ととじブログ

書きたい時に書きたい事を書いている、あまり統一感の無いブログです。

月光 / 誉田哲也

2019-02-23 06:04:15 | 本/文学
月光
著者:誉田哲也 (ほんだてつや)
発行所:中央公論新社
中公文庫
2013年4月25日 初版発行

単行本版 2006年11月 徳間書店刊
文庫版 2009年3月 徳間書店刊

以下、ネタバレ有り。


まず、羽田稔之(ハタトシユキ)。
まったくこいつは何が不満なのか、西麻布のマンションに住んでいて、仕事は安定しているし、ルックスにも恵まれていて、いくら妻との仲がいまひとつだからといって、女子高生に手を出すか?
いきなりセックス、しかも学校内で、さらに調子に乗って音楽準備室のドアを開けっぱなしでやっちまうって、頭おかしいんじゃねーか。
恋愛感情が芽生えるというのはわかる。
でも、付き合い方ってものがあるだろう?
涼子を自宅に連れ込むというのもどうかと思う。
長期不在とはいえ、妻との生活を営んでいる場所だろ?
この人は何かが決定的に欠けているとしかいいようがない。
まあ悪人では無いのかも知れないけれど。

次に菅井清彦(すがいきよひこ)。
こいつもクソだ。
両親が自殺したのは気の毒だ。
好きな子が教師とセックスしているところを見てしまったらショックだろう。
10代の少年が性に飢えているのもよくわかる。
だからと言って、好きな子を恐喝してセックスを強要するなんてことは男として終わってる。
というか、自分と好きな子との関係を、自ら決定的に壊してしまっている。
こんな事をするぐらいなら、いきなり襲って、強姦野郎として刑務所にぶち込まれる方がまだマシだ。
あるいは、猿(香山瞬)に「…チンポ切り落としてやろっか…」なんてアホこと言ってないで、羽田のチンポを本当に切り落としてやればよかったんだよ。

残り、香山初美&香山瞬の姉弟。
言うまでもなくクソなのだけれど、こいつらの場合は言い訳する機会が与えられいない。
言い換えると、一人称で語られることがなかったので、スルーする。

以上、主な登場人物に対する感想。
登場人物がいくらクソであろうと、作品の価値が下がるわけではない。
作品自体は面白かった。

ただ、不満もある。
涼子を、聖女的なイメージで描こうという意図があったのだと思うけれど、それが成功しているか。
またミステリーとしてはどうか。
成功している部分もあるし、そうでもない部分もあるように思う。

ストーリーの中核である、涼子の死とその真実。
そこに、涼子の聖女性やミステリーの種明かしが鮮やかに集約されているか…

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2019/02/25 追記

序盤の羽田稔之と野々村涼子が出会うシーン。
それから、エンディングの羽田と野々村結花が(恐らくは)別れるシーン。
それぞれのシーンで、涼子が、結花が弾くベートーヴェンのピアノソナタ「月光」。
フリードリヒ・グルダの演奏をペタりと貼っておこう。

FRIEDRICH GULDA plays BEETHOVEN - "MOONLIGHT" PIANO SONATA OP. 27 N. 2