飄(つむじ風)

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不思議な少年!! その30

2009-05-04 00:03:03 | インポート

ラホールの憎アジャイニンはイエスの哲学を信ずる!!


 ベナーレス、かのヒンズー教の聖地ベナレスであろう。ヒンズー教の僧侶(バラモン僧)に対し、迎合するることのないイエスの面目躍如である。この姿勢はユダヤ教のパリサイ人、律法学者に対する姿勢を彷彿とさせる。類い希なる勇気と信念をかいま見る。これは人間イエスについての感慨である。



 何時の世にも、どこの世界にも垣根を越えて、真理を求める人はいる。それがアジャイニンであろう。何の背景もなく、素の人間であれば、イエスの真理の言葉をためらいもなく受け入れるのは、そんなに難くないかも知れない。旧来の陋習に生きた人間には、それは困難を伴う。よくある話である。アジャイニンはその後どうなったかは記されていない。が、分かる人には察することが出来る。それについては書かない。

 


 このインドの旅行の断片は、イエスにとってその後の生涯を暗示する旅であったであろう事は察せられる。又、その準備期間として用意されていたであろう事も推察される。

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<ベナレスとカンジス河>

 

 イエスとヒンズー教そして、バラモン僧。誰がその関わりを紐解くことが出来よう。しかし、当時、世界はエルサレムのみが存在したのではない。日本とその隣は朝鮮半島あり、中国大陸があり、前漢から後漢の始まる時期であり、歴史の営みは各地にあった。ましてや、陸続きであるインドとは盛んに交流があったことは想像出来る。マギ僧(三博士)はペルシャのゾロアスター僧の事である。ペルシャ(イラン)の隣が、インド(現パキスタン)である。

 


 ベナーレスの寺院の僧侶のうちに、ラホールから来て客となっているアジャイニンと言う僧侶が居た。彼は商人たちから、ユダヤ少年のこと、その智恵の言葉のことなどを伝え聞き、この少年に面会しその言葉を聞こうと思いたち、旅装を整えてはるばるラホールからやって来た。


 ブラマ僧たちはイエスの語る真理を認めず、ウドラカの宴席で語ったことにいたく慣慨していた。しかし彼らはまだ直接少年に会っていなかったから、しきりにその言うところを聞きたいと思い、寺院に客として彼を招待することにした。


 しかし、イエスは彼らに言った、「光はいとゆたかで万人を照らして居る。若し光を見たいなら光に来るがよい。もしあなたが聖なる方が人に与えるために、わたしにたまわったおとずれを聞きたいなら、わたしに来るがよい。」


 僧侶たちはイエスの言葉を聞いて大変おこり出した。


 しかしアジャイニンは彼らの憤怒(いきどおり)に加わらず、使者に高価な贈りものを持たせて、百姓の家にイエスを見舞わせ、贈りものには次ぎのようなことずてを添えてあった。


 

 先生、どうかわたくしの申しあげることを聞いて下さい。ブラマ教の律法では、僧侶たるものが自分より身分の低い人の家に入ることを禁じて居りますが、あなたがこちらにお出で下さるのは構いません。僧侶たちは屹度(きっと)喜んでお話を承わるでしょう。どうか今日お出で下さって、御一緒に食事いたしましょう。」


 イエスは答えて言った、「聖なるお万は万人を同一視します。わが主人の家は人の子たちのどんな集会にも適しています。もし階級制度のほこりがあなたがたを抑えつけるなら、あなたがたは光に照らされる資格がない。わが父神は人の作った律法を重んじ給わない。お贈り下さったものはお返しする。黄金や貴重品で神の知識を買うことは山来ない。」


 

 このようなイエスの言葉はますます僧侶たちをいからせ、何とかしてこの土地からイエスを追い出そうとたくらんだ。アジャイニンはこのたくらみに加わらず、夜間密かに寺院を出て、イエスの宿をおとずれた。


 

 そこでイエスは言った、「日の照るところに夜はない。わたしには人に告ぐべき秘密は何ももたない。すべての秘密は光に照らされれば明らかになる。」

 

 アジャイニン、「わたくしはこのむかしながらの智恵と、あなたの言われる聖なる方の御国について学ぼうと思って、はるばるラホールから参った。その御国はどこですか。王はどこにいますか。臣下は誰ですか。その律法はどんなものですか。」


 イエス、「この神の御国は遠くない。しかし肉限では見えない。これは心のなかにあります。地や海や空に王をさがすに及ばない。王はそこにいまさない。しかもどこにでもいます。彼は神のキリスト、普遍愛である。この領地の門は高くない。そこに入る者はひざまずかねばならない。門は広くないから、誰も現世の荷物は運べない。
 低級な自我は霊我に変わり、からだは清き流れに洗われ清められねばならない。」


 アジャイニン、「わたしはこの王の臣下になれますか。」


 イエス、「あなた自身が王である。あなたは堂々と門から入って、王のなかの大王の臣下となれる。しかし、あなたは先ず僧服を脱ぎ、黄金のために聖なる方に仕えることをやめなければならない。自分の生命と一切のものを捨てて、喜んで人の子らに仕えなければならない。」

 

 イエスはそれ以上言わなかった。アジャイニンは立ち去った。彼はイエスの言った言葉の意味は分からなかったが、これまで見たことのないものを見たのである。彼は信仰の領域を探険するに至らなかったが、心に信仰と世界同胞主義の種子が良き地を見出した。


 彼は家路につく途中眠りながら、さ夜中を通る気分であったが、目がさめると正義の太陽が昇り、王を見つけたのである。


 それからイエスは数日ベナーレスに留まって教えた。


 

【宝瓶宮福音書:栗原 基訳】


第六部 インドでのイエスの生活と行動

第二十九章 ラホールの憎アジャイニンはイエスに逢おうとしてベナーレスに来て寺院にやどる。イエスは寺院を訪問してくれとの招待を断わる。夜半アジャイニン百姓の家にイエスを訪い、その哲学を信ずる。

1)ベナーレスの寺院の僧侶のうちに、ラホールから来て客となっているアジャイニンと言う僧侶が居た。

2)彼は商人たちから、ユダヤ少年のこと、その智恵の言葉のことなどを伝え聞き、この少年に面会しその言葉を聞こうと思いたち、旅装を整えてはるばるラホールからやって来た。

3)ブラマ僧たちはイエスの語る真理を認めず、ウドラカの宴席で語ったことにいたく慣慨していた。

4)しかし彼らはまだ直接少年に会っていなかったから、しきりにその言うところを聞きたいと思い、寺院に客として彼を招待することにした。

5)しかし、イエスは彼らに言った、「光はいとゆたかで万人を照らして居る。若し光を見たいなら光に来るがよい。

6)もしあなたが聖なる方が人に与えるために、わたしにたまわったおとずれを聞きたいなら、わたしに来るがよい。」

7)僧侶たちはイエスの言葉を聞いて大変おこり出した。

8)しかしアジャイニンは彼らの憤怒(いきどおり)に加わらず、使者に高価な贈りものを持たせて、百姓の家にイエスを見舞わせ、贈りものには次ぎのようなことずてを添えてあった。

9)先生、どうかわたくしの申しあげることを聞いて下さい。ブラマ教の律法では、僧侶たるものが自分より身分の低い人の家に入ることを禁じて居りますが、あなたがこちらにお出で下さるのは構いません。

10)僧侶たちは屹度喜んでお話を承わるでしょう。どうか今日お出で下さって、御一緒に食事いたしましょう。」

11)イエスは答えて言った、「聖なるお万は万人を同一視します。わが主人の家は人の子たちのどんな集会にも適しています。」

12)もし階級制度のほこりがあなたがたを抑えつけるなら、あなたがたは光に照らされる資格がない。わが父神は人の作った律法を重んじ給わない。

13)お贈り下さったものはお返しする。黄金や貴重品で神の知識を買うことは山来ない。」

14)このようなイエスの言葉はますます僧侶たちをいからせ、何とかしてこの土地からイエスを追い出そうとたくらんだ。

15)アジャイニンはこのたくらみに加わらず、夜間密かに寺院を出て、イエスの宿をおとずれた。

16)そこでイエスは言った、「日の照るところに夜はない。わたしには人に告ぐべき秘密は何ももたない。すべての秘密は光に照らされれば明らかになる。」

17)アジャイニン、「わたくしはこのむかしながらの智恵と、あなたの言われる聖なる方の御国について学ぼうと思って、はるばるラホールから参った。

18)その御園はどこですか。王はどこにいますか。臣下は誰ですか。その律法はどんなものですか。」

19)イエス、「この神の御国は遠くない。しかし肉限では見えない。これは心のなかにあります。

20)地や海や空に王をさがすに及ばない。王はそこにいまさない。しかもどこにでもいます。彼は神のキリスト、普遍愛である。

21)この領地の門は高くない。そこに入る者はひざまずかねばならない。門は広くないから、誰も現世の荷物は運べない。

22)低級な自我は霊我に変わり、からだは清き流れに洗われ清められねばならない。」

23)アジャイニン、「わたしはこの王の臣下になれますか。」

24)イエス、「あなた自身が王である。あなたは堂々と門から入って、王のなかの大王の臣下となれる。

25)しかし、あなたは先ず僧服を脱ぎ、黄金のために聖なる方に仕えることをやめなければならない。自分の生命と一切のものを捨てて、喜んで人の子らに仕えなければならない。」

26)イエスはそれ以上言わなかった。アジャイニンは立ち去った。彼はイエスの言った言葉の意味は分からなかったが、これまで見たことのないものを見たのである。

27)彼は信仰の領域を探険するに至らなかったが、心に信仰と世界同胞主義の種子が良き地を見出した。

28)彼は家路につく途中眠りながら、さ夜中を通る気分であったが、目がさめると正義の太陽が昇り、王を見つけたのである。

29)それからイエスは数日ベナーレスに留まって教えた。

 

【原文:The Aquarian Gospel of Jesus by Levi H. Dowling  

SECTION VI<o:p></o:p>

VAU<o:p></o:p>

Life and Works of Jesus in India

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CHAPTER 29<o:p></o:p>

Ajainin, a priest from Lahore, comes to Benares to see Jesus,
and abides in the temple. Jesus refuses an invitation to visit the temple.
Ajainin visits him at night in the farmer's home, and accepts his philosophy.
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AMONG Benares' temple priests was one, a guest, Ajainin, from Lahore.
2) By merchantmen Ajainin heard about the Jewish boy, about his words of wisdom, and he girt himself and journeyed from Lahore that he might see the boy, and hear him speak.
3) The Brahmic priests did not accept the truth that Jesus brought, and they were angered much by what he said at the Udraka feast.
4) But they had never seen the boy, and they desired much to hear him speak, and they invited him to be a temple guest.
5) But Jesus said to them,
The light is most abundant, and it shines for all; if you would see the light come to the light.
6) If you would hear the message that the Holy One has given me to give to men, come unto me.
7) Now, when the priests were told what Jesus said they were enraged.
8) Ajainin did not share their wrath, and he sent forth another messenger with costly gifts to Jesus at the farmer's home; he sent this message with the gifts:
9) I pray you master, listen to my words; The Brahmic law forbids that any priest shall go into the home of any one of low estate; but you can come to us;
10) And I am sure these priests will gladly hear you speak. I pray that you will come and dine with us this day.
11) And Jesus said,
The Holy One regards all men alike; the dwelling of my host is good enough for any council of the sons of men.
12) If pride of cast keeps you away, you are not worthy of the light. My Father-God does not regard the laws of man.
13) Your presents I return; you cannot buy the knowledge of the Lord with gold, or precious gifts.
14) These words of Jesus angered more and more the priests, and they began to plot and plan how they might drive him from the land.
15) Ajainin did not join with them in plot and plan; he left the temple in the night, and sought the home where Jesus dwelt.
16) And Jesus said,
There is no night where shines the sun; I have no secret messages to give; in light all secrets are revealed.
17) Ajainin said,
I came from far-away Lahore, that I might learn about this ancient wisdom, and this kingdom of the Holy One of which you speak.
18) Where is the kingdom? where the king? Who are the subjects? what its laws?
19) And Jesus said,
This kingdom is not far away, but man with mortal eyes can see it not; it is within the heart.
20) You need not seek the king in earth, or sea, or sky; he is not there, and yet is everywhere. He is the Christ of God; is universal love.
21) The gate of this dominion is not high, and he who enters it must fall down on his knees. It is not wide, and none can carry carnal bundles through.
22) The lower self must be transmuted into spirit-self; the body must be washed in living streams of purity.
23) Ajainin asked,
Can I become a subject of this king?
24) And Jesus said,
You are yourself a king, and you may enter through the gate and be a subject of the King of kings.
25) But you must lay aside your priestly robes; must cease to serve the Holy One for gold; must give your life, and all you have, in willing service to the sons of men.
26) And Jesus said no more; Ajainin went his way; and while he could not comprehend the truth that Jesus spoke, he saw what he had never seen before.
27) The realm of faith he never had explored; but in his heart the seeds of faith and universal brotherhood had found good soil.
28) And as he journeyed to his home he seemed to sleep, to pass through darkest night, and when he woke the Sun of Righteousness had arisen; he had found the king.
29) Now, in Benares Jesus tarried many days and taught.

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【続く】


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