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11:46 京浜急行本線の終点・浦賀駅。梅雨入り前、散歩を楽しみたくてやってきた。東京への通勤時間を考えると今は無理だけど、将来ちょっとした田舎暮らしをするなら、三浦半島のこのあたりがいいんじゃないか、海も山もほどほどの町もあって…そんなことも夢想する。
到着後早速、駅前通りの定食屋に入る。ヒレカツ定食と地魚(地鯵だそうだ)刺身定食を2人でシェアする。
駅前近くまで細い湾(浦賀港)が入ってきていて、湾沿いにドックが長く続く。日本丸や青函連絡船、大型タンカー、護衛艦などがここで建造されたという。2003年に閉鎖されたそうだが、敷地内には資材などが高く積まれていて、何かしらでまだ活用されている気配があった。
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食後、歩き出す。写真を撮り忘れたが西叶神社をお参りし、さらに歩くと、通り沿いの家の軒先に変わった物が。アルミ缶の側面に細く切り込みを入れて作った風車。風が吹くとカラカラ…と涼やかに回る。集落の「ブーム」なのか、このあたりのあちこちの家で見かけた。
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山に取りつく階段を登って愛宕山公園に行くが、公園からの見晴らしは今ひとつだった。
13:19 公園を抜けると、東京湾を見晴らす崖上に、「龍馬像建立予定地」と大きな看板が立っていた。「日本龍馬会」なる団体が高さ20mの坂本龍馬の立像を建てるのだという。土の山に鉄パイプの足場が掛けられていて、子どもが2人、秘密基地よろしく遊んでいた。
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山腹の戸建て分譲地や、半分リゾートっぽい海辺のマンションなどを見ながら、浦賀湾まで下りてくる。
13:51 湾の対岸まで渡し船が出ている。「水上の市道」という位置づけで、市が運行している。特に時刻表があるわけではなく、桟橋にあるインターフォンのようなボタンを押せば来るという。対岸を出たと思った舟がいったん引き返したのは、出発直後に向こう岸でボタンを押した客がいたためだったのだろうか。230m、わずか2、3分の船旅。運賃は200円。観光客向けというより、地元の人が日常的に使っているみたいだ。実は江戸時代から300年の歴史をもつという。
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14:05 対岸の「西叶」と対になっている東叶神社。ワインとかベーグルとかホットクのテントが並ぶ、神社っぽくないイベントが開かれていた。社殿の裏には山に登る石段が続き、最上部まで行くと東京湾を見渡せた。
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マリーナ、かもめ団地、鴨居港など海沿いを歩き続ける。夏の強い陽射しの下では華やぎを感じたのかも知れないが、この曇天の下だと、交通の不便な僻地にいるかのような寂寥感があった。
14:49 海辺に架かる観音崎大橋。橋の直下を波が押し寄せる。
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観音崎の海辺の遊歩道を行く。東京湾を航行する様々な船が見える。コンテナ船、タンカー、クレーン船、それに、護衛艦らしき船も。ひっきりなしだ。
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観音崎海水浴場から東京湾海上交通センターの管制塔を振り返る。この塔の向こう側からずっと海沿いに歩いてきた。少し中途半端な時間帯に思えるけど、浜辺にはバーベキューをしているグループが何組かいる。
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15:23 横須賀美術館。山本理顕設計、2007年開館。海に向かって開けたロケーションとなっていて、全国の「絶景美術館」トップ5にも選ばれているらしい。展示室は地下に埋め込まれているため建物は低く抑えられ、観音崎公園の緑に馴染んでいる。
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歩き疲れた。芝生と海を望むオープンテラスで、のんびりとスイーツとドリンクの休憩。企画展は「さくらももこの世界展」だったが、それには興味がないので、常設展を見た。あまり計算されていない、ハプニング的なタッチで描かれた絵画がこの美術館の収蔵品の好みみたいだ。別棟にある谷内六郎の「週刊新潮」表紙絵コレクションが、素朴で懐かしい感じで良かった。「週刊新潮はきょう発売です」という子どもの声の昔のCMなんかを思い出した。谷内は晩年、この美術館のすぐそばのニュータウンにアトリエを構えていたそうだ。美術館の屋上はインフィニティプールのように水平線と連続するつくりになっていた。海に向かって据え付けられた望遠鏡を覗きこむ。釣り船でちょうど魚が釣れたよ!とか、大島のジェットフォイルだ、やっぱり圧倒的に速いね!などと、年甲斐もなく興奮する。
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廃墟となった防衛大学校の宿舎や、釣り宿を横目に見ながら歩き続けると、前方に横須賀の市街地が見えてきた。
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18:21 横須賀市水道局の水源施設内にある「ヴェルニーの水」。湧水そのままというわけではなく、ちゃんと塩素も入っている歴とした水道水らしい。それでも、車で乗りつけてボトルに汲んでいる人がいた。ヴェルニーとは明治時代に横須賀造船所の用水を確保するため水道管を敷設したフランス人技師の名。
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お腹が空いてきたのでどこかで夕食をとろうかと思ったが、目ぼしい店は見つからなかった。歩いたのはおよそ12.5km。
18:50 馬堀海岸駅から帰途につく。