tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

川崎七福神を歩く

2014-07-06 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
雨の心配は薄そうだが、かと言って、外出を誘うほどの好天でもない。家に引き籠っていたとしても後ろめたくなるほどの陽の輝きもない。行こうかどうしようか…迷ったが、結局11時頃家を出る。
12:11 東急・田園調布駅。今日はここから「川崎七福神」を歩く。川崎なのに都内で下車したのは、多摩川を歩いて渡りたかったから。

駅前から住宅街の中を放射状に伸びる道路、そのうちの1本をまっすぐ行くと、宝来公園。森の公園。太極拳をしているおじさんがひとりいるのみ。

「田園」の名とは裏腹に、このあたりに平坦な地形の広がりはない。宝来公園の中は下り傾斜で、公園を出たところで登り返すと、台地の上に出る。
12:24 多摩川台公園。こちらも豊かな森がある。

多摩川に向けて木立ちが開けた場所があった。たとえば城を築くならこのような川沿いの高台が選ばれそうなものだが、この公園には城よりも歴史の古い、4世紀の築造とされる古墳がある。

公園のこの広場には覚えがある。昔、ここから自転車でほどなくの町に住んでいた頃、付き合っていた彼女とバドミントンをしに来た。ラケットはホームセンターで買い求めた半分おもちゃのような安物で、ガットがすぐに開いてシャトルが「穴」にはまってしまい、ラリーがまともに続かなかった。…そんなことではしゃいでいたんだよな。まさにこの場所で。

公園を南端まで進むと、多摩川を渡る東急の橋と、武蔵小杉のビル群が見えた。

公園の台地を下り、昼から開いている川沿いの飲み屋や河川敷のバーベキューに休日の雰囲気を感じながら…
12:43 丸子橋を渡る。

並行する東急の橋は東横線と目黒線の複々線となっているので、電車がひっきりなしに行き交う。乗り入れの東武や西武の電車もやってきて、「東武も西武も、乗り入れで『多摩川を越えた』のか…」と思う(東武は伊勢崎線が田園都市線に乗り入れた時点で越えていたわけだが、まあ、細かいことはいい)。

ダンプなどの大型車が行き交う多摩川沿いの狭い道路(多摩沿線道路)を少し惨めな気分になりながら歩き、目的の寺を見つけたもののこちらは裏側で入ることができず、回り道してようやく門前にたどり着く。
13:03 第一番・大楽院(恵比寿)。境内の横を新幹線の高架橋が横切っている。お堂の前で目を瞑って手を合わせていると、シューッとやってきてシューッと消えていく新幹線の音だけが耳に残る。

綱島街道、中原街道と幹線道路沿いに歩く。途中の100円ローソンで菓子パンとコーヒーを買って、食べながら歩く。
13:36 第二番・西明寺(大黒天)。葬儀が終わったところのようで、紙袋を提げた喪服姿の年寄りが「でもまあいい日だったわね、雨も降らないで…」などと言いながら出てくる。芝生がきれいな緑色をしている。

寺を出るとすぐに、路地の奥に等々力競技場の照明塔が高く聳えているのが見えた。

等々力緑地の中を行く。広場で軟式テニスをしている女子中学生がいて、自分も中学の頃はテニス部、久しぶりにテニスがしたいなと思った。ボールがポヨポヨした軟式が気楽でいい。試合でなくていい。ただ、ぽーん、ぽーんと乱打がしたい。

等々力緑地を抜け、静かな住宅街を歩く。自分の家の近所にもありそうな光景で、一瞬自分が今どこにいるのか、どこから歩いてきたのか、わからなくなる。

14:00 第三番・東樹院(毘沙門天)。瓦の濃いピンク色が印象的。ここでも葬儀が行われていた。

14:14 第四番・宝蔵寺(弁財天)。
今回は七福神ガイドブックではなく、地図の本を見ながら歩いている。地図と現地を照らし合わせながら歩くのが自分は好きだ。方向感覚が狂うこともあるが、間違いに気づいて修正するのも、それはそれで楽しい。

14:27 第五番・安養寺(福禄寿)。
七福神が祀られていればそこにお参りするし、見つからなければご本尊をお参りするし。賽銭箱があれば小銭を納めるし、見つからなければ手を合わせるだけだし。極めて自己流の気楽なお参りをしている。

第五番から次の第六番までが一番距離がある。距離があるからどんなルートで行ってもいいのだが、決めあぐねて武蔵新城駅前のアーケード商店街に迷い込む。

商店街を抜けると、結局無難なルート、南武線沿いを行く。車庫のある武蔵中原には電車が留置されている。

武蔵中原駅を過ぎ、線路の行く末に武蔵小杉のタワーマンション群が近づいてくる。

15:25 武蔵小杉駅前。実はかつて、このマンションを買うつもりだった。建設前の2006年のことで、申し込んだが、抽選ではずれた。39階の東京都心側の部屋だった。高層階から遠景として望む東京中心部はきっと悪くなかったろう。あの部屋に住んでいる人生はどんなだったろうか?案外今とまったく変わらないかも知れない。あるいは、夜風の気持ちのよい晩は、バルコニーで美しいジャズでも聴いていて、ふいに手すりを越えて空中にダイブしたかも知れない。

綱島街道を歩き続け、目印にしていた水路との交差地点で脇道へ入る。幹線道路の騒々しさが途絶えてほっとする。

僕の持ってきていた地図は「東京都」のもので、川崎市であっても今まで歩いてきたエリアは網羅されていたのだが、このあたりは地図が途切れてしまっている。目指す寺の付属幼稚園の送迎バスが停められているのを見つけたので、寺もこのすぐ近くだとは思うのだが、どちらにあるのかわからない。通りをぼんやりうろついていたおじさんに尋ねて、たどり着く。
16:03 第六番・大楽寺(布袋尊)。

立派な布袋様がいた。

工業地域を行く。工場の裏手、油に濡れた地面や、使い古された木の台、ありあわせの戸板や鉄板があてがわれた造作など、どのような用途のスペースかわからないが、「町の製造業の現場」という感じがする。

横須賀線を渡る。武蔵小杉方面。

反対側、新川崎方面。「広大な空地の向こうに見える高層ビル」という光景には、寂寥感が漂う。

16:32 南武線・平間駅の踏切。自販機で買った500mlのコーラを飲み歩いている。まともな食事もせずにこんなものばかり飲んでいて、その上歩き疲れて、7月頭だというのに早くも夏バテになりそうだ。

16:46 第七番・無量寺(寿老人)。今日訪ねた別の寺にもあったが、笠をかぶり、杖を持つ弘法大師の像が立っていた。僕も僧になるならば、歩き続ける僧になりたい。

無量寺前の公園で休む。僕もいずれ子どもを連れてこういう公園に来るだろうか。子連れで遊んでいる時には、こうしてひとりで気ままに歩いていたことを懐かしく思い出すだろうか。5時のチャイムが鳴る。

17:08 多摩川河川敷に出る。下流、対岸の下丸子方面。

上流に向かって歩く。対岸側には東京スカイツリーも見える。それと意外な近さ(方角が重なっているのだ)で東京タワーも見える。

横須賀線が川を渡る。「鉄橋」らしい、力強く鉄と鉄がぶつかり合う音が空に響き渡る。

17:33 再び丸子橋を渡る。

コンクリート橋を渡る新幹線は静かだ。滑るように通過する。

17:45 東急・多摩川駅。ここでゴールとする。今日歩いたのはおよそ20㎞。

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