小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

夏目漱石 「博士号辞退の手紙」(明治44年)

2006-05-16 23:59:51 | 書簡
博士号を授与するという文部省に対して、漱石は、
「小生は今日までただの夏目なにがしとして世を渡って参りましたし、これから先もやはりただの夏目なにがしで暮らしたい希望を持っております。」(2/21付け書簡)
と断っていて、権威を嫌う漱石のエピソードとして有名です。
そもそも、実力のある人は、ハクづけなど必要ないですね。
それなのに、文部省はしつこく、辞退を認めなかったので、さらに、4/13付け書簡では、
「学位令の解釈上、学位は辞退し得べしとの判断を下すべき余地あるにもかかわらず、毫も小生の意思を眼中に置く事なく、一図に辞退し得えずと定められたる文部大臣に対し、小生は不快の念を抱くものなる事を茲に言明致します。」
と強硬に抗議して、頑固さを発揮しています。
やっぱり大物は徹底してスゴイ。
岩波文庫『漱石書簡集』で。
漱石書簡集

岩波書店

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