小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

大杉栄 「生の拡充」

2006-09-01 21:20:02 | 評論・批評
関東大震災から15日後の1923年9月16日、アナーキスト大杉栄は、憲兵隊に拘引され、甘粕大尉により(異説アリ)、妻の伊藤野枝および幼い甥とともに虐殺されてしまう。

1913年に発表された本論では、人類の歴史は征服者と被征服者の両極からなる社会を作り、その双方に腐敗と堕落を引き起こした、と述べています。
そして、人の上の人の権威を排除して、みずからが主宰することが、生の拡充の至上の手段である、と主張しています。

「征服の事実がその頂上に達した今日に於ては、階調はもはや美ではない。美はただ乱調に在る。階調は偽りである。真はただ乱調に在る。」

大逆事件後の抑圧的な時代に、こんなことを言えるのはスゴイです。

岩波文庫『日本近代文学評論選 (明治・大正篇)』で、8ページ。

日本近代文学評論選 (明治・大正篇)

岩波書店

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