さむらい小平次のしっくりこない話

世の中いつも、頭のいい人たちが正反対の事を言い合っている。
どっちが正しいか。自らの感性で感じてみよう!

インド放浪 本能の空腹⑯ 『バブーとの出会い』

2020-04-13 | インド放浪 本能の空腹

画像引用元:そうだ、世界に行こう。【美しき青い街並み】ジョードプルを観光してわかった本当の見どころ


 こんにちは、インド放浪 本能の空腹⑯ 

 『バブーとの出会い』

をお送りいたします。前回は、プリ―行の夜行列車で知り合った、オーズビーの自宅に招かれ、ご家族と一緒に、夕食をごちそうになった上、一晩泊めてもらいすっかりご満悦だった私。ところが、翌朝、目覚めてみると、プレゼントなどした覚えもないのに、なぜかオーズビ―が私のスニーカーを履いて、『ありがとう』 と礼をいう、解せないながらも、諦めたところへさらに追い打ち、私のカメラを父にプレゼントしたい、インド製だけど良いものを代わりにプレゼントするからとオーズビ―。カルカッタで完全に私が大損しただけの『仲良くなった証の物々交換…』がここでも!?

30年近く前の私のインド放浪、日記をもとにお送りしています。

ではつづきです。

*****************************************************

 
 昨日の夕食時、日本製のカメラを見たい、と言うオーズビーの父親におれの持ってきていたカメラを見せた。興味深そうに、ぐるぐる眼鏡の奥から目を輝かせて眺めていた。それを、オーズビ―は父親にプレゼントしたい、と言うのだ。インド製だけど良いものを代わりにおれにわざわざ買ってプレゼントする、と言うのだ。インド製のいいやつが買えるなら、オヤジへのプレゼントはそれでいいじゃないか、ダメなの?どうしても日本製がいいの?

『オーズビー、すまないけどこのカメラはボクの物ではないんだ、父の物だから、キミにプレゼントすることはできないよ』

 これは本当の話である。色々おれの家は苦労も多く、父親はあれこれ商売に手を出し借金なども随分したが、このごろ落ち着いて、夫婦で旅行になど出るようにもなり、そんな旅行風景などを撮るために、高級とは言えないが、そこそこ良いものを買って、それをおれが借りてきていたのだ。

 だが、オーズビーは諦めない、何とかおれを口説こうと、必死に懇願して来る。

『コヘイジ、ボクは父に苦労をかけた、父は日本製の機械類にとても興味がある、だからどうしてもプレゼントしたいんだ、普通にインドで日本製のカメラを買おうと思ってもとても買えないんだ…。』

 うーーーーーん…、だからと言って、くれ、はないだろう、だが、結局、おれは根負けし、オーズビーの懇願にOKをしてしまったのだった。


三たびオーズビーの父の写真

 カルカッタで、ジャケット、バッグ、時計、プリーでカメラ、これにより、今後、『仲良くなった証の物々交換』を迫られても、もうインド人が欲しがるようなものは何もなくなってしまった。逆に安心だ。そう思うことにした。

 その後、オーズビーの母親の手料理で朝食を済ませ、ベスパもどきのスクーターに二人乗りして走り出す。
 ここには大通り、と言ったような交通量の多い道もなく、皆がのんびりと歩いている。道の両側には、雑貨や軽食を売る屋台がポツポツ並び、人、サイクルリクシャ、野良牛、野良犬、野良ネコ、みんなのんびりだ。
 少し走り、オーズビーの友人の伯父、が、経営すると言うホテルに着いた。オーズビーの家と同様、青い塗装の壁に、パステルイエローのライン、南国っぽい3階建のホテルであった。見た目は悪くない。
 入口は開け放たれていて、開放的だ。オーズビーに連れられ中へ入る。友人の伯父、は、小太りで、トロンとした眼が特徴的な男だった。一泊120ルピーだと言う。おれのような貧乏旅行者にはちょっと高めだが、それでも日本円で600円だ。どれくらいここにいるかはわからないが、仮に1ヶ月いたとしても18,000円、まあいいだろう。
 案内された部屋は2階、カーペットなどが敷かれているわけではもちろんなく、壁と同じ青色のむき出しの床、それでも割と広く、シャワールームとトイレ、まあ悪くない。おれはここに宿泊することを決めた。

『どれくらいプリーにいる予定だ? 支払いは前金なんだ』

 と、伯父のオーナー。

 そうか、そんなこと全く考えていなかった。どれくらいいるのだろう…?おれは少し考えた。このプリーの街は気に入った。元々あちこち動き回りたいわけではない、どこか海の近くの街で、まるでそこの住人になったかのようにして過ごしたい、と言うのが願いであった。そういう意味ではまだ二つ目の街だが申し分ない、それでも、突然気が変わるかもしれない、おれは一先ず一週間分の宿代を払うことにした。

 支払いを終え、部屋に荷物をおろしたところで、一人の若い男がやってきた。

『彼はバブーというボクの友人だ』

と、オーズビーがその男を紹介する。ビーバップハイスクールのリーゼントパーマのような天パーのヘアースタイルに鼻の下には髭、そんな風体のバブーはにこやかにおれに握手を求める。おれもそれに応じる。バブーが名刺をよこす。肩書は、ツアー会社か何かの代表者のようだ。名前は確かに『Babu・Dola』と書かれている。あだ名かと思ったが本名らしい。バブーは言った。

『コヘイジ、今日の夜、彼とボクの中学校のころの教師を交えて、一緒に食事をしないか』

 オーズビーも頷く。おれが断る理由は何もない、だが、中々一人で行動させてくれないのがインドだ。

『OK、ありがとう、一緒に食事をしよう』
『ボクはまだ仕事があるから、夕方またここへ来るよ、それまでゆっくりしてくれ』

 バブーはにっこり笑ってそう言うと部屋を出て行った。
 バブーが去った後、おれはオーズビーとともにバルコニーへ出てみる、客室のほかに、2階の一部がバルコニーになっているのだ。

 天気も良く見晴らしがいい、海は一段低くなっているからここからは見えなかったが、それでも低い街並みは結構遠くまで一望できる。気持ちがいい。
 再び部屋へ戻りオーズビーと談笑していると、開けっ放しのドアの方に人の気配を感じる、目をやると、そこにはくりくりとした目を持つ、将来はとても美人になりそうな、三歳くらいの少女がドアの陰に体を半分ほど隠すようにしておれを見つめていた。おれはにっこり笑って少女に手を振る。

Hello…、namaste…、

 そう言っておれは、微笑みながら両手を胸の前で合わせる。

 少女ははにかみながら、おれと同じように手を合わせ微笑む。

Hello…、namaste…、

『お名前は…?』

『マリア…』

『マリア、いい名前だね…』

 オーズビーが、

『マリア、こっちにおいで』
 
そう言って手を広げると、少女はにっこり笑って走り寄りオーズビーの胸に飛び込む、そして抱きかかえられたまま笑みを浮かべてまたおれを見つめる。

『この娘はここのオーナーの娘なんだ…。』

 きれいな身なりをしている、そこそこ裕福なのだろう、カルカッタのゴミの山をあさっていた少年少女の姿がよみがえる。だからどう、と言うわけではないが、インドの激しい貧富の差を感じずにはいられない。

 それでも、こうしてまたおれの顔を知る者がこの街に増えた。おれのインド旅行の最大の目的、海に近いどこかの街で、そこの住人のようにしばらく過ごす、ゆっくりだが確実に始まっているようだ。



*********************************************************************

この時出会ったバブー、私にとって忘れることの出来ないインドの友人、となって行きます。少女のマリアは、その内私に慣れ、勝手に部屋へ入って来ては、私の荷物を物色し、これは何だ? あれは何だ?、と、とてもかわいらしく聞いて来るようになります。

あとですね、この時から泊ったこのホテル、日記のどこを読み返しても名前が書かれていないんです。なんて名前だったかなあ…

※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です。




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ホリエモンさん たまには同意できることもある

2020-04-10 | 社会・経済


堀江氏、過度の外出自粛は「人間であることを放棄」 画像・記事 日刊スポーツ


こんにちは

小野派一刀流免許皆伝小平次です

本来はシリーズでお送りしている『インド放浪』の続きを書きたいんですが、これだけ武漢ウイルス(新型コロナウイルス)騒ぎが続きますと、どうしてもそれ関連のことが気になりますので

本日は、小平次が日頃あまりそのご主張や考えに同意することのないお二人が、珍しく小平次が賛同できる論を述べていらっしゃるので、ご紹介いたします。

さて、上記記事ですが、ホリエモン、こと堀江貴文さんが武漢ウイルス(新型コロナウイルス)騒動に関してコメントしてます

ホリエモンさんは、記事の中で

『新型コロナ感染していない人の方がおおい状態で感染者数を抑え込もうとしてるわけだから長期戦になるわけよ。そしたら、経済が崩壊しないレベルで必ず折り合いをつけざるを得ない時が来る。安全対策をとりながら出来るだけ普段通りの生活をするような流れを作らねばならない』


これはまったくその通りだと思います

おそらく、ですが、今回の武漢ウイルス(新型コロナウイルス)が完全にこの世から排除される、なんてことにはならないでしょう
ある程度のところで、効果的な薬や治療方法が確立されながらも、インフルエンザのように毎年感染者が発生し、不幸にも亡くなる方がでるでしょう

これまでの記事で何回も述べてきましたが、去年のインフルエンザによる死者数は、約3000人です
関連死を含めれば、10000人くらいだそうです

武漢ウイルス(新型コロナウイルス)の死者数が、4月10日、12時の時点で88人だそうです

『コロナとインフルエンザは一緒に考えてはいけない』

などという、識者だのがいますが、この圧倒的な数字の差は、単なる事実であり、事実の受け止め方の相違としか言いようがありません

インフルエンザでこれだけの死者数が出ていながらも、これまで私たちはホリエモンさんの言うようにインフルエンザと「折り合い」をつけ、予防に努めながら、出来るだけ普段通りの生活をしてきたわけです

なんでそういう方向を考えずにこれほどにまで大騒ぎをしているんでしょう

ホリエモンさんのツイートには

『人命より経済を優先するのか!』

といった批判があるそうですが、前々回の記事でも申し上げた通り、昨年の交通事故の死傷者数は約50万人です

にもかかわらず、この世から車を無くせ! と言う人はまずいません

すでに人命より経済と利便性を優先した世の中に我々は住んでいるじゃないですか

インフルエンザとも折り合いをつけ、交通事故とも折り合いをつけ、人々は生きている

『折り合いをつける』

今回ばかりは、いい事いったと思いますよ、ホリエモンさん

今回の騒動で、みんなは手洗いや消毒、うがいを徹底したらインフルエンザが減ったそうじゃないですか

必要以上に騒いだりせず、風邪を予防するように手洗いやうがい、消毒をする、交通事故に合わないよう周囲に気を配る、注意力を養う、そのくらいの感覚で武漢ウイルス(新型コロナウイルス)と向き合うこと、どこかで「折り合いをつける」こと、その方向性を考えた方がいいんじゃないですかね


さて、もうお一人、この方のご主張には、普段ホリエモンさんよりも、はるかに考えが合いません 

青木 理さん



青木理氏、緊急事態宣言を「野党やメディアが『早くやれ!』となったのは健全じゃない」画像・記事 スポーツ報知

『主権を制限するような動きを政権がやる時に、『政府が(発令を)遅らせたじゃないか、早く、やれ!やれ!』と野党やメディアがなったのはよろしくない、健全じゃないと思います』

さすが! 生粋のリベラリスト!

そうですよ、左翼系の人は徹底してその主張をぶれないようにしてください

それが健全だと思います

大東亜戦争、アメリカとの開戦、日本が戦争に突入した理由は一言ではとても語れません

ですが、マスコミに国民が煽られたのか、好戦的なその空気が、軍や政治家の決断に少なからず影響を与えたところもあるでしょう

上記の青木さんの主張は、羽鳥慎一モーニングショー、という番組の中のものらしいのですが、小平次はその番組を見たことがありません

ですが、毎朝、スマホでニュースのタイトルを眺めてると、必ずこの番組のコメンテーター、玉川徹さん、と言う方の名前を目にします

小平次は顔も知らなかったんですが、今回の青木さんの記事からいろいろ検索して、そのご主張を見ますと、なんでしょう、こわいですよ、玉川徹さん その煽り方

それこそが、いらぬ不安をマスコミが煽ってる、ってんです

いずれ記事にしますが、多くの人は、権力のある者が強権を振うことの本当の怖さ、恐ろしさ、振われた者の無念さ、そういったことの実感なんてないでしょう

小平次も、つい最近までその怖さ、無念さを、何となく頭ではわかっていても、実感なんてありませんでした

玉川さん、普段のご主張からすれば、今回は青木さんのご主張に同意すべきのように思いますが…。


御免!!


コメント (9)
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