Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

風三郎になった

2007-07-09 08:28:22 | 農村環境



 昨年の山作業は10月、今年は昨日であった。7月の作業となると、雨であっても仕方ない。雨の日の山作業というのはつらいものがある。だから、天候に恵まれたとなれば運がよい。まさに天候に恵まれ、加えて太陽がかんかんと照るほどでもなく、曇っていてちょうどよい。急斜面の下草刈りである。草刈機が何台も入ったから、さすがに作業は早い。とはいっても、急斜面だから草刈機の担当者は大変だろう。草ならまだしも直径5センチほどになった木まで伐っている。こんな図太いものを草刈機で伐るとなると、けっこう体力を使うだろう。

 尾根伝いに出ると、風が吹いて涼しい。里からやってくる風の波が、ゴーという音を立ててやってくる。不思議なものだ。山を外から見ていてもそんな音はしないのに、森林の中にまぎれると、そして尾根伝いに出るとその波はやってくる。ささやきではない。嵐がやってくるかのごとく風がやってくる。風三郎の風穴を思い出す。こんな感じなのだろうか。風三郎伝承とは、二百十日ごろの風水害から農作物を守ろうとする信仰である。赤松林というのは見上げると風情がある。そして風が似合う。よくみるとみんなざわめいている。大きく体を揺らせ、風に身を任せている。山作業だからこんなに風の音なんか聞いている場合じゃないはずだが、このごろの山作業はそんな余裕がある。

 下草刈りではナラやクヌギは残して刈る。加えてソヨゴも残すのだが、これは祭りにおいて榊の代用とされるからだ。また比較的渇き気味な赤松林にあるソヨゴは、山の湿気を保つ役割を果たすという。このあたりでは神事に使われるとともに、小正月の繭玉飾りの木にも利用された。「ソヨゴは残す」という意識が誰にもあるから、自然と林床にソヨゴだけ目立っていた。ところが、補助金をもらう関係で伐らなくてはならないということで、あとに残ったソヨゴを、また伐って回った。

 写真は下草を刈る前の林床に広がる木々を撮ったものだ。まさに「木漏れ日」といったところだ。

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