the other side of SmokyGitanesCafe
それとは無関係に・・・。
 





GITANESをワンカートン買うのが
夏休みの準備だった。
それとは無関係に・・・。

祖父の家は長い長い坂を上っていったところに
あった。小さい山の中ほどだ。
民家は多いが確実に田舎であって、周囲は
畑、田んぼ、雑木林。池もあった。
車が速度を上げて往来できるような道がないから
静かな環境だった。
人のたてる音が周囲にないという意味では静か
だったが、そのかわり我が物顔でブイブイ言わして
いたのがセミだ。
仏間と祖父の書斎は寺に隣接していた。
仏間の窓を開けると寺の敷地で、そこには
大きい木が何本も立っていた。
子供のころの記憶だから、それこそ周囲に
自分の腕が周らないほどの太い幹だった。
そこにセミがとまり、ずっと鳴いていた。
うるさかったかと言われると、そうでもないような。
でも何かの拍子に一斉に鳴き声が止まると
「あ、今までうるさかったんだ・・・」
と気づくほどの音だった。
山があり池があり、周囲はそのように樹木に
覆われ、そして祖父宅のそこそこの面積の庭
にもいろいろな植栽があったから、窓を開け放てば
涼しい風があっちからこっちから吹いていた。
クーラーなど要らなかったし、そもそもなかった。
それでも暑いときは祖母がかなり濃い目の
カルピスを作ってくれたり、変な味がする麦茶
を入れてくれた。
祖父祖母がなくなって、誰も住むものがなくなった
ので、家は売却した。
夏になったら思い出すのは
「クーラーもなしにどうやって過ごしたんだろう」
という『あの頃はよかった感』である。

来週ぐらいには数日の連休をとっている。
何冊か本が読めればいいと思っている。
仕方なくクーラーを効かせたリビングのソファ
にもたれて、あれを読んだりそれを読んだり
飽きたら何かを書いたりするのだろう。
連休明けでも全然問題ない というような
電話などがかかってこないことを祈るばかりである。








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