなった。


 自分の事って…難しいものだ。


8 コメント

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私も鈍感で・・・ (poohpapa)
2007-03-25 14:43:42
こんにちは

ブランさんに言わせれば、私は元妻からモラハラを受けていたようです。しかも、義父や義妹たちからも。

人間、自分のことは見えないものですね。今の自分を客観的に見れば、「よく我慢していたな」と我ながら思いますし、私の長男からも、家を出た後に「いつ家を飛び出すか、と思ってたよ」と言われてしまいましたから。

ま、我慢できていたんだから許容誤差の範囲内、ということだったのでしょう。

もう、戻れませんし、戻りたいとも思いませんけど^_^;

ウメさんという良き相談相手がいて、同僚さんは幸運でしたね。

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そうなんですか (poohpapaさんへ)
2007-03-25 15:08:39
poohpapaさん、こんにちは

poohpapaさんもモラハラの被害者だったのですか。
それは本当に大変でしたね…。
随分我慢されたこととお察ししますが
離れることが出来てよかったと思います。

私も今になってみれば、元夫からあんなに酷いことを
言われながらもよく我慢していたな、と思います。
思えば私は昔から我慢の子で(笑)
そのことについても近く記事をアップしようと思っています。
しかしもう二度とあのような人間関係は体験したくないですね。。。

同僚にはたまたま私の体験が役立ったのですが
同時に同僚には、私の話を受け入れる準備が
心の中にできていた、ということだと思います。
いくらためになる話しを聞いても
自分にそれを受け入れる器がないと役に立たないものだと
私自身の経験で思いました。
私はなかなか役立てることができなかったので…(^^;)
     ウメより

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ほんとうに、自分のことってわからない (マーチ)
2007-03-25 18:24:06
わたしは未練がましい人間だから、反対されてもたぶん結婚していただろうと思います(いや、たぶんじゃなくて絶対に)。「この人と結婚しなかったら、のちのち未練が残って後悔するだろうな~」なんてね。

実際には、結婚して後悔するはめになっちゃったわけですが。

「我慢の子」のお話、楽しみにしています。
もしかしたら、わたしの子供時代と似ているんじゃないか・・・悪い予感がします(笑)。
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私もです… (マーチさんへ)
2007-03-25 22:43:02
マーチさん、こんばんは

私もあのとき、いくら反対されても
「彼はモラ臭いよ」と警告されても
きっと結婚していました。
やってみないとわからないって
チャレンジしちゃうんですよね…。
ま、これも人生ですよね~(^^;)

我慢の子…マーチさんもそうだったのですか?
おかげで私は子どもの頃ひどい便秘症でしたが(笑)
も、もしかしてマーチさんも?
なんて失礼致しました~m(_ _)m
     ウメより

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私も! (ブラン)
2007-03-25 23:17:03
ウメさん、こんばんは!

私も、努力し尽くさなかった為に、後で後悔する事だけは避けたいという思いが強かったので、「?」と思う部分があっても、問題に向き合う事をせずに、しがみついてしまいました。(^^;)

同僚の彼女が、きちんと良いアドバイスは聞き入れてくれて、冷静に行動された事に本当に尊敬してしまいます。
彼女だって結婚の約束までしていた彼との事ですから、色々な葛藤があったはずなのに・・・

「どんな人でも言葉を尽くし誠意を尽くせば理解し合うことができる」と、私も信じていましたが、私もそうでもない事が解りました。
気付くまでに時間がかかったので、ちょっと後にひいてしまいますね~(^^;)

ところで、私も昔から「便秘症」でした!(爆)
すっきり出来た時は、嬉しくて人に話したくなるんですよね~
便秘友達が出来て嬉しい♪って、失礼しました(汗)
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ブランさんもですか! (ブランさんへ)
2007-03-26 00:08:32
ブランさん、こんばんは!

ブランさん、似てますね~…私と(^^;)

同僚の彼女はあまりに理解が早く
私の方がびっくりしたくらいでした。
きっと物事をそのまま捉えられる人なのだと思います。
私はその時、恋愛というスモークかかったフィルターがついている
かなりぼやけた目で相手を見ていましたね~(笑)

ところで、ブランさん便秘症なんですか~。
すっきり出たときの喜び、わかります!
でもね、私も昔はそうだったのですが
今は何も我慢しなくていい生活なので
ベンピも治ってしまいました~(笑)
やっぱりモラと縁を切ったら
心身ともに調子よくなりますね~。
ブランさんもがんばれ~♪
     ウメより


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同僚の方、かっこいいです! (あんずジャム)
2007-03-26 11:28:34
素敵な人なんでしょうが、決断も見事でしたね~。私の場合は恋愛というよりも、結婚に固執していました。何がなんでも結婚する!という強い思いに他のことには、見事に目をつぶりました。モラ夫のおかしいところ・モラ夫の親のおかしいところ ちゃんと意識していたのに、結婚してしまいました。誰としても長い結婚生活には色々あるよ

って言葉はよく聞きますが、モラの場合は普通の喧嘩じゃないですからね~。愛するがゆえ ではないですからね。ホントに人を見る目を養わないと命とりですね。
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なかなかこうはいきませんね (あんずジャムさんへ)
2007-03-26 21:57:24
あんずジャムさん、こんばんは

そうなんですよ。この同僚、美人で才女なんです。
語学も堪能ですし、一度理解したら行動が早い!
でもそんな才女でもモラと出会うのですから
やっぱり、犬もあるけばモラに当たる?ってくらい
偶然出会っちゃうこともあるのでしょうね。
出会っても、また別れるという選択ができればいいのですが…

私も結婚しなくちゃ、っていう焦りもありましたね。
もっと若いうちに出会ってたら、「やっぱりやーめよ」って
思ったかもしれないのですが、
もうこの人と結婚しなくちゃ、てな感じでした。
お陰で人生、天国(偽)と地獄を見ましたよ…。
いろいろありすぎ、ですね。
恋愛の真実→自分の幻想妄想(爆!)を見たので
もう結構でございます。。。
こんどは目を覚まして平凡な現実を愛します~(笑)
     ウメより
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