田辺市役所ぐるみの隠ぺい
苗木の販売実態とは異なった領収書
市の土地を契約書も交わさずに無償貸与していた問題
苗木を育てるための水道料金まで、市が負担していた問題
福祉団体に貸した開発公社の土地で自民党宮田政敏元市議が苗木を栽培、販売していた。
公務員とは、公に奉仕する人。住民が納めた税金を公平かつ透明に執行するのが職務である。ところが、田辺市の「ふれあいの森緑化推進事業」補助金疑惑をめぐる対応を見ていると、その職務遂行能力に疑問符がつく。
▼先日の市議会では、市議を辞職した宮田政敏氏が関係した8団体に関する疑惑について、山村林業課長が「8団体が市に提出した報告書には不備があった。しかし、問題があったという確実な証拠はつかんでいない」と発言。議員から「不正はある」「入り口から問題がある」と厳しく追及された。
▼実際、県の事業を含めた一連の植樹事業では、不明朗なことが次々と明らかになっている。苗木の販売実態とは異なった領収書、市の土地を契約書も交わさずに無償貸与していた問題。苗木を育てるための水道料金まで、市が負担していたというから驚きである。福祉団体に貸した開発公社の土地で宮田元市議が苗木を栽培、販売していたことも明らかになっている。
▼そこまで特定の議員を優遇していたのに「問題がなかった」とはどういうことか。市有地の管理から、実態を反映しない領収書をずっと見逃していた責任まで、問題だらけではないか。
▼一連の疑惑については県も調査している。そこで「問題あり」という判断が出たら、市はどう説明するつもりだろう。真実から目を背け、わが身を守ることを最優先にしているようでは、公僕としての資格はない。(石)