tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

「旧道」を歩く

2013-04-11 23:56:23 | 今日の出来事
家が最寄り駅から遠いので、帰宅のルートは途中枝分かれして何通りかできる。

これこそが駅と自宅の最短コースのはず、と思い込んで、何年か毎日使っていたルートがあったのだが、
ある時戯れに「Yahoo!地図」でルート検索をしてみたら、さらに短いルートがあることが判明した。
思いも寄らない角から思いも寄らない路地に入るルートで、
それまでその路地は行き止まりの私道だと思っていたから、入ったことすらなかった。意表を突かれた。
しかし、それからというものはもっぱらそのルートを使うようになり、
それまでのルートは、僕にとっては寂れて廃れた「旧道」となった。

※打っているこの文章中に、「ルート」と「コース」両方の語が出てきて、
 「あれ、この2語の違いはなんだろう?」と思って辞書を引いてみたが、いまひとつわからず、
 仕方がないので、自分が思いついたそのままに使い分けしている。

今日の帰途、ふと、たまには「旧道」も歩いてみようかと思い、久しぶりに歩いた。

店も特段の施設もなく、目印になるようなものが何ひとつない住宅街の道だが、
それでも、いろいろ変化している。

家が1軒壊されて更地になっており、アパートも1棟まさに壊されている真っ最中だった。
このアパートは古めかしい木造で、外壁には蔦も絡まったりしていて、いい味を出していた。
一番道路側の1室では、赤ん坊連れの若い母親がいるのを見かけたが、
このアパートなら、おんぶひもで赤ん坊を負ぶっていたら似合うだろうなと思わせるような、
そんな佇まいの建物だった。
中から漏れてくる明かりも、蛍光灯の白色ではなく、白熱灯のオレンジ色。
きっと部屋の真ん中には裸電球がぶら下がってるに違いないと、僕は勝手に想像していた。

壊されて、跡地には家が建つのだろうが、無理に土地を2分割したりして、
2軒の家が外壁をぴったりくっつけて敷地の中に押し込められているのを見るのは物悲しい。
あれは東京の一番貧相な光景だ。
長屋ではなく、それぞれが独立を主張する家なのに、その独立に無理があり、境界が実に息苦しい。

一方、外壁のモルタルの剥げ落ち方が汚らしくて、
管理が不行き届きなのを露わにしている別のアパートもあり、
こちらの方こそ壊されて視界から消えて欲しいものだったが、まだ健在だった。
窓の外に洗濯物を吊るしているが、道路とあまりにも近いので、せめてもの目隠しだろう、
洗濯物の外側にブラインドをぶら下げている。
その付け焼刃な対応策がまた、このアパートのいい加減さを強めている。

おとなしい町の中でも、道端の景色は少しずつ変わる。

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