「母と兄弟の愛」 マルコによる福音書 3章20~35節
ユダヤの社会には、「父と母とを敬え」という掟がありました。言い換えれば家族を愛しなさいということです。しかし、「あなたに差し上げるべきものは、神への供え物です」と言えば、父と母に何もしないで済むとも考えられていました。自分の考えを押しつけること、それが家族愛になっていました。
ユダヤの社会では、病気になるのは悪霊の仕業であると考えられていました。指導者たちは、イエスさんが病気の人を癒やされるのを見て、「あの男はベルゼブルに取り憑かれている。悪霊の頭の力で悪霊を追い出している。」と言いました。それを聞いたイエスさんの母と兄弟たちは、自分の家なのに入ろうともせず外に立ち、人を使ってイエスさんを呼ぼうとしました。
イエスさんの母と兄弟たちは、家の中にイエスさんを慕う病気の人たちが大勢いたので、イエスさんを連れ出そうとしました。そうしようとしたのは、イエスさんが「気が変になっている」という声に影響されたからです。人間は、自分の考えを押しつけて、それが愛であると考えてしまうものです。本当の愛とは、イエスさんが十字架で命を賭して示された愛です。イエスさんが示された愛とは、自分の考えを押しつける愛ではなくて、病気の人たちを招いて癒やし、二度と再び「罪人」と呼ばれないようにするための赦す愛なのです。