Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

観光地利用者数とはどう勘定する?

2007-07-10 08:28:56 | ひとから学ぶ
 「示唆に富む県観光地利用者統計調査」という記事が、県政タイムス7/5号にあった。昨年の県内観光地の利用者動向をまとめた県の観光地利用者統計調査に触れたもので、延べ利用者は前年比1.6%減、3年連続の前年比利用者減だという。観光県と言われるものの、なんとなく近すぎて観光イメージから遠ざかっていく、というのが現実なのではないか、わたしは思う。自然がいっぱい、とか田舎の風景いっぱい、なんていう言葉はこの県には似合わない。そんな特徴だけだったら他の県にもいくらでもある。

 だいたいこんな見出しで長野県観光に警鐘を鳴らそうみたいな雰囲気が好きではない。人口減少時代であって、観光客が減少していくのは当たり前だ。加えて格差が現れるとともに、金があれば海外や遠方へ出かける。都会の近所のごみごみしたところに好き好んで行く高額所得者はいないだろう。結局長野県にやってくる人は銭のない人たち、ということになる。魅力あるモノがあれば別なんだろうが、銭を落として損はない、みたいな観光地はこの県にはない。でもわたしはそれでよいと思っている。そんな銭稼ぎみたいな観光県であって欲しくないし、実際に暮らしている人たちが、そんな人たちの姿を指をくわえて眺めているのも寂しいもんだ。金のある人たちは来るな、と思うのだ。

 さて、記事でも触れているが、減少しているものの、県内からの利用者は増加しているという。まさに前述した通り。ようは県外が近くなるほどに、この県に来る魅力が薄れているように思う。昔のように遠い地であれば延べ利用者が増えるような宿泊滞在になる。ところが近いから数字上はなかなかあがらない。日帰りしてもちっともおかしくないほど近いのだから。県内の観光業関係者は県外の観光客にアピールしているようだが、現実的には県民に利用してもらうような視点が必要なんだろう。そういう意味ではまさにリピーターをいかに増やすかということになる。一過性のものではならないのだ。とはいえ、観光県なんてうぬぼれてほしくないから、どんどん人が来なくなればよい、と思っている。その方がこの地域らしさが残る。この時代によそ者が増えるのはもう勘弁して欲しい。

 ところで、この観光地利用物統計調査というものがどう行われているのか、というところも気になる。だいたい県内利用者なんてどう勘定するのだろう。そして観光地利用とはどういうケースを言うのだろう。わが家でちょっと遠出をして、そこでお昼でも食べてくるのは利用者数にカウントされるのだろうか。ということで、まだ記事になった昨年の統計調査は長野県のホームページに公開されていないが、平成17年度の調査結果が掲載されていたのでそこで説明を読んで見た。調査方法は、対象観光地の所在する市町村で、観光施設、交通機関、宿泊施設等に照会して調査するんだという。延べ利用者数は、1人が1泊すると2人と勘定し、2人が3泊したら延べ人数8人となるという。それ以上調査方法の詳細には触れていない。宿泊したりすれば数字としてカウントできるだろうが、日帰りの場合は難しい。「観光地利用者」というが、施設を利用しなかったりしたら利用者数0人となる。ということはこの統計調査そのものがどれだけ信憑性があるか疑問だ。目安にはなるのだろうが、少しくらい数字が上下したからといって、それが何なの?という印象を受けるがどうだろう。さらには県内利用者ともなるとかなり曖昧でいいかげんな数字のように思う。まあ、それほど数字に浮き沈みを感じない方がよいかもしれない。
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