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ホテルの部屋の窓からは「京都国際会館」の独特なフォルムの建物がよく見えた。大谷幸夫設計、1966年開設の日本初の国立会議施設。
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9:01 ホテルをチェックアウトして(カバンは京都駅のカウンターまで運んでもらえる)、宝ヶ池公園を歩く。平日の朝、訪れる人は少ない。
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散歩やジョギング向きの園内の道を行く。今日は雨の予報もある曇り空、暑くはない。
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下流で高野川(そして鴨川、桂川、淀川)へと注ぐ岩倉川沿いに出る。このあたりに建つ住宅、みな和風の佇まいで、間違っても「南欧風」などは存在しない。
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9:25 昨日も2度訪れた叡山電車の宝ヶ池駅へ。今日は電車に乗らず踏切を渡るだけ。
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9:44 住宅街を抜け、赤山禅院へ。山裾に建つのどかな佇まいとは裏腹に、天台宗の荒行「千日回峰行」の苦行の拠点だという。拝殿の屋根の中央には「鬼門封じの猿」が据え付けられていて、「暴れ出さないように」と、金網で囲まれていた。
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拝殿の脇には苔むしたお地蔵様が何体か。他に参拝客もなく静か。
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修学院離宮の前を通り、比叡山の登山道へつながる「雲母坂」を登り、
10:24 曼殊院。樹齢400年という「五葉の松」が手前に迫り過ぎていて、なんだか庭の広がりの見た目のバランスが悪いなあと感じざるをえなかった。
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ここは庭園よりもむしろ、「江戸時代初期の代表的書院建築」だという建物や、狩野なにがし筆という襖絵、「曼殊院棚」と呼ばれる違い棚など、室内の設えを見るべきだったのかも知れないが、庭にばかりとらわれてしまった。
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山腹に沿って続く静かな住宅街(今が本来なら東京の会社で仕事をしている時間だと思うと、ますます静けさが募る)を歩き、
10:58 詩仙堂へ。門の佇まい、良し。
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くぐった先の竹垣の小道も良し。
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徳川家康の側近・石川丈山が、隠棲のため59歳の時に造営。90歳で没するまで、清貧の中、聖賢の教えを自分の勤めとして、ここで過ごしたという。現代人も理想としたい余生の送り方かも知れない。
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刈り込まれたサツキが美しい。
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建物を出て、庭へとまわるアプローチ。石垣と竹垣に挟まれた小道が落ち着く。
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庭から嘯月楼を望む。
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僧都(添水:鹿おどし)も丈山の発案だという。「閑寂の中にこの音を愛し、老陰の慰めとした」とか。僕らもこの前に立ち尽くして、その音に耳を傾ける。
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でこぼこした形状の敷地ゆえ、またの名を「凹凸窠」(でこぼこした土地に建てた住居、の意)。しかし、この凸凹こそが、庭の表情を豊かにしている。
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11:50 一乗寺駅方面へと下る道の途中で見つけた店で、「暦プレート」なるランチを。最近オープンしたばかりの店のようで、フロアには開店祝いの花が飾られていた。
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12:21 前に偶然テレビで見て知っていた個性的な書店・恵文社の前を通りがかる。ギャラリーに展示されていたサジマミキという人のコラージュ作品が良かった。旅先で集めたというヴィンテージの紙や素材を使って、小さな額縁の中に立体的なミニチュアが作り込まれている。
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【高野―(バス)→洛北高校前→新葵橋】
12:59 1日目に行こうとして行けなかった下鴨神社へ。参道の「糺ノ森」を歩く。明治神宮のように立派に成長した木々の生い茂る森だ。
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脇に清らかな流れが沿う。
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本殿を参拝。この神社は賀茂川と高野川が合流する狭間の三角地帯に位置し、賀茂川は合流地点から鴨川と名を変える。こちら「下鴨」神社に対し、上流にあるのは「上賀茂」神社だ。
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【下鴨神社前―(バス)→出町柳駅前→銀閣寺道】
13:33 ここが歩きたくてやって来た。「哲学の道」。あたりは銀閣寺へ向かう修学旅行生でいっぱいだ。土産物店が賑やかに立ち並ぶ雰囲気は、今日のこれまでの静かな道程にはなかったもの。人ごみにまみれながら銀閣寺に入るか、迷うが…。
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「金閣に行って、銀閣に行かないのも…」という、わかるようなわからないような理屈で、銀閣寺にも入ることに。最初に現れる高い生け垣のこのアプローチは、中学校の修学旅行で訪ねた時の記憶が残っている。4人の「グループ行動」で、ここに着くまでの間、他のメンバー2人とはぐれてしまったほろ苦い思い出とともに。
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銀閣が見える前にも、作りこまれた砂地の庭が。
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本堂の前から望む、銀沙灘、向月台、そして銀閣。銀沙灘には、なぜだろう、蝿のような小虫が飛び交っている。
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そうか、銀閣だけじゃなくて、裏山があったんだよな…と修学旅行時の記憶をたぐり寄せながら、順路を行く。
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苔が見事にカーペットをなしている。
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山を登りきる。銀閣を見下ろす。
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何とも雰囲気の良い散策路が続く。銀閣寺といえば、修学旅行の時は“白砂のプリン”の「向月台」の印象が強かったけど、今日来てみると、この苔の道の美しさに惹かれる。
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山を下り、錦鏡池越しに銀閣を望む。
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14:20 法然院へ。山門を入った両側にある盛り砂、白砂壇。水を表わすこの砂壇の間を通ることは、心身を清めて浄域に入ることを意味するという。
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哲学の道へ戻る。哲学者・西田幾多郎らが思索に耽ったという、琵琶湖疏水沿いの桜並木の散策路。銀閣寺参道から若王子神社までのおよそ2km。雨降りの平日のせいか、歩く人は少なく、静かな散歩を楽しむ。
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14:38 道沿いの「よーじやカフェ」へ。立ち寄りは予定していなかったが、旧家屋がそのまま店舗になっている風情が素敵で、吸い込まれた。
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庭が眺められる座敷で、抹茶パフェ・和パフェの一服。平日の散策ならではの贅沢だろうな。僕らだけで占領。
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再び哲学の道を歩く。雨がしとしと降っているが、それがまた良い。
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15:27 南禅寺へ。高さ22mの三門。なぜ「三」? 仏道修行で悟りに至るために通過しなければならない三つの関門「空」(一切の姿かたちは空)、「無相」(比べるべきものなど何もない)、「無作」(何も無いものに望むことなどできない)を意味するそう。
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国指定重要文化財である三門の迫力もなかなかだが、これが見たくてやって来た。水路閣。明治21年完成、全長93m・高さ9m、琵琶湖疏水の赤レンガの水路橋だ。
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水路の上に登ってみた。今も現役の水路なんだね。この流れは、先ほど沿って歩いてきた哲学の道へと続く。
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…さて、そろそろ帰りの新幹線の時間を気にしないといけない。バス停へ急ぐ。その途中、蹴上のインクラインを横目に見る。琵琶湖疏水の舟運ルートの途中、落差のあるこの場所に敷設された傾斜鉄道。
【岡崎公園美術館・平安神宮前―(バス)→四条高倉】
京都駅行きのバスに乗ったはいいが、渋滞もあってなかなか進まない(目抜き通りである四条通では歩道拡幅工事を行っていて、歩行者は快適になるのだろうが、バスを含む車の移動には難が生じているようだ)。やむなく途中で下り、地下鉄に乗り換える。バス車内には、僕らと同じように、バス路線図と地図を見比べながら、どこかへの集合時間に間に合うよう、懸命に行き方を調べる修学旅行の中学生グループがいた。京都の修学旅行のグループ行動は、タクシーを1日借り上げて運転士に案内してもらうというスタイルが一般的になってきているみたいだけど、僕の修学旅行がそうであったように、自分たちで電車やバスを調べて乗り継いで回っている子たちもちゃんといるんだな。どちらの方が「教育的」に意味があるかは、明らかだろう。
【四条―(地下鉄)→京都】
…そんなことを思いながらも、とにかく走る、走る。京都駅で地下鉄の改札を出て地上に上がってみたら、それが新幹線ホームとは反対側の烏丸口で、絶句する。京都駅コンコースを大横断、また走る。カウンターで荷物を受け取り、ホームに駆け上がったら、ちょうど列車が滑り込んできた。なんともギリギリ。でも間に合ってよかった。
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本当は京都駅の売店でゆっくり悩みながら駅弁を選びたかったんだけど、そんな暇はなかったので、車内販売でわずかな種類の中から弁当を選ぶ。何はともあれ、無事に帰途につけてよかった。
【京都16:36―(のぞみ134号)→18:53東京】
<旅の会計> 64590
往復新幹線+ホテル2泊のパック 32900
■1日目 15130
地下鉄・バス2日乗車券 2000
嵯峨野ジオラマ 400
嵯峨野トロッコ 620
連絡バス 310
保津川下り 4100
「庵殊」ステーキ丼 1950
天龍寺 500(-50 ※2日乗車券割引)
金閣寺 400
大徳寺 350(-50)
「藤の家」川床コース料理 他 4600
■2日目 11470
三千院 700
「芹生茶屋」そばセット“大原女” 1050
寂光院 600
叡山電鉄 380
鞍馬寺 300
貴船おみくじ 200
「貴船倶楽部」パフェ 1200
バス(貴船) 160
叡山電鉄 380
「東華菜館」川床コース料理 他 6500
■3日目 5090
曼殊院 600
詩仙堂 500
一乗寺「茶乃えん」“暦プレート” 1080
バス1日乗車券 500
銀閣寺 500
「よーじや」パフェ 700
地下鉄 210
新幹線弁当 1000