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礼文島へ渡るフェリーの時刻までまだ時間がある。宿から歩いてやってきた。
8:34 ペシ岬の頂上。利尻山と鴛泊港を望む。8:30発の稚内行きフェリーが港を出る。
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鴛泊の町並みと、その向こうに礼文島。頂上は小虫の大群が飛び交い、鬱陶しいことこの上なかったので、すぐに下り始める。
昨日からの膝の痛みが取れない。特に下り坂で来る。温泉につかって一晩寝れば治るかと思ったが、甘かったようだ。
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鴛泊港のフェリー乗り場。真新しいターミナルの2階から乗り込む。稚内から来たこの船、礼文島まで続けて乗る客がカーペットに寝転がっているのが、窓の奥に見えた。
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出航。ペシ岬を回り込みながら港を離れていく。
【鴛泊港9:25―(ハートランドフェリー)→10:05香深港】
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裾野だけを見せる利尻山。客室には入らず、デッキにいる。結局、40分の航行中、ずっとデッキにいた。
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礼文島が近づく。いかにも雨が上がったばかりという感じのクリアな青空が見えている。
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香深港に接岸。タラップが渡される。
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タラップを下って上陸。香深港は新フェリーターミナルを建設中のようで、いずれ鴛泊港のように建物から直接乗り降りできるようになるのだろう。
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フェリーターミナルの観光案内所に行くと、礼文島内のトレッキングコースは、8月末に起きた豪雨による土砂崩れで、軒並み通行止めになっているという。唯一全行程が歩ける、島の最北の「岬めぐりコース」を目指すことにする。そこへ向かうバスまではまだ時間があるので、港の近くの今日の宿に、荷物の一部を預けてしまうことにする。
宿へ向かう途中、港の向こうに見える利尻山。この時は晴れていたのだが…
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宿に荷物を置き、バス停に行こうと通りに出ると、また雨が降り出した。そばのガソリンスタンドの店員のおじさんに、バス停はどこですかと聞くと、バスは手を挙げれば止まってくれるよという。近くの建物の軒先で雨宿りしながらバスを待った。
【香深10:48―(宗谷バス)→11:47スコトン】
船泊湾沿いを走るバスの車窓から、沖合に浮かぶ大型船が見えた。貨物船には見えない。客船のようだ。なぜこんなところに…?土地柄、ロシアの船なんだろうか?
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11:52 バスの終点、礼文島の最北端、スコトン岬。さらに北にあるトド島が見える。冬には実際にトドが現れるという。
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「岬めぐりコース」を歩き出す。視界が抜けて爽快だ。
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岬の途中にある、廃校の「須古頓小学校」。付近にはポツンと立つペンションと売店以外、人家が見当たらず、ここに学校があったのが不思議なくらいだ。大自然に抱かれ、得難い環境だとは思うけど。
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12:12 目指すゴロタ岬を望む。ここから浜辺へ下りて行ったところにある集落の名は「鮑古丹(あわびこたん)」。なかなか風雅だ。
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半島の尾根部分を伝う舗装道路を歩く。ゴロタ岬の頭が前方に。天気雨がぱらつく。
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舗装道路を離れ、低い茂みの中の細い踏み跡の道を行く。山頂が近づいてきた。
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白い花、紫の花が咲き乱れる。膝の痛みが気になる。
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13:01 ゴロタ岬の頂上。
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スコトン岬、その向こうのトド島を振り返る。サハリンもうっすら見えるような気もする。
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その反対側、行く手の海岸線。湾をたどった先の澄海(すかい)岬までトレッキングコースは続いているが、今日のこの膝の痛みで、あそこまで歩けるだろうか。帰りのバス(そのバス停までも距離がある)の時刻も気にしないといけない。
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岬の尾根道を歩き出すと、半島の逆側、船泊湾側も見えてきた。
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湾に浮かぶあの謎の客船も。まだ停泊しているのか。まさか座礁しているわけでもあるまいが。
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黄色い花。ハンゴンソウというのだろうか。岬から海岸へ下りる道を、膝をかばいながら、ゆっくりゆっくり下る。
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海岸沿いを歩く。ゴロタ岬を振り返る。道の右手に見えるのは作業小屋で、中では昆布かなにかの作業が行われていた。そう言えば、先ほどスコトン岬の屋外スピーカーから、今日は何時からどこどこで昆布の出荷作業がある旨の放送がなされていた。
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澄海岬へと続く海岸線。膝の痛みとバスの時刻を考えると、あそこまで行くのは無理だろう。またアップダウンもあるし。コースを離れることにする。
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14:12 台地へと上がっていく階段を登る。海辺の集落を見下ろし、ゴロタ岬を振り返る。
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たおやかな丘陵が広がる内陸部を行く。
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船泊湾沿いに出る。工事現場の看板、「増殖場」ってなんだ?どうやらコンブ、ウニ、タコ、ホッケ、タラなどを増やすための人工的な「礁」のようだ。
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あの客船はいまだに湾に浮かんでいる。徐々に人里に入ってきているので、地元の人に出会ったら尋ねてみよう。
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漁協のスーパー「マリンストア」でソフトクリームを買い、舐めながら歩いていると、外に出ていたおばあちゃんが「なんだろうねえ、あの船は?」と訊いてきた。そうか、地元の人も知らない船なのか。
15:34 礼文神社。足は痛むが、無理して登ってお参り。
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階段の上から船泊の集落と湾を望む。西日が強い。
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あの「客船」から島へ小さなボートが行き来しているのは気づいていた。そのボートが発着していた船泊港に着くと、マイクロバスが停まっており、その運転席に「にっぽん丸通船連絡」という札が出ていた。あの船は「にっぽん丸」だったのか!
※帰宅後、調べる。小樽から知床・羅臼を往復する5日間のクルーズが出ており、この日は礼文島8:00入港、17:00出港というスケジュールになっていた。ツアー客はこの日一日、礼文島に上陸し、バスなどで島内を回っていたのだろう。
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【船泊港16:10―(宗谷バス)→16:50香深】
帰りのバス。車中から利尻山が見えた。
この日は満月。夜、食後に港を散歩すると、煌々と輝く月が、黒い海面を明るく照らしていた。「スーパームーン」だったこともあり、月はひときわよく見えた。「ウサギが餅をついている」という、表面のあの模様も。