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30年近く前、私がインドを一人旅した時の日記をもとにお送りいたしております
前回、ミッキーマウスと言うレストランで、『友達』の少年シメンチャロ―が、他の少年従業員と共に空き瓶を片付けていなかった、と言う理由でオーナーから竹製の鞭でこっぴどく打たれる光景を見て、なぜか、こんなところにはいられない、日本に帰ろう、そして仕事をしよう、そんな思いにかられた、というところまででした
では、つづきを
******************
K君に『カルカッタへ戻る』と、告げてから数日が経っていた。この間、バブーやロメオを交え楽しく過ごした。
バブーとは映画も見に行った。相変わらずドンチャン騒ぎの支離滅裂な映画であった。その帰り道、おれはバブーにあることを相談した。
『バブー、実はボクがこの街に着いた日、ロメオの家に泊まらせてもらったんだ…』
『そのとき、ボクが日本から持って来たカメラ、それをロメオがお父さんにどうしてもプレゼントしたい、だからインド製のカメラと交換してくれないか…そう頼まれて交換することにしたんだ…』
『この話は前にもしたと思うけど、実はボクはまだそのインド製のカメラを受け取っていない…、間もなくプリーを立つけど、その前に彼にインド製のカメラをボクにくれるよう、バブーから話してくれないか』
この時のおれにとって、実のところカメラ自体はもうどうでも良かったのである。どうせ持って来てもチャチなオモチャみたいなやつに違いないのだ。それでもおれがロメオにカメラを持って来させたかったのは、このままではおれとロメオの関係が「タカリと被害者」になってしまうからだ。
このプリーで過ごした時間は、友としてのバブーやロメオ抜きでは語れない、それがどれほどオモチャのようなものであっても、約束したことを守って欲しかったのだ、でなければ『友』ではなくなってしまう。
『OK、コヘイジ、ボクがロメオに言ってやる、彼は、そう、時々お金や約束にルーズだ、それは良くないことだ』
バブーに相談した翌日、ロメオがベスパもどきに乗ってやって来た。手にはカメラを持っている。
『ハーイ!コヘイジ!カメラを持って来たよ!』
手渡されたカメラは想像通り、オモチャのようなチャチな造りの小型カメラであった。それでもおれは、ひとまず『タカリと被害者』ではなく、『友』としてロメオに別れを告げられることをうれしく思った。
いよいよプリー最終日、おれはK君と西側の海岸を歩いていた。貝細工を売る少年を冷やかしたりしながらずっと端まで歩いた。
一件のレストランに入る。K君が言う。
『コヘイジさん、おれ、ついにインドの洗礼を受けたかも…』
「インドの洗礼」、つまりは下痢だ。およそインドを旅する日本人はみな一度は腹を壊すことがあるらしい。それが仕事上の短期滞在であっても、腹を壊さない日本人はいない、とまで聞いていた。その原因のほとんどが水である。
幸いにしておれは、このプリーでの初日、甕から汲んだ水で作った水割りを飲んでもなんともなかったし、これまで一度も腹を壊していない。
『K君、大丈夫?』
『ううううう…』
腹を押さえ苦しそうにしているK君を、少年従業員がおれたちのテーブルを拭きながらじっとみている。プリー、特に駅周辺から西側は、外国人観光客は少なく、こうしてもの珍しそうに見られるのは常であった。
『何見てんだよ!!』
腹痛で気が立っていたのか、K君が少年を怒鳴りつける。少年が驚いた様子でおれを見る。
『大丈夫、大丈夫、なんでもない、心配いらない』
おれがそう言うと、少年は怯えたような様子で去って行った。
店を出て再び海岸、K君は先ほどの店で一度用を足したが、まだ腹の調子が悪いらしい、海岸にあった公衆トイレへ入る、するとそこの便器にはウ〇コの山…。
『無理っす…、何とか我慢します…』
確かにここで用を足す気にはなれない、再び歩き出す。
それでも、しばらくするとK君の調子は幾分良くなったようだ。K君が言う。
『小平次さん、海、入りません? 交代で』
おれはこのプリーに来て、毎日海を見ていたが、足をつけた程度しかなく、泳いでみたい、とは思っていたものの、実現はしていなかった。いつもパスポートなどの最重要品は肌身離さず持ち歩いていたので、そんなものを砂浜に置きっぱなしで海に入るわけにはいかなかったからだ。
K君もそれは一緒で、信用できる人間と交代で、でもなければ海に入る機会なんかこの先もないかもしれないのだ。
K君が先に海に入る、下痢の方はもう大丈夫らしい。
『小平次さん、どうぞ、すげえ気持ちいいっすよ!』
おれも海に入る。インドは今、冬であったがまったくそんなことは感じない、気持ちがいい、頭まで海水につかり、青空の下、沖へと少し泳いでみる、やはり気持ちいい。
何かカエルの卵のような紐状のゼラチン質っぽい物体がゆらゆら波間に揺れている。なんの卵だろう。
おれは十分に満足して砂浜へ上がる。これでこの街にもう思い残すことはない、十分だ、ありがとうプリー。
あたりが薄暗くなった頃、おれはK君とプリー駅に向かった。出発の一時間前だ。バブーとロメオも見送りに来てくれることになっていたがまだ来てはいないようだ。二人で駅前に座って待つ。そこへ、突然『ヤツ』が現れた。
不良インド人、バップーだ。
バップーはニヤニヤしながらおれたちに近づいてきた。当然おれとK君は無視している。
『Hi、ジャパニー、Hi』
相手にしない。
『ジャパニー、キミはロブスターは好きか? 石は? きれいな石に興味はないか?』
バップーは馬鹿の一つ覚えのような誘い文句をK君に投げる。おれからコイツを相手にしないように言われていたK君は無視を決め込む。
おれたちが目も合わさず無視をしていると、呆れたように『フゥッ…』と息を吐きバップーが言った。
『アナタタチハ、ヤッパリ、チョットクルクルパーネー』
おれの胸に怒りがこみ上げた。おれは立ち上がり、バップーの目をしっかりと見据えて言った。
『バップー! クルクルパーは日本語でバカという意味だ。そしてそれをキミは知っていて日本人であるボクたちにその言葉を使っている、それはとても良くないことだ。』
『でも、ボクはキミを怒らない、なぜならキミはボクの大切な友人だからだ。』
『ボクはクリスチャンだ。Jesusはこの世界、全ての人に愛をくれた、だからキミは友人だ。Jesusは言った、「あなたの隣人を愛せ」と。だからボクはキミを愛している。たとえバカ、と言われてもキミは同じ神から共に命を与えられた友人だ、だからもう一度言う、ボクはキミを愛している!!』
バップーはしばらくキョトンとした顔でおれを見ていたが、すぐに何かバツの悪そうな表情になり、下を向いて言った。
『…、I'm sorry…』
それから自転車に跨ってこちらを見ずに言った。
『…、サヨナラ…、』
おれは夜の闇に消えて行くバップーの後姿を見えなくなるまで見送った。
『小平次さん! すごいっすね!あいつ、ションボリして逃げて行きましたよ!』
『いや、…、まあ…、』
後に決別することとなるが、この時おれがクリスチャンだったのは本当だ。だが、おれはやっぱりアイツが大嫌いだ。あのクソバップーを黙らせ、謝らせたことに、『愛している』 と言ったその言葉とは裏腹に
『ザマーミロ!』
と心では思っていたのであった。
やがてバブーとロメオがやって来た。おれは二人と抱擁した。
本当にありがとう。本当にありがとう。本当にお世話になった。ありがとう。
おれは何度も二人に心で感謝した。
夜の闇も深くなる。
もう出発の時刻だ。おれは列車に乗り込む。3人がおれの席の窓に立つ。
ゴト、ゴト、ゴトッゴトッ、ゴトッゴトッ
列車がレールを軋ませ、ゆっくりと走り出す。
まるでドラマか映画のように、3人がホームを駆け出しおれを追って来る。
『Goodbye、Koheiji!』
『Koheiji、Goodbye!』
『さよならー!小平次さん!さよならー! 日本に帰ったら必ず手紙書きますー!さよならー!』
窓から顔を出し、おれは3人に手を振る、大きき大きく手を振る、やがて姿が視界から消える。
列車の外はたちまち灯り一つない暗闇に包まれる。
明日の朝にはカルカッタだ。
凄まじい数のポン引きと物乞い、人、人、人、車、車、車、リクシャ、リクシャ、リクシャ!! けたたましい騒音、ゴミの山、手のない人、足のない人、指が全て蝋のように溶けている人、両足を失い、手作りのスケートボードを漕ぐようにやって来た老人、すべて現実だ。
世界最貧の街、と言われるカルカッタ、都市文明化の失敗作の街、と謳われたカルカッタ、世界一汚い街、と誰もが認めるカルカッタ。
おれは、夜のサダルストリートでビビりまくり、ずる賢い詐欺師に15万もの金を払わされ、たった2日で、這々の体で逃げるようにプリーへ向かった。
どこか海辺の街で、腰を落ち着け、そこの住人のようになり、友人を作り、街を歩けば挨拶をする人もいるくらいにゆっくりとその街に溶け込みたい、そう考えインドへやって来た。それ以外の目的など何もなかった。そしてその目的は十分に果たせた。だが、それはまだインドの一方の顏を見たに過ぎない。
『カルカッタ』
この街こそインドそのものである。この街を逃げるように通り過ぎただけでは、インドを旅したなどと言えない。
『カルカッタ』
リベンジだ!
************** つづく
ついにプリー篇の完結です。このブログで記事にした以外の細かな出来事もたくさんありましたが、将来、自分が記憶しておきたいだろうことを中心に記事にしてきました。
いよいよ次回からカルカッタリベンジ編です。かなり濃い内容になると思います。引き続きお読みいただければ幸いに存じます。
※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外の「イメージ」としている画像はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です。
30年近く前、私がインドを一人旅した時の日記をもとにお送りいたしております
前回、ミッキーマウスと言うレストランで、『友達』の少年シメンチャロ―が、他の少年従業員と共に空き瓶を片付けていなかった、と言う理由でオーナーから竹製の鞭でこっぴどく打たれる光景を見て、なぜか、こんなところにはいられない、日本に帰ろう、そして仕事をしよう、そんな思いにかられた、というところまででした
では、つづきを
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K君に『カルカッタへ戻る』と、告げてから数日が経っていた。この間、バブーやロメオを交え楽しく過ごした。
バブーとは映画も見に行った。相変わらずドンチャン騒ぎの支離滅裂な映画であった。その帰り道、おれはバブーにあることを相談した。
『バブー、実はボクがこの街に着いた日、ロメオの家に泊まらせてもらったんだ…』
『そのとき、ボクが日本から持って来たカメラ、それをロメオがお父さんにどうしてもプレゼントしたい、だからインド製のカメラと交換してくれないか…そう頼まれて交換することにしたんだ…』
『この話は前にもしたと思うけど、実はボクはまだそのインド製のカメラを受け取っていない…、間もなくプリーを立つけど、その前に彼にインド製のカメラをボクにくれるよう、バブーから話してくれないか』
この時のおれにとって、実のところカメラ自体はもうどうでも良かったのである。どうせ持って来てもチャチなオモチャみたいなやつに違いないのだ。それでもおれがロメオにカメラを持って来させたかったのは、このままではおれとロメオの関係が「タカリと被害者」になってしまうからだ。
このプリーで過ごした時間は、友としてのバブーやロメオ抜きでは語れない、それがどれほどオモチャのようなものであっても、約束したことを守って欲しかったのだ、でなければ『友』ではなくなってしまう。
『OK、コヘイジ、ボクがロメオに言ってやる、彼は、そう、時々お金や約束にルーズだ、それは良くないことだ』
バブーに相談した翌日、ロメオがベスパもどきに乗ってやって来た。手にはカメラを持っている。
『ハーイ!コヘイジ!カメラを持って来たよ!』
手渡されたカメラは想像通り、オモチャのようなチャチな造りの小型カメラであった。それでもおれは、ひとまず『タカリと被害者』ではなく、『友』としてロメオに別れを告げられることをうれしく思った。
いよいよプリー最終日、おれはK君と西側の海岸を歩いていた。貝細工を売る少年を冷やかしたりしながらずっと端まで歩いた。
一件のレストランに入る。K君が言う。
『コヘイジさん、おれ、ついにインドの洗礼を受けたかも…』
「インドの洗礼」、つまりは下痢だ。およそインドを旅する日本人はみな一度は腹を壊すことがあるらしい。それが仕事上の短期滞在であっても、腹を壊さない日本人はいない、とまで聞いていた。その原因のほとんどが水である。
幸いにしておれは、このプリーでの初日、甕から汲んだ水で作った水割りを飲んでもなんともなかったし、これまで一度も腹を壊していない。
『K君、大丈夫?』
『ううううう…』
腹を押さえ苦しそうにしているK君を、少年従業員がおれたちのテーブルを拭きながらじっとみている。プリー、特に駅周辺から西側は、外国人観光客は少なく、こうしてもの珍しそうに見られるのは常であった。
『何見てんだよ!!』
腹痛で気が立っていたのか、K君が少年を怒鳴りつける。少年が驚いた様子でおれを見る。
『大丈夫、大丈夫、なんでもない、心配いらない』
おれがそう言うと、少年は怯えたような様子で去って行った。
店を出て再び海岸、K君は先ほどの店で一度用を足したが、まだ腹の調子が悪いらしい、海岸にあった公衆トイレへ入る、するとそこの便器にはウ〇コの山…。
『無理っす…、何とか我慢します…』
確かにここで用を足す気にはなれない、再び歩き出す。
それでも、しばらくするとK君の調子は幾分良くなったようだ。K君が言う。
『小平次さん、海、入りません? 交代で』
おれはこのプリーに来て、毎日海を見ていたが、足をつけた程度しかなく、泳いでみたい、とは思っていたものの、実現はしていなかった。いつもパスポートなどの最重要品は肌身離さず持ち歩いていたので、そんなものを砂浜に置きっぱなしで海に入るわけにはいかなかったからだ。
K君もそれは一緒で、信用できる人間と交代で、でもなければ海に入る機会なんかこの先もないかもしれないのだ。
K君が先に海に入る、下痢の方はもう大丈夫らしい。
『小平次さん、どうぞ、すげえ気持ちいいっすよ!』
おれも海に入る。インドは今、冬であったがまったくそんなことは感じない、気持ちがいい、頭まで海水につかり、青空の下、沖へと少し泳いでみる、やはり気持ちいい。
何かカエルの卵のような紐状のゼラチン質っぽい物体がゆらゆら波間に揺れている。なんの卵だろう。
おれは十分に満足して砂浜へ上がる。これでこの街にもう思い残すことはない、十分だ、ありがとうプリー。
あたりが薄暗くなった頃、おれはK君とプリー駅に向かった。出発の一時間前だ。バブーとロメオも見送りに来てくれることになっていたがまだ来てはいないようだ。二人で駅前に座って待つ。そこへ、突然『ヤツ』が現れた。
不良インド人、バップーだ。
バップーはニヤニヤしながらおれたちに近づいてきた。当然おれとK君は無視している。
『Hi、ジャパニー、Hi』
相手にしない。
『ジャパニー、キミはロブスターは好きか? 石は? きれいな石に興味はないか?』
バップーは馬鹿の一つ覚えのような誘い文句をK君に投げる。おれからコイツを相手にしないように言われていたK君は無視を決め込む。
おれたちが目も合わさず無視をしていると、呆れたように『フゥッ…』と息を吐きバップーが言った。
『アナタタチハ、ヤッパリ、チョットクルクルパーネー』
おれの胸に怒りがこみ上げた。おれは立ち上がり、バップーの目をしっかりと見据えて言った。
『バップー! クルクルパーは日本語でバカという意味だ。そしてそれをキミは知っていて日本人であるボクたちにその言葉を使っている、それはとても良くないことだ。』
『でも、ボクはキミを怒らない、なぜならキミはボクの大切な友人だからだ。』
『ボクはクリスチャンだ。Jesusはこの世界、全ての人に愛をくれた、だからキミは友人だ。Jesusは言った、「あなたの隣人を愛せ」と。だからボクはキミを愛している。たとえバカ、と言われてもキミは同じ神から共に命を与えられた友人だ、だからもう一度言う、ボクはキミを愛している!!』
バップーはしばらくキョトンとした顔でおれを見ていたが、すぐに何かバツの悪そうな表情になり、下を向いて言った。
『…、I'm sorry…』
それから自転車に跨ってこちらを見ずに言った。
『…、サヨナラ…、』
おれは夜の闇に消えて行くバップーの後姿を見えなくなるまで見送った。
『小平次さん! すごいっすね!あいつ、ションボリして逃げて行きましたよ!』
『いや、…、まあ…、』
後に決別することとなるが、この時おれがクリスチャンだったのは本当だ。だが、おれはやっぱりアイツが大嫌いだ。あのクソバップーを黙らせ、謝らせたことに、『愛している』 と言ったその言葉とは裏腹に
『ザマーミロ!』
と心では思っていたのであった。
やがてバブーとロメオがやって来た。おれは二人と抱擁した。
本当にありがとう。本当にありがとう。本当にお世話になった。ありがとう。
おれは何度も二人に心で感謝した。
夜の闇も深くなる。
もう出発の時刻だ。おれは列車に乗り込む。3人がおれの席の窓に立つ。
ゴト、ゴト、ゴトッゴトッ、ゴトッゴトッ
列車がレールを軋ませ、ゆっくりと走り出す。
まるでドラマか映画のように、3人がホームを駆け出しおれを追って来る。
『Goodbye、Koheiji!』
『Koheiji、Goodbye!』
『さよならー!小平次さん!さよならー! 日本に帰ったら必ず手紙書きますー!さよならー!』
窓から顔を出し、おれは3人に手を振る、大きき大きく手を振る、やがて姿が視界から消える。
列車の外はたちまち灯り一つない暗闇に包まれる。
明日の朝にはカルカッタだ。
凄まじい数のポン引きと物乞い、人、人、人、車、車、車、リクシャ、リクシャ、リクシャ!! けたたましい騒音、ゴミの山、手のない人、足のない人、指が全て蝋のように溶けている人、両足を失い、手作りのスケートボードを漕ぐようにやって来た老人、すべて現実だ。
世界最貧の街、と言われるカルカッタ、都市文明化の失敗作の街、と謳われたカルカッタ、世界一汚い街、と誰もが認めるカルカッタ。
おれは、夜のサダルストリートでビビりまくり、ずる賢い詐欺師に15万もの金を払わされ、たった2日で、這々の体で逃げるようにプリーへ向かった。
どこか海辺の街で、腰を落ち着け、そこの住人のようになり、友人を作り、街を歩けば挨拶をする人もいるくらいにゆっくりとその街に溶け込みたい、そう考えインドへやって来た。それ以外の目的など何もなかった。そしてその目的は十分に果たせた。だが、それはまだインドの一方の顏を見たに過ぎない。
『カルカッタ』
この街こそインドそのものである。この街を逃げるように通り過ぎただけでは、インドを旅したなどと言えない。
『カルカッタ』
リベンジだ!
************** つづく
ついにプリー篇の完結です。このブログで記事にした以外の細かな出来事もたくさんありましたが、将来、自分が記憶しておきたいだろうことを中心に記事にしてきました。
いよいよ次回からカルカッタリベンジ編です。かなり濃い内容になると思います。引き続きお読みいただければ幸いに存じます。
※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外の「イメージ」としている画像はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です。