ととじブログ

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英語、活字離れ

2010-02-14 10:34:34 | 社会/地域
西村肇氏が書いた「若者の活字離れはなぜ」と題された論文を読みました。
ヤフーニュース(産経新聞社配信)の「若者の活字回帰へ 名作文学をドラマ化 短編私小説で文豪を身近に」という記事から関連情報としてリンクされていました。

私個人としは、まったく同意できない内容でした。

「日本語の知的言語性を疑わせる兆候は、いくつか出ています。いちばん顕著なのが、若者の活字離れです。今、二〇代の若者は、楽しみに本を読むことは少なく、マンガしか読みません。頭の中で言葉を使って考え、それを楽しむという生活習慣が、急に弱まっているようです。これは欧米では聞かないことで、日本語の問題と考えざるをえません」
(引用 若者の活字離れはなぜ:http://jimnishimura.jp/soc_per/bankrupt_j/15_1.html)

若者がマンガばかり読んでいるなどという指摘は、30年あるいは40年も前からあります。
しかし、これはほとんど信憑性がありません。
マンガばかり読む人がいるし、マンガも読まない人がいるし、活字ばかり読む人がいるというのが、実態に近いと思います。
また、表現には、活字、マンガ、アニメ、実写、舞台等々、多種多様な方法があります。
それぞれに特徴があり魅力があるのですから、多少活字離れが進んでも仕方が無い事だと思います。
また、「欧米では聞かない」とありますが、私はよく聞きます。
欧米では昔に比べ、若者に限らず全般的に本を読まなくなっている、日本はましな方、と。

「日本語の知言語性を疑わせるもう一つの徴候は、日本人の外国語習得能力の低さです。日本人の英語力は、世界一八五カ国中一六七番目、セネガルなどアフリカ途上国なみです。
 これは日本がアジアにあることが原因ではないことは、米国留学志願者が受けるTOEFL試験の結果を見ればわかります。日本はアジアのどの国にも抜かれているからです」
(同上)

私は日本人が外国語習得能力が低いとは思いません。
まず、外国語は英語だけではないことを指摘したいと思います。
次に、日本人の英語力が低いとは一概に言えないと思います。
TOEFL試験に関して言うならば、誰がどのような目的で何人くらいで参加しているのか、まったく考慮されていません。
遊び半分あるいは腕試し等軽い動機で参加する人も多いであろう日本人と家族の未来を背負い命がけで参加する途上国の人を比べても意味がありません。
もし仮に日本人の英語力が低いとしても、それは英語習得能力が低いのではなく、習得する必要性が低いのだと私は思います。
今、日本で生活している日本人の中で、英語がわからないと生活に支障をきたす人がどれだけいるでしょうか?
ごく少数だと思われます。
英語力があれば就職に有利、給料が多くなる、この程度では必要性が低すぎるのです。
さらに、アメリカ人のラテン語習得能力はあまり高くないと聞きます。
もう一つおまけに、イタリア人の英語力は日本人と大差ないとも聞きます。
日本語に比べれば、イタリア語ははるかに英語に近いはずなのに、です。

「「やまとことば」は概念が単純で未分化であるのに対し、中国語も英語も概念が分析的で綴密です」
(同上)

西村氏は、日本の古典文学に接した事が無いのでしょうか?
各言語それぞれ、他言語に比べて、単純化する概念と複雑化する概念があります。
日本語が英語と中国語に比べて、すべての概念が単純で未分化など、ありえない事です。

西村氏は経歴を見ると、東京大学の名誉教授だということです。
りっぱな方ですが、この論文は、私には納得できません。

西村肇:http://jimnishimura.jp/
若者の活字離れはなぜ:http://jimnishimura.jp/soc_per/bankrupt_j/15_1.html


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