セルフケアは、効果つまり結果を得るのが目的ではありません。それは意識せずとも、実践していれば自然にそうなってくることです。それをあえて意図的に 「これでこういう結果を出してやるぞ」 で行うのは、セルフケアではなく、単なる我欲、わがままです。
セルフケアの真の目的は、それをやっているときの体の内側の感覚を丹念に味わうことです。セルフケアを通して、身も心も、今ここにグラウンディングさせるということそれ自体が、心身に最大最高の結果をもたらし、身体のセンサーが研ぎ澄まされ、自然と、身体に潜在する莫大なエネルギーを扱えるようになります。
「今わたしの内側で、何が起きているのか」、自分自身の変化にたえず関心をもって、セルフケアを行いましょう。
ここで一つ、具体的なセルフケアをご紹介しますね。普段無意識に繰り返している呼吸が、ちょっとした実践で、身体の能力を多大に引き出す生理作用になります。
健康な人の場合、左右の鼻の孔 (あな) から常に均等に空気を吸っているのではなく、どちらか片方の孔での呼吸が優位となっています。それが約 2時間ごとに切り替わって、今まで左の鼻孔優先で呼吸していたのが、今度は右の鼻孔優先で呼吸するようになる、というふうに繰り返されています。
左の鼻孔は、陰のエネルギーを優位にして右脳を活発にします。右の鼻孔は、陽のエネルギーを優位にして左脳を活発にします。
ボディセラピーを施術する時などは、左の鼻孔優位で呼吸するようにすると、身体波動や体の声など、精妙な領域の知覚が可能になります。
会話するときは、右の鼻孔優位にするとコミュニケーションがスムーズになります。ちなみに食後は、右の鼻孔優位にして数分休息すると消化吸収を助けてくれます。
また、血管を広げて血流を増やす作用のある一酸化窒素は、鼻の粘膜でも作られており、口を閉じた状態で呼吸をすれば体内に取りこめることが分かっています。それを、さらに片側の鼻だけで呼吸をすれば、効果的に濃度の高い一酸化窒素を体内に取り込むことができるのです。
片鼻呼吸の意識化は、肉体面だけでなく、感情面にも素晴らしい影響を及ぼしてくれます。鼻孔の右か左か、肉体の単なるクセで、空気を取り込む量に違いがある場合、取り込む量の多いほうの鼻孔に合わせ、もう片方の鼻孔での取り込みを調整していきます。
すると次第に、普段の両方の鼻孔で繰り返される呼吸量も調整されていきます。結果、呼吸による調整システムが働き、両鼻で穏やかに安定した呼吸をしているだけで、筋肉繊維、神経システム、心、の 3つのレベルでリラックスがはかられるようになります。
「片鼻呼吸」 のやり方はインターネットなどでもたくさんとり上げられていますので、きいたことがある方もいらっしゃると思います。
やり方は単純です。鼻の孔 (あな) を指で塞いで、右・左と片方の鼻孔で交互に呼吸を繰り返すだけです。片方の鼻孔をふさぐ際は、指に力が入って鼻筋が曲がらないよう注意してください。
1.まず両鼻で息を吸ったあと、指で両鼻孔をふさぎます。
2.どちらか片方の指を緩めて鼻孔をあけ、吐き出して、吸う。
3.再び指で両鼻孔をふさぎます。
4.反対側の指を緩めて鼻孔をあけ、吐き出して、吸う。
5.以上を繰り返す
行う時は、延髄をしっかり伸ばします (アゴを引くと同時に、後頭部の首の付け根あたりを伸ばす)。アゴを引く、というと、顏をまるごと下に向ける方がいらっしゃいますが、アゴを引くとき、頬骨の高さは必ずそのままの位置に保ってください。そうするとお顔が微笑みの表情になります。その微笑を保ったまま、片鼻呼吸も、そして普段の呼吸も行って参りましょうね。
片鼻呼吸は、朝起きて、往復 3呼吸繰り返すだけでOKです。長くダラダラやっても意味はありません。
たったこれだけの実践で、普段の呼吸の質が大きく変わります。あなたがわざわざ 「輝こう!」 と意図しなくても、ただ呼吸しているだけで、あなたは自然に輝き続けてしまいます。
「今わたしの内側で、何が起きているのか」、自分自身の変化にたえず関心をもって、実践あるのみです。