皮膚がんの治療法

2024年05月22日 02時12分40秒 | 医科・歯科・介護

転移がない場合、組織標本上での腫瘍の厚みによって予後が規定されます。 1mm以下の厚みではほぼ100%の5年生存率ですが、4.0mmを超えると約50%まで下がるといわれています

また所属リンパ節転移がある場合の5年生存率は約40%程度、遠隔転移を生じた場合の5年生存率は数%程度にすぎないといわれています。

皮膚がんはどこに出やすいですか?
 
 
表皮や皮膚付属器の基底細胞に似た細胞から生じた皮膚がんで、高齢者の目や口、鼻の周りなど顔面に生じることが多く(80%)、中には出来た部分の奥に浸潤して再発を繰り返すものもあります。

皮膚腫瘍・軟部腫瘍・皮膚がんについて

皮膚軟部腫瘍は形成外科でも非常に良く扱う疾患で、ほくろやアザ、いぼといった様に皮膚表面に変化を生じるものから、「皮膚のできもの」や「脂肪のかたまり」と言われる様な皮膚の下に出来た固まりで皮膚が盛り上がっているものまであります。
原因となる細胞には実に様々なものがあり、中には悪性のものも存在します。悪性のものの中で皮膚の表面から出来たものはがん、脂肪や筋肉といった中の組織から出来たものは肉腫と言われます。
皮膚表面のできものは基本的に手術で切除して、その組織を調べて診断を確定しますが、その形や大きさ、できものの性質によって切除法や手順を工夫する必要があり、いぼ様のものの中にはレーザーや液体窒素で治療が可能なものもあります。

最近はダーマスコピー*という特殊な虫眼鏡のようなもので、切って取らなくてもできものの性質や良性・悪性の判定が出来るようになってきています。
皮膚より深い所にあるものは、MRIやCT、必要に応じてエコーなどの画像検査を行った上で、どこにどういう性質のものがあるかを考えて切除法を検討します。袋を作る嚢胞といわれるものの中には薬剤を注入する硬化療法が有効なものもあります。
適切な診断とそれに応じた治療が重要ですが、必要に応じて腫瘍を専門とする皮膚科や整形外科の先生とも密に連携を図りながら、整容面・機能面の双方に配慮した緻密な切除手術と生じた欠損に対する高度な再建手技を行っています。皮膚がんの中でリンパ節への転移を生じるものについては、アイソトープやICG蛍光色素を用いたセンチネルリンパ節生検(SNB)**を積極的に行い、適切なリンパ節転移の評価と伴に、不必要なリンパ節郭清を避ける低侵襲で体に優しい治療を心掛けています。

 

*ダーマスコピー
ハロゲンランプや白色の発光ダイオードで病変部を照らし、偏光フィルターやゼリーで光の乱反射を抑え、真皮上層まで10倍~30倍程度に拡大して皮膚病変を観察する特殊なルーペ

【特徴的な所見】

・掌蹠の悪性黒色腫

早期病変‥皮丘優位の不規則な色素沈着(色、太さ、分布)
生毛部では、不規則な色素ネットワーク構造
辺縁部での放射状線状、分枝状線条、点状・小球状黒色色素沈着
真皮浸潤部では‥無構造色素沈着、白色調ベール(Blue whitish veil)

・基底細胞がん

青灰色類円形大型胞巣 葉状/車軸状領域
毛細血管拡張が樹枝状(病巣内及びその周辺)
多発性青灰色小球

**センチネルリンパ節生検
センチネルリンパ節というのはリンパ節の中で最初にがんの転移するリンパ節です。
最初に転移するリンパ節を調べて、もしそこに転移がなければ、それ以上先のリンパ節に転移している可能性は低いため、リンパ節郭清を省略でき、リンパ節への転移の有無も確実に診断出来ます。
センチネルリンパ節を見つける診断法として、色素や放射性同位元素(アイソトープ)を注入する方法(色素法、RI法)、さらにICGという薬品を注入して赤外線カメラでリンパの流れとリンパ節を同定する方法もあり、それらを組み合わせることで、小さな傷で確実にリンパ節を同定することが出来ます。

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    RI法での同定(鼠径部)

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    リンパ節を採取

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