夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
著者 汐見夏衛
発行所 スターツ出版株式会社
(C)Natsue Shiomi 2017
感想文です。
以下、ネタバレありです。
小学生の頃の面影が無くなっていたからといって、茜に対し『俺はお前が嫌いだ』と言い放っておきながら、
『「お前には、俺はなんにも恐れるものなんかない強い人間に見えてるんだろうなって思って……そしたら、弱くて情けないところなんか見られたら嫌われるだろうと思ったんだ」
〈中略〉
「だから、お前から逃げたんだよ」』
って、おいおい、それは無いだろう?
私が茜ならば、言いたい事を言い放題、やりたい事をやり放題で偉そうにしておきながら、好きな女に正面から向き合うこともできず逃げ出すような男、最低だわ。
と思うだろう。
いや、ちょっと違うな。
私は男なので、茜の立場になるというのは、少々見当違いだ。
私は好きな女を失うぐらいなら、自分の弱さを見せる事など厭わない。
というより、誰に対しても虚像を見せようとは思わない。
等身大の自分を見て欲しいと思う。
なぜなら、そうでないと、疲れるから。
一方で青磁は、自分の弱さを好きな女に見られるぐらいなら、死んだ方がマシ。
強くかっこいい男であるために、どこまでも突っ張り続ける。
そんなところだろうか。
わからなくはない。
たぶん、私と青磁は男としての美学が違うのだ。
そして、その青磁の生き方が、結果として、茜の心を解き放ち、マスク依存症から救い出した。
そういうことだ。
いや~でも、それで、
『マスク卒業記念だよ』
〈中略〉
『卒業おめでとう』
って…
ちょっと虫が良すぎるんじゃないか?
と思わなくもない。
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