tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

お題「東京になくて驚いたものは?」

2016-05-12 18:07:30 | 物申す
「なんで東京にはないの?」と思うものはある。
周知のことで今さら「驚いて」はいないけれど。

転換クロスシート(=シートがほぼすべて進行方向を向くシート)の普通列車だ。
有料特急や新幹線を除き、ほとんどがロングシート。

関西では「着席サービスが基本」という意識が通底しているようで、
「これ、特別料金なしで乗れるの?」と戸惑ってしまうほど立派な
転換クロスシートがずらりと並ぶ普通列車が走っているのに、
東京では混雑を理由に、人間詰め込み式“貨車”のロングシート車両ばかり。
車両の一部にだけお見合い式シートを設けているおざなりのクロスシート車両は一部にあるものの、
背もたれが座面に直角で、お見合いの向かい側との距離が近すぎて足のやり場にも困る、拷問のような車両だ。
ちょっとでも転換クロスシートにしようものなら、JRのグリーン車しかり、
東武東上線や京王線の新特急(ご丁寧にも「無料」時にはロングシートにセットチェンジ)しかり、
「金を取ります」となる。
乗客ももう、どうせ混雑も緩和されないし、座れないんだからどっちでも同じ、と諦めの境地で、
決して短いとは言い難い通勤時間を、ロングシートの立ちっぱなしで耐えている。
鉄道会社も、乗客をできるだけ多く詰め込んだ方が「輸送効率」も高まってありがたいし、
それによって有料クロスシート列車の価値も相対的に上がるわけだからなおさら万々歳…というわけで、
かくして、東京にはいつまでも「転換クロスシートの普通列車」が根付かないのだった。
唯一頑張っていると思えるのは京浜急行だが、
京急も「速達列車なら必ずクロスシートに乗れる」ほどまでには普及していない。

東京都内に勤務するサラリーマンの通勤時間は、平均58分、
過半数が1時間以上かかるという。つまり1日2時間。
毎日2時間はその中で過ごさねばならない空間として、これはあまりにもお粗末で、
だけど「地域独占」で行く末安泰の鉄道会社はこれ以上サービス向上に努めることもなさそうだし、
これはもう、東京圏住民の「不幸の象徴」と言ってもいいかも知れない。