Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「合法」と言う危うさ

2009-07-06 19:15:20 | ひとから学ぶ
 YAHOOニュース7/3版に「定期券分割して買うと、なぜ安くなるのか」という見出しが見えた。それによると、「通勤定期券を東京─横浜間で購入した場合、6カ月で6万5020円。これを東京─蒲田、蒲田─横浜と分割購入すると、3万240円+3万240円=6万480円。6カ月で4540円が浮き、年間(6カ月定期×2回)で実に9080円! しかも合法」と述べられている。最後の「合法」というところは違法ではないというだけであって、この世の中の合法性を主張する時代性のようなものを感じる。そもそも定期券は自宅と目的地を往復するために特別料金になっているものであって、定期券申し込みの際に○をする目的選択にない理由では定期券は手に入れられないと思うのだが果たしてどうなのだろう。例えば遊興施設へ頻繁に通うために定期券は購入できるのだろうか。結局目的を偽れば良いことになるのだろうが、では申込書になぜ勤務先名を書かなくてはならないのか、ということにねなる。まじめな人はそもそも目的外に利用するのは「いけないこと」と思うものだ。したがって分割して買うということそのものが目的外という捉え方がされ、まともにそんな申請をすると駅員ともめごとになるというようなことも聞く。

 分割した方が安いことについては以前「電車賃の不思議」で触れたことがある。2分割どころか3分割なんていう捉え方もできる。記事よれば「裏技」について「乗車券分割プログラム」(http://bunkatsu.info/)なるサイトがあることに触れている。そこには安くなる理由について次のように触れられている。

JR本州3社の幹線運賃 営業キロ 運賃
 1~3 キロ 140 円 (140-46.7)
 4~6 キロ 180 円 (45-30)
 7~10 キロ 190 円 (27.1-19)
 11~15 キロ 230 円 (20.9-15.3)
 16~20 キロ 320 円 (20-16)
 21~25 キロ 400 円 (19.0-16)
 26~30 キロ 480 円 (18.5-16)
 31~35 キロ 570 円 (18.4-16.3)

 上の表の「11~15キロ」と「26~30キロ」の運賃に注目してみてください。 「11~15キロ」の運賃は「230円」ですが,その倍の「26~30キロ」の運賃は「480円」です。 つまり,「11~15キロ」の区間の乗車券を2枚買えば「460円」で最大30キロ乗車することができる……というのが分割すると安くなる理由の1つです。

というものだ。カッコはわたしが表示したものであるが、料金が一定距離間同一でランクアップしていくからどうしてもこういうことが起きる。カッコ内は1キロ当たりの料金である。11~15キロまでは1キロ当たりの料金が安くなってくるがそこからはそれほど大きく変化しなくなる。加えて一定区間距離が2キロ、3キロと下りてきてここから4キロになる。このあたりが料金を設定した側にも当然そういうことは仕方ないことという了解があったはず。とすれば分割して購入したいというお客の主張は間違いではないのである。これを法の抜け穴みたいな解釈で合法という言葉を当てるとしたら、虚偽という判断はできないものの、どこかに嘘が発生することは間違いない。

 あるページにはこんなことが書かれていた。「通学定期券は「自宅最寄り駅~学校最寄り駅」間しか買えないため「安くなるから」という理由で分割購入することはできません」というものだ。これは通勤定期に対しても同様と思うがどうなのだろう。冒頭述べたように、本来特別料金にしている理由はその目的に対応してのものである。分割という意図は目的からそれたものである。確かに違法ではないのだが、だからといって若干なりとも嘘がある購入は「違法ではない」という判断だけのものであって、これが「合法」といって横行する世の中であってはならないと思う。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
« 草寄せ | トップ | 「止まる」という意思表示 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
分割購入は昔から「嘘がある購入」ではない (佐藤)
2022-11-29 18:26:04
かつては通勤先の証明が必要な「通勤定期券」と、誰でも任意の区間で購入できる「普通定期券」がありましたが、1960年代に両者が統合され、「通勤定期券」は誰でも目的を問わず任意の区間で購入できるようになりました。

よって昔の名残で「通勤」とついていますが、どんな目的でも使用可能なのです。

目的を問わないのですから「目的外」という概念がありません。

また、分割購入については、本記事が投稿された2009年以前にテレビでも取り上げられており、その際JR自身が「お客様の知恵である」と回答したのを記憶しております。

もっとも現在は分割で購入できる旨JRが公式にアナウンスしています。

コメントを投稿

ひとから学ぶ」カテゴリの最新記事